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窓辺で本を

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これまで読んだ素敵な本たちをふむもく視点でご紹介します。
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162 夏におすすめの小説6選

日に日に暑さが増してきました。 梅雨が明けたら、明るい夏が待っています。 今年の夏はどのように過ごしますか。太陽を思いっきり浴びて、汗をかくのも夏らしい過ごし方ですが、涼しい室内で本の世界に入るのも良いものです。 本は旅です。空間も時間も超えて、他の人のフィルターを通した別の景色を見にいくことができます。自分一人だけでは体験し得ない人生を知ることは、心潤う時間です。 今回は、夏の読書におすすめの小説を六冊ご紹介します。 作中の季節が夏だから選んだものもありますし、季節に

112 私の本棚-白木蓮の季節編-

この冬の終わりにも白木蓮が咲きました。 ふっくらとした、やさしい花が春の訪れとともに咲きました。 今年の白木蓮と出会ったのは、三月のはじめ、お仕事へ行く途中でした。やや霞みながらもきれいに晴れた平日、木いっぱいに白いお花が広がっていました。 その白木蓮は、川沿いの道に並んでいる桜たちの中に二本だけ紛れているのです。毎年、桜よりも何週間か早くつぼみをふくらませます。 少し離れたところから見るせいか、白木蓮に気づく時はいつも満開です。 ふわふわと木を彩る白木蓮。今年も会えた喜

105 私の本棚-1月編

たとえば、なにかに成功したとき、あるいは失敗したとき、こんな言葉が思い浮かびます。 「君は何を学んだ?」 大気が微かに揺れ、風が笑った。 -『風の歌を聴け』 村上 春樹著より あるいは、不意にひとの心が見えたとき、こんな言葉が聞こえます。 あんなふうに落ち着いて、白くて、誰もがじんとして泣きたくなるような明るくてきれいな場所があなたの中にあるのね。 ―『サンクチュアリ』 吉本 ばなな著より こういったときに、これまで読んできた本が私の血肉になっていると感じます。 言葉