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ふむもくエッセイ

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ふむふむと思ったことと、もくもくと感じたうれしいことを集めました。
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2021年5月の記事一覧

157 文字が音もなく記憶を呼び覚ます

雲はたくさん浮かんでいるけれど、概ね晴れた朝。 本棚の整理をすることにした。 私の家に本棚は四つある。 一つは画集や写真集、刺繍の図案など大型の本をしまっている棚。リビングのソファ横にあり、芸術棚と呼んでいる。棚の上には気に入った単行本もずらりと並べている。 二つめは文庫本だけびっしり入った薄い文庫棚。棚の上は辞書類や仕事の本を寝かせて乗せている。廊下に置いているので、そこで入浴のおともを探すことが多い。 三つめは絵本ばかり入れた絵本棚。これには引き出しが二つ付いているので

156 カラフルタオル

たっぷりの雲が浮かんでいる朝。 ベッドから出たもののまだまだ眠たくて、ふわふわしながら紅茶を淹れていました。 ピンポーン ドアを開けると、郵便局の方が大きな段ボールを抱えて立っています。 「お届け物です。受け取りサインいただけますか」 なんだろう? シャチハタを押して受け取った段ボールは、大きさの割に軽いのです。 差出人は母。郵便局の方にお礼を言って部屋に入りました。 居間でびりびりと音を立てながらガムテープをはがします。 いつものことながら、必要以上に厳重な梱包。