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よいデザイナーには、オーナーシップがある #cxonight

こんにちは。フリーランスでwebディレクターをしているふもん(他称:ふもぱん先生)です。参加したイベントの性質上、4年ぶりくらいにnoteを再起動しております。

2018年2月9日(金)にTECH PLAY社で開催された『スタートアップにCXOが必要な理由 - CXO Night#2 by TECH PLAYデザイナー部』に参加してきました。

CXOの参加により成果指標が1.5〜2倍に

いきなりですが、深津貴之(fladdict)さんがこの「note」を運営しているpiece of cake社のCXOとして参加されてから、noteの売上等の指標が1.5〜2倍になったとのこと(細かい数値が提示されたわけではないので、少し曖昧な書き方になっています)。

「CXO」は、日本ではまだ珍しいポジションですが、さっそく成功事例が生まれたと言えるのではないでしょうか。早々にベタな感想で恐縮ですが、今後、CXO(またはCDO)といったポジションの進展に有用な事実と思いますので記しておきます。

よいデザイナーには、オーナーシップがある

本イベントで感じた重要なキーワードをひとつだけ挙げるなら、それは「オーナーシップ」でした。

つまり、プロジェクトを自分ごと化し、深く関わる力(カタカナで書くとコミットメント)です。

イベントの中で特に印象的だったのは、深津さんがnoteユーザーの記事を読みまくり、ユーザーと実際に会って話を聞いている、ということでした。

「ユーザー中心」、「ユーザーファースト」という言葉を業界にあふれていますが、実際にユーザーの声を聞きに動くデザイナーはどれくらいいるのでしょうか(※かなりの自戒を含む)。

信頼関係をつくる組織づくり

深津さんはpiece of cake社内で、「こんなnoteは嫌だ」ワークショップを開いた、というお話をされていました(「文字が点滅するようなnoteは嫌だ」とか「ページが8分割されて表示されるようなnoteは嫌だ」とか、そんな意見が出たそう。笑)。

これはサービスが目指す方向を共有しつつ、サービスを一緒につくるメンバーの価値観を理解し、協力を得ていくための工夫なのでは…と勝手に思いました。

プロジェクトを円滑に進めていくうえでは、メンバーと仲良くなることも重要です。私は昔、「理解はしたが、納得はしていない」と某偉い人に言い放たれ、膝が折れる音が聞こえました。人は論理だけでは動きません。

自分ごととしてプロジェクトを動かすなら、人の協力を引き出す工夫も欠かせませんね。

初期段階で成果を出し、任せてもらう工夫

冒頭で、「noteの売上等の指標が1.5〜2倍になった」と書きましたが、深津さんがpiece of cake社にCXOとして参加されてからまだ半年もたっていません。

これだけ早期に結果を出すのも深津さんの作戦のようで、最初に結果が出やすいポイントにフォーカスし、実際に結果を出すことで信頼を勝ち取るのだそうです(その後、一見成果に結びつきにくそうな文字詰めなど、細かいところにも手を入れていく)。

同社CEO加藤貞顕さんが、「深津さんがこんなにやってくれるとは思っていなかった(自分たちよりやってくれてるのでは?と思うほどに)」と、度々おっしゃっていたのが印象的でした。

CXO=フルスタックデザイナー

そんなCXOに求められる能力ですが、デザインして、開発して、プロジェクトマネジメントして、マーケティングもやって…つまりはフルスタックデザイナーのようなものではないか、と。

この全方位感は、PodCast「Takram Cast」で田川欣哉さんが話されていた「BTC型人材」を想起します。(BTC:Business, Technology, Creative)

全分野を深掘りするのは不可能ですので、実際には各分野のエキスパートと会話できる知識と、ある程度の経験を持ち合わせておくことがポイントでしょうか。

イベント終盤のQ&Aで深津さんは、「プロジェクトメンバーと仲良くなるコツは?」との質問に、「相手の言葉で話せるようになること」と回答されていました。

例えば、経営者の言葉でデザインを語れれば、経営者も「デザイナーって模様描く人じゃないんだ〜」と思ってくれる、と。

CXOを目指すデザイナーは、何かをつくって売る経験を

CXOに必要な素養を身につけるのにおすすめされていたのは、「何かをつくって、自分で売ってみる」ということでした(深津さんの場合はiPhoneアプリの開発と販売)。

例えば、有料のZINEをつくって売ってみる。どんな内容なら売れるか? 材料費はいくらか? 手間はどれくらいかかるか? どうやって売るか? 売上は? 手伝ってくれた人への謝礼は? 元はとれるか? …等。

自分がよいと思ったものをつくり、売ってみるということは、この上ないオーナーシップの発動がともないそうです。

資本主義から価値主義へ

イベント中ふと思い出したのは、最近読んだ佐藤航陽さんの『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』(幻冬舎)

同書には「資本主義から価値主義へ」という項があります。そこから展開されていく話の中に、1980年代以降に生まれたミレニアル世代は、人生の意義をもつことが「価値」になった世代と指摘されています。

これはイベントの冒頭に開かれた若手デザイナー(20代前半)のトークで思い出しました。若手の話を聞いていると、登壇者3人のうち2人が、「何のためにデザインしているのか?」という疑問を持ってメガベンチャーを辞めたようです(と私には聞こえました)。

登壇者のおひとり、こばかなさんの「デザインしているようで、実は何もデザインしていなかった」という言葉も印象的でした。くわしくは、こばかなさんの「本当はこんな話をしたかった。CXO Night #2 」ご参照。

プロジェクトを自分ごと化し、深く関わるには、「自分は何に意義を感じるのか?」という問いが必要になります。個人のレベルではこの問いを常に持ち、アップデートしていく必要がありますね。

一方、組織のレベルでは、この意義をプロジェクトメンバーに提供できるか? が、優秀な人材を集める上での大きなポイントになりそうだな、とも。

今回のイベントから考えた自分のアクションリストは以下。

・受託で請けている仕事の意義(クライアントのミッション)を再考する。
・クライアントにとってのユーザーに会う(営業に同行する等)。
・何かをつくって売る(自分にすぐできるのはWordPressのテーマづくりか…)

本イベントの会場提供、スポンサー企業は以下の通り。おかげさまで有意義な時間を頂戴しました。ありがとうございました。

TECH PLAY
Takram
BCGデジタルベンチャーズ
クラウドワークス
Skyland Ventures

ちなみに深津貴之さん・こばかなさんが登場する、以下Takram Cast「CXOってなんだっけ」もご存じない方向けに紹介して、本エントリーを締めくくります。


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