ドイツで人は老若男女、政治に一家言ある

ドイツに『ノンポリ』は居るか?

国民から投票される議員で構成される連邦議会の投票率は、ここ20年の各回統計では、60〜80%である。
35歳以上の投票者に限れば70〜80%、18〜30歳に限っても60〜70%ある。

これは、日本人の目から見たら、かなりの数だと思う。

市議会議員選挙だろうが、ヨーロッパ議会選挙だろうが、選挙近くなると、職場でも近所でも、話題に上ることが多い。

以前同僚に、
「政治に興味あるでしょう?」(勿論あるよね?というニュアンスで)と聞かれ、
「あんまり…」と答えると、
「ええっ!」と絶句された。

私にとっての転機は、(随分遅いけど)コロナ禍であった。
ロックダウンで職場(劇場)が完璧に休業してしまった時期がある。

仕事場でゲネラル・プローベの日、午前の休憩時間にその決定はやって来た。
「今日の夜のコンサートは中止。明日からロックダウン。」と。

フラフラ遊びに行くことも禁止、外食も人と会うことも禁止されてしまった。
すでに家から出ている子供たちに会いに行くことも憚られて出来ない。

時間だけは余るほどあるので、毎日、朝食の後、公共放送のwebニュースを隅から隅まで読むようになったのだ。

テレビでしょっちゅやる、ロベルト・コッホ研究所の所長(謹厳な紳士で、緊迫したコロナ情勢下、額には汗を浮かべている)、厚生大臣、倫理学教授(コロナ規制の人道的可否を考える人)などが並んでやるコロナ記者会見も欠かさず見ていた。

そう、政治は非常に身近なもので、敬遠する理由など1mmもない面白いものだったのだ。

私は日本国籍を保持しているので、その他の義務や権利はドイツ人と同じにあっても選挙権だけは無い。
それでも選挙が近づけばニュースも見るし、人とあれこれ話もする。

知り合いの日本人に、
「以前は興味なかったんだけどねえ。」
と話すと、
「私だってそうでしたよ。でも、うちは夫(ドイツ人)と娘(小6)がどの政党が、とか議論してますからね…。」
だそうだ。

ドイツに『ノンポリ』は居るか?
私には分からない。
ただ、「世間で起こっていること、政策に関して一言も言わない人」には、私の周りでは会ったことがない。





#エッセイ部門

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