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レノファ山口FCの"ロアッソ指数"を調べてみた

2022年シーズンにJ2リーグに返り咲き、J1参入プレーオフ決定戦までの45試合、熱い戦いを繰り広げた跳ね馬、ロアッソ熊本。レノファ山口FCのホームで開幕戦を戦ったときは、勝てる勝負を落としてしまったくらいに感じていたのに、アウェイ戦では0-1ながら内容は圧倒され、そのまま7試合勝ちなしという苦しい期間に突入しました。

ロアッソ熊本はシーズン中に調子を上げていき、結果はJ2リーグ4位という好成績だったわけですが、素晴らしいのはチームだけではなく、フロントの経営力もまた成長してJ2に戻ってきたのだなと感じています。その一端が「2022数値目標~開かれたクラブ運営を目指して~」という企画。Jリーグの数字はたいていのものが公表されてはいるものの、自分たちが気にしている指標やその年度目標をわかりやすくまとめて開示しているのが素晴らしいなと思います。

案の定「レノファもやるべきだー」という意見が出てきます。他クラブの取り組みを全て同じようにやることはできませんし、注力することはクラブごとにそれぞれ違います。とはいえ、とりあえず現時点で一度、ロアッソ熊本の数値目標にある8項目(あえて"ロアッソ指数"と呼んでみます)について、レノファ山口の現状を整理してみたいと思います。

  1. パートナー広告協賛額
    2022 625,124千円
    2021 534,109千円
    前年比 117%
    対馬比 158%
    ・・・営業成績としてはまずまずですが、クラブ経営がスポンサー収入に高く依存していることがわかります。J2昇格当時はうまくいっていた部分もあるのだと思いますが、最近のチーム成績を考えると逆にスポンサー企業に対しては広告や喜びとしてのリターンが足りていない現状ともいえます。他の要素を改善して、スポンサー企業が喜んで上積みできるような環境を作りたいです。

  2. パートナー総社数
    2022 450社
    2021 452社
    前年比 100%
    対馬比 86%
    ・・・スポンサー収入が伸びているのに社数が減少しているというのは、大きな問題です。厳しい社会環境だけを言い訳にはできません。まちが小さいということもありますが、裾野を広げていく努力が足りていないなと痛感しています。とにかく多くの事業所に応援してもらい、のぼりを立ててもらうなど、まちで生活していると自然にレノファが目につくような環境づくりを目指します。

  3. 年間入場者数
    2022 76,879人
    2021 63,223人
    前年比 122%
    対馬比 91%
    ・・・就任当初は売上にかなりこだわっていたのですが、ここ最近はこの数値を最重要視しています。多くの企業がすでに関わっていただいている山口で、売上2倍というのはなかなか容易ではないですが、入場者数2倍というのはそんなに非現実的でもないだろうと感じています。ここをどう切り拓いていくか。クラブから仕掛ける部分と、サポーターさんから自発的に動いていただく部分の両輪でなんとかプレーオフレベルまで入場者数を増やしたいなと考えています。

  4. シーズンシートホルダー数
    2022 1,276名
    2021 1,222名
    前年比 104%
    対馬比 91%
    ・・・伸び悩んでいるようです。ほぼ継続だけという状況。増加施策もあまり取り組めていないと感じています。席種の単純化、割引率の引き上げなどを決めていますが、ファンクラブとの連動ができていないのがよくないと感じています。先にお金が入る単に売りやすい商品として売るだけで、全体設計がなされていないので、来シーズンまでにとはいかないかもしれませんが、ここ1-2年でしっかり改善していきたい課題です。究極は15,000席をシーズンチケットで販売したいと考えています。

  5. ファンクラブ会員数
    2022 801名
    2021 656名
    前年比 122%
    対馬比 40%
    ・・・レノファ山口FCの最大の課題と言えるでしょう。これまで注力することを避けてきたきらいがあります。J2上位クラブは2万人規模が普通ですし、J1を目指すなら5万人くらいにしないと、J1昇格を本気で目指したり、定着したりするには足らないと考えています。今クラブの中に一番ノウハウが欠けている部分ですが、いろんな施策を実行し、6万人のファンクラブ会員がいて、1/4の人がシーズンチケットを買うというようなゴールに向かって頑張りたいです。まずはファンクラブ会を継続的に開いて、ファンクラブを拡大するPDCAを作っていくつもりです。

  6. JリーグID登録者数
    2022 23,332名
    2021 20,255名
    前年比 115%
    対馬比 79%
    ・・・本来はファンクラブと何が違うのというものですが、現時点では大きな乖離があります。デジタル化やマーケティングが進められていない証左です。今後はファンクラブ会員は全員がJリーグIDを登録しているという状況を目指していこうと思っています。デジタルは気に入らない、スマホは使いたくない、キャッシュレスは嫌いだ、紙しか信じないとか、いろいろ変わりたくないと考える方もいるようですが、人生100年時代ですから、長生きしてサッカーをとことん楽しむためにも、柔軟に新しい仕組みを取り入れていきましょう。クラブの運営負担が下がれば、もっと楽しい施策に力を注げると考えています。

  7. SNS総登録者数
    Twitter  40,227人 (70%)
    facebook 16,175人 (116%)
    Instagram 18,861人 (129%)
    YouTube  9,830人 (179%)
    LINE  非開設 (0%)
    TikTok 3,740人 (参考)
    合計  85,093人 (90%)
    前年比 不明
    対馬比 90%
    ・・・今シーズンから力を入れている分野ですが、LINEをいい時期に始められなかったのは痛いです。これから始めると結構コストがかかるようで。サービスごとの獲得効果を考えながら、媒体特性に合わせて取り組んでいきたいと考えています。選手や社員が直接運営するアカウントも増やしたり、活発にしていけると良いと思っています。同じチームが好きなのですから、どんどん絡みたいですよね。

  8. サッカースクール会員数
    2022 495名
    2021 568名
    前年比 87%
    対馬比 115%
    ・・・スクール開催場所を減らしたり、下関地区をレノファ山口ウェストFCに移管したりと変革の時期にあります。指導するコーチ陣は力を入れてやってくれているので、トップチームやユースチームがさらに活躍して、レノファでサッカーを学んでいずれはトップ昇格をしたいと思ってくれるスクール生を増やせるよう、一貫したプレーモデルで選手を育てられるよう、山口県で唯一無二の環境を誇れるサッカースクールへの成長していきたいです。

こうして並べてみると、広告収入以外はほぼロアッソ熊本に負けているという状況がわかりました。昇格1年目はいくつか例外要素があるというのはさておき、競技成績も大きく水を開けられています。レノファ山口FCのフロント力に課題があるのは否定できません。意識を高め、もっと頑張ります。

ロアッソ熊本のみなさん、素晴らしい指標を発明し開示していただきありがとうございます。

2022数値目標~開かれたクラブ運営を目指して~ (ロアッソ熊本)
https://roasso-k.com/top_team/club_goal

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