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「無機物の朝」で短歌が詠みたい

最近学校で短歌の授業があって、ひとりひとつ短歌を詠んで提出することになった。
しがない短歌詠みであり、短歌を詠むのが好きなわたしは当然いっぱいはりきる。
一週間かけて、やっと今朝提出した。
身バレが怖いので提出したものは伏せるけれど、テーマとしては「冬の朝」、それからキーワードは「つめたい・寒い」「孤独」「ひとり」。

といっても重く苦しい孤独を描いたわけではない。
冬の朝は冷たくて、寒くて、白くて、世界にひとり取り残されたような気分になる。
ひんやりとした空気を吸い込めば、その白の一部になりそうで、なれそうで、冬の朝の孤独というものが本当に好きで、それをわたしなりに言葉に写し取ってみたかった。

結果的にその短歌の中でわたしが気に入っているのは「無機物の朝」というワードである。語呂がよく、かたく、そっけなく、つめたい。
「無機物」という言葉は漢字が似合うなぁと思う。線がいっぱいあって、四角くて、無機物を体現した「無機物」という感じ。朝も四角いので、このふたつはお似合いだ。

今書いていて思ったけれど、おそらく無意識に「永訣の朝」が意識されている。うわぁ、今気づいちゃった。多分そうだ。少し前に授業で、その有名な宮沢賢治の詩が取り扱われた。その時にいたくその詩を気に入り、後題名があまりにも好きで、だから多分そうだ。

最終的な短歌を決定するまでに、ああでもないこうでもない、といくつも短歌が出来上がる。こぼれ短歌と勝手に呼んでいる。
短歌の授業に即してプリントが配られたので、今回のこぼれ短歌はそこにこぼれた。それを失くす前に、今ここでメモ代わりに、そのこぼれ短歌(の中でも気に入ったやつ数個)を置いておこうと思う。

短歌といっても、半分詩みたいなものだ。このこぼれ短歌からまた新しくなにか生み出せたらいいなぁと思ったり。

・しろくつめたくすきとおる無機 わたしひとりぬくくてこどく

・白くつめたく透明な朝 ひとり ぬくいこどくをあいしたい

・白くつめたい無機物の今朝 ひとりぬくいこどくを君でうめてよ

・おはよう 今朝はつめたい無機だから せかいにふたりしかいないみたいだね


途中から登場する「君」は誰なのか。孤独を愛したい短歌なので、登場させるつもりは当初なかったのだけど、途中からなんとなく欲しくなって入れた。
つめたい無機を分かち合える「君」はわたしにはいない。いつかできるといいなぁと思ったり、わたしだけ知っていればいい気もしたり。

12/5

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