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2021.11.2 MONOEYES Between the Black and Gray Tour 2021 at Nippon Budokan 感想レポ

まえがき

少し残った仕事を早々に終わらせ、息を切らしながら、マスクで詰まる空気にも気にせず、会場まで走る。

この日はMONOEYESの記念すべき、初有観客武道館。

去年の配信ライブから今日、この日が来るまでどれほど心待ちにしていただろうか。そもそもチケットも取れるかどうか本当に不安で取れたときには狂喜乱舞した。

去年、TOSHI-LOWさんが配信画面上で細美武士さんに来年またファンを入れて武道館をやってくれないか。と話していたことに対して、やろうかと話していた記憶が蘇ってくる。

そして1年後の今日、こうして本当に有観客武道館公演が開催されるに至った。パンフレットやラジオ(hedgehog diaries)なんかを聴いていても並々ならぬ気合を感じていたので今日が素晴らしい日になるというのは既に約束されていたようなものだった。

日本武道館に到着して、建物にMONOEYESの看板が下がっているのを見てもなんだか夢心地の気分だった。

北スタンド側に堂々と構えているステージ。
ここで今日は大好きなバンドが演奏を始める。

MONOEYESの日本武道館の感想を綴っていこうと思う。

今回はいつものように1曲ごとに区切る感想ではなく、私が見て感じたこと、心の内で感じたものを吐き出しまくる形式で書いていこうと思う。

MCについても、おそらく映像化するであろうという話が出たので詳細はあまり語らず、映像が出た際に素晴らしい言葉たちを是非自分の目で、耳で確かめて欲しい。

また、沖縄と東北は本ツアーの公演が残っているため、セトリのネタバレを見たくない場合にはツアー終了後に読んでいただければと思う。




Hello again

メンバーが暗がりの舞台袖から出たとき、漏れ出す歓声が会場に渦巻いた。冒頭でも話したように、これは1年越しの僕らの約束の地、武道館。

まずもって今年MONOEYESを生でようやく見られるのが嬉しくてたまらなかったビバラロック、大好きなアルバムを大好きな地で見ることができたUSEN STUDIO COAST公演を経て今回の日本武道館に至る。

メンバーが揃って、一声目がHello again(やぁ、久しぶり)だった。

モニターにも黒い画面に大きく白字でそれだけが掲げられて始まった。

去年の配信ライブからやはり肝となっていたのはこのワードなのではと思っていて。今回のツアーの他の公演ではBygoneから始まっていたのに日本武道館ではFall Outから始まるというのはメッセージ性を感じる。

メンバー、スタッフがまず一番に伝えたかった言葉なんじゃないかな
「Hello again」

何度も配信ライブの話を出して申し訳ないが、去年の配信ライブはMCからこの曲の始まりと共にステージを覆う布が取れて日本武道館であったことが明かされた。

あのときの「やぁ、久しぶり」というのは画面を一枚隔てた向こう側のあなたに当てた言葉であり、あえていうなら『歌詞』である。
物理的に観客はいない中でレンズ越しのあなたに当てたものだ。

今日、こうして面と向かって「久しぶり。」といったこの言葉にはきっとその日からこの日までの期間の重みが宿っていて、今同じ場所に立っているファンのあなたに歌ったものだと思う。

アルバムリリースから異例の期間である2年間をかけて配信ライブ、セミアコースティックツアー、そして今回のツアーをもってBetween the Black and Gray Tourを締めることになる。
バンドのマスターピースを掲げたツアーはこの後に残す、沖縄、東北公演をもって無事にリベンジを果たしたことになる。

いろんな地を回る中で、1公演ごとに開催を危ぶまれながらも会場ごとにメンバーが、スタッフが、ファンが、可能な限り人事を尽くして、「久しぶり」と挨拶を交わして回ってきた熱いバトン。

曲の盛り上がりはもちろんだが、このワードの重さがとても尊く、美しいものに感じた。


Get Up

MVではパーティーをしてはしゃいでいる様な景色を見せるGet Up。

その実、そのパーティーの場には君が居て欲しいんだけどな。というセンチなメッセージ性を持つと同時にGet Up(立ち上がれ)と鼓舞するような楽曲と認識している。

この場に君が居て欲しい。という部分が去年の配信ライブではものすごく切実な思いだったのでは。1年以上前から実はこの場所でライブをやることが決まっていたと語っていたところを考えるに想定していたのはおそらく観客が大勢集まった景色の武道館。

そしてその景色が実現し、ステージを囲むようにしてGet Upと腕を掲げる観客。

今回のMCで語っていたが、本当はモッシュなんて、リフトなんてなくったってお前らがいてくれりゃいい。という言葉も相待って今回のライブは君がいるパーティーである立ち位置と考えるとまた感慨深い。

加えて、このMCの後に話していたこの曲ばっかりはお前らがリフトとかして盛り上がっている姿が見たかった。今度、また会ったときには見せてくれよ。と演奏したWhen I Was a King。会場全体ができる限りで身体を動かして想いに応えようとしているのが見えた。

また新しい約束が出来た。
そのときにはまた会いに行かなければ。


日本武道館で語ったことは

戸高さんがMCで語ったのはMONOEYESで武道館に立ちたかったという言葉。

そもそも日本武道館で公演したいと話したのは戸高さんで、メンバーがやりたいならばやろうということで話が動き出したことがパンフレットやその他媒体でも語られていた。

そしてそれが形となった。

もちろんその景色の一部として私がこの場にいられたのも、改めて本人の口から想いを聞けたのもどちらもものすごく嬉しかった。

この日のMCはどのシーンもとても素晴らしく胸を打たれた。

スコットさんは7年前、細美さんにバンドやろうぜと誘われて海外で活動することに対して戸惑いがあったと話す。それは親も感じていたと思うとも。

でもきっと今日のこの景色を見たら安心してくれると思う。一緒にバンドができてよかった。ありがとう。というと細美さんとハグをする場面もあった。

一瀬さんは今日様々な理由で来れなかったファンの分までここにいるファンが盛り上げてくれ。きっと映像化するだろうから。と話してくれた。

この場にいる人だけではなくこの間にMONOEYESを好きでいてくれた人に向けた誠意と感謝を持ち続けているような姿勢に細美さんもいい奴だなと呟き、今日会えなくても、次会えなくても俺たちは遊びのプロだからお前らが楽しめる場所をずっと作り続けてやると言い切ってくれた。

