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読んだ観た聴いたもの感想ざっくり書く 2021年3月1日~7日

いろいろなコンテンツを摂取することが好きなのだが、年のせいか、その内容を覚えておくことがめっきり困難になった。
定期的にまとまったアウトプットをする機会が激減したことへの危機感もあり、ここにメモしていってみようと思う。

▼小説
・『スタッキング可能』(松田青子/河出文庫)
何がきっかけだったかは覚えていないのだけど数年前からなんとなく気になっていた小説。ここ1年ほどで文庫本を持ち歩く習慣が付き、『11 eleven』(津原泰水)読了の次に読むものとしてなんとなく購入。「なんとなく気になる」勘はこと小説に関しては大体当たるものだなと思った。表題作のトリッキーな構成と現代社会人が普遍的潜在的に持っている感覚の写し取り方、押しつけがましくない問題意識がとても心地よく面白かった。『ウォータープルーフ嘘ばっかり!』シリーズは個人的にDr.ハインリッヒさんで想像して読んでしまった。Dr.ハインリッヒさんはこの間の「ネタパレ」で初めて拝見しただけなんですが。もっとネタ見たいなと思っている。松田青子さんも今後注視していきたいです。

▼マンガ
・『賊軍 土方歳三 3』 (赤名修/講談社イブニングKC)
女オタクとして幕末と新選組は若い頃にしっかり履修している関係でいまだに関連作品が出ると気にはしてしまうんですが、今追ってるのはこれと『星のとりで 箱館新戦記』(碧也ぴんく)です。たまたまどっちも鳥羽伏見以降の土方さんがメインの話。『星のとりで』は少女マンガナイズキャラデザが、こちらは沖田総司が生きていたというif設定が大きくて魅力的な「マンガのウソ」として作用。でもどっちも広義の、そして王道の「新選組萌えマンガ」なところが、それを今の時代にあえて堂々とやるところが好きです。

・『【推しの子】 3』(赤坂アカ、横槍メンゴ/集英社YJC)
1巻ごとに新章突入するとにかくスピーディーな展開、ひたすら美しく愛らしい作画、テンポの良いギャグ、スマホやタブレットの小さな画面での見やすさに最適化されたコマの配置や密度、そしてこの巻では恋愛リアリティー番組でSNS炎上、誹謗中傷…というタイムリー過ぎるほどの同時代性。そして根底にはしっかり太い物語が流れていて、魅力的なキャラクターがいて…と、エンタメとしてのクオリティがとにっかく凄い作品だと思う。こういう言い方はあまりしたくないけど本当に勉強になる。あとコミックスに「これまでのあらすじ」つけてくれるのほんっとにありがたい。集英社無双すぎて腹立つわ~~~~おもしれ~~~~!!!!

・『みどりの星と屑 2』(瀬崎ナギサ/双葉社AC)
他の作品になぞらえる言い方はたぶん作家さんはあまり好まないだろうけれど、これは賛辞として言いたい。この作品は令和の『ヨイコノミライ』。人間の、こと何かしら「クリエイティブ」と呼ばれる職種を目指していたりその世界に身を置いていたりする人間の、醜い、直視したくない、ドロドロの感情をパキパキした画と構成でドロドロしすぎないように、そしてちゃんと救いが見えるように描いていってくれている。地味ながら良い作品、という形容がふさわしいかと思う。

・『友達として大好き 2』(ゆうち已くみ/講談社アフタヌーンKC)
すごく静かで愛おしい素敵で新しい青春マンガだな~と引き続き心がふわふわする。さなこちゃんにわりと早々に味方ができていて嬉しい。しかし(それを言っちゃあおしまいだが)文化祭仕切るの文化祭実行委員じゃなくて生徒会なのね。

・『パタリロ! 選集 1』(魔夜峰央/白泉社文庫)
kindleの大セールで25巻まで買ってあったうちの1巻をなんとなく読み出す。1巻は紙で読んだことあるので再読。初めて読んだの中学生くらいの頃だったと思うんだけどインパクト強かったのか細かいセリフとか結構覚えているものだと思った。当時はわからなかった小ネタがわかるようになっている再読ならではの楽しみもあり。それにしても40年前の少女マンガ、読者に求められる教養と感性のレベルが本当に高いな…。

▼映画
・『すばらしき世界』
新宿ピカデリーの鑑賞クーポン期限が切れそうだったのと、2月全然映画を観られなかったので何か観ようと思い。『永い言い訳』がとても好きだった西川監督。
こうした「階層」を活写する感じの作品は、自分をどこに置いて観たらいいんだろうな、と、泣きながら冷静な頭で考えてしまった。で、登場人物の中では私はたぶん津野田が一番立場が近い(部屋の雰囲気とかも含めてムズムズしてしまった)のだけど、ラストで取り乱す津野田に、私が三上さんのような死に方をしたとしたとして、こんなふうに泣き叫んでくれる人はいないだろうなあと思い、そこまで誰かを思えるようになった津野田を羨ましいと思った。
演出意図があることはよくわかるのだが、そんな真っ白の高そうな素材の服で焼肉屋行く!??!?と長澤まさみに思ってしまった。それともテレビ局のキラキラ女子はみんなああなのか???
役所広司さんすごかったです。生きてほしかった。

▼テレビ
・R-1グランプリ 決勝戦
推しができるとジャンル全体に興味が出てくるもので、昨年のM-1からこっちお笑いをとても久しぶりに積極的に見ている。R-1は初めて見たけどリニューアル後初で実質初回みたいなものといわれた通り、豪華な審査員がほとんどコメントできなかったりと進行が巻き巻きグダグダ過ぎだったのが残念だった(そしてスタッフ陣の心中を思って胃がキリキリした)けどネタはみなさんそれぞれ方向性が違って面白かった。それぞれ良かったけど一番声を出して笑ったのはZAZY。ビックリさせられる笑いが私は好き。また見たい。

・テレビ千鳥
で、その「推し」は錦鯉なんですが、まさのりさん出演とのことでニコニコしながら見てたら情緒が忙しすぎた。愛情深い番組だなあ。

▼その他
・夏目房之介教授最終講義「マンガ研究はなぜ面白いのか」
マンガ研究者に私は一生あこがれ続けるんだろうなあ、と、一介のマンガ文化のオタクとして実感した時間でした。以前とあるお仕事で「マンガが思春期から大人になるまで」というフレーズを書いたことがあって、これは完全に『あの頃マンガは思春期だった』へのミジンコのようにささやかなオマージュでした。

以上です。

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