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怠化論|うさヒトてつがく #1

うさ地蔵に近づくと


冬だからでしょうか。
毛皮の手ざわりが良いからでしょうか、ぬくもりのおかげでしょうか。
いいえ、近づくだけで自然と眠たくなるのです。
忙しかった夜などは、特に。

うさ地蔵の遊び場には、薄めのマットレスが設置されています。わたしたちが互いにくつろぎ、ごろごろできるよう、ととのえているのです。わたしは、毎夜 身を横たえながら、他愛のない話を うさ地蔵につぶやくのです。

同じ目線での戯れ。至福。
I’m happy.
あのね、今日も疲れたよ、うさラッシュ・・・
I’m tired.
ZZZ
「ワーイ!ジユウダーーー!」← 同居人を見捨てる
※己の英訳の限界を知る。残念。

〈 数時間後 〉

・・・ツカレ ニ キク クスリ ダヨ・・・

はっ、また寝てしまった!よくない、ちゃんと自分の布団で寝なければ。
イテテテテ、からだが。
まだぼんやりとしている眼前に
周囲に散らばる
黒くて乾燥した 丸い粒たち・・・

これは うさぎのフン、大量のフンコロたち!

うさ地蔵は、なわばりで自由に遊んだり、くつろいだときに、この置き土産をします。
わたしを眠らせて、ひとり自由を謳歌した動かぬ証拠です。

見た目、少々 某メーカーの常備薬に似ています。
そこになぜか、心づかいを感じてしまう。元気になるように、そっと撒き散らかしたんじゃないのかなって。勝手によき意味づけをする楽しみもあるのです。

うさぎと戯れて、その場で寝てしまうなんて。怠惰だなと、うっすら感じながらも やめることができません。こんなことでは、もう大人なのに退化、いや怠化しているのではあるまいか。

でも、いいんですよ。そんなことはどうだって。そうしたくて、自然にそうなっているのだから。

[ 日誌はつづく ]

うさぎのおやつ代になります。(いまの季節は🍎かな)