ライブで泣くことなんか最近はそう無かったのにその言葉を聞いた瞬間にどうしようもなく感情の歯止めが効かなくなってしまった。

メンバー、スタッフ総出で一つのものを築き上げる美しさにじんときている細美さんの姿や今年できなかったこと、去年できなかったこと、来年やっちまおうと明るく先を見据えるような言葉。

万難を排し、よくぞいらっしゃいました。と語るようにそれぞれに辛い瞬間があったでしょう、と気持ちすらも汲み取ってこの武道館にかける想いを話してくれた。

こんなバンドが最高じゃないわけが無い。

MCのあとのIridescent Lightのミラーボールの光がやっぱり綺麗で1サビ単色、2サビ以降カラフルな光の粒の奔流が尚更涙腺を刺激してきた。


魚と魚の交わり

東ブロックは舞台袖が確認できる位置になっており、そこにちらっとパンダが現れたのを見た。

次の楽曲がTwo Little Fishesであることからパンダの正体は自ずとわかってしまった。

去年、武道館のリベンジを果たすと約束したTOSHI-LOWさんだ。

MONOEYESの旗に隠れながらおずおずと登場したかと思えば会場は拍手喝采。2番以降は戸高さんの周りを彷徨きながら楽曲にのる。

まさかパンダの被り物を取ってもパンダのペイントをしているとは思わなかったし、なんでパンダなのかもわからなかった。その姿を見て細美さんも堪えきれずに笑っていた。

歌い終わった後に紹介します!俺の親友、BRAHMANのTOSHI-LOW!と紹介されたとき、TOSHI-LOWさんはパンダの格好でも声色は真面目そのもので一年前、武道館でやってくれという約束を果たしてくれた!と友を誇るかのように話してくれた。

この曲の詩がTOSHI-LOWさんと細美さんが飲んだ日のことがきっかけで生まれたのもあって二人で歌っている姿が一番しっくりきてしまう。今までもふらっとTOSHI-LOWさんが現れて一緒に歌う機会はあったが、この大舞台でも変わらずに(パンダだけど)ふらっと現れてふらっと帰っていく関係性が羨ましくも思った。


彼は誰の夢

僕らが過ごした
当たり前の日々も
遠くなるけど
きっと蜃気楼みたいに
朝焼けに染まって
笑っているのさ

何度も曲中で歌われるフレーズで音源で聞いたときからずっと生でこのフレーズを聞きたくて仕方なかった。

今日あった出来事は段々と遠ざかってしまう。
靄がかかったように何が起こったのか少しずつ忘れていくのかもしれない。

でもその経験は無くなったわけではなくて確かにに自身を形成する糧になっている。
悲しかったことも乗り越えて楽しかったことも後ろをふと振り向いたときに思い出のほうが笑い返してくれるような。そんなことを教えてくれるような気がしている。

そこからアンコールを隔てて、それぞれの活動があるから来年、再来年は会える機会が減っちゃうかもしれないけれど忘れないでねとRemember meに繋がるのだから参った。

あとがき

Fall OutのHello, again(やあ、久しぶり)と始まってリザードマンの別れの朝には君に手を振るよで終わりに向かっていくのが美しく、更にはアンコールの彼は誰の夢でこの出会いと別れを思い出として消化している

まぶたの裏には
笑った顔だけ
思い出すけど

そして忘れないでねとRemember meで締める

When you miss me
僕に会いたくなったら
I'll be there
そこにいるから
When you need me
僕が必要なら
I'll be there
そこにいるから
Remember me I was around
僕がいた頃を忘れないで

このセトリの素晴らしさに改めて気付かされたのは実は終演後すぐではなく、その後に親友と再開してからだった。

ライブ翌日、親友と会うために飛行機に乗り久々に元気な姿を見たときにごく当たり前のように「久しぶり!元気だった?」と声をかけたし、早朝、別れるときには改札越しにまたねと手を振って別れた。

飛行機に乗ったとき、MONOEYESの武道館のセトリを聞き直しながら振り返ったとき、「まぶたの裏には笑った顔だけ思い出すけど」というフレーズがぴったり当てはまった。

そのときに改めて今回の公演の素晴らしさを知った。この解釈はあくまでも私の解釈ではあるけど。

なんて長々と書いてしまったが本当に言いたかったのはこれだけ。

MONOEYESを大好きでいて良かった。


セットリスト

MONOEYES
2021/11/2
Between the Black and Gray Tour 2021
日本武道館

1. Fall Out
2. Bygone
3. Run Run
4. Free Throw
5. Interstate 46
6. Cold Reaction
7. Like We've Never Lost
8. Roxette
9. Get Up
10. Iridescent Light
11. Nothing
12. グラニート
13. When I Was A King
14. Somewhere On Fullerton
15. 明日公園で
16. Borders & Walls
17. Two Little Fishes feat. TOSHI-LOW(BRAHMAN)
18. Outer Rim
19. My Instant Song
20. リザードマン
——— encore ———
21. 3,2,1 Go
22. 彼は誰の夢
——— double encore ———
23. Remember Me


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