あなたの隣のドラッグディーラー

ベルリンの日系美容院に予約の電話をする。
電話に出た店の人が、聞いたことのない変な日本語で対応する。

「⚪️⚪️は、あの、えと、居ないようになりまして…」
⚪️⚪️は、私がいつも指名するスタイリストだ。
「居ないようになる」とは？
「予約が埋まっています。」でも
「辞めました。」でもない。

情報通の友人に聞く。
「ああ、あれね〜。」

なんと収監されているという。
え？あの明るくてサバサバした彼女が？

他の日本人数人とアメリカ人１人のグループで、ドラッグを密売していたという。

信じられない思いだったが、あらまあ、ベルリンの新聞に小さく載っていた。
グループの1人の日本人は、ポーランド方面に逃走中、とあった。

⚪️⚪️は、美容院で勤務中に、警官に囲まれて逮捕されたらしい。
麻薬の密売は外堀を埋めてから逮捕するのですね。一斉にお縄だったそう…(1人逃げたけど。)
いや、彼女も、(何も知らない)同僚たちも、さぞ驚いたことだろう。
保管や包装が彼女の仕事だったそうだ。

他の友人は言う。
「え〜、お勤め終えてシャバに戻って来たら、塀の中の話を色々聞きたーい。」

いやいや、アンタ、気持ちはわかるが何を脳天気なことを。
複数の日本人が、異国の地でドラッグ売ってたんですよ？
所持してだけ、でも、試してみただけ、でもない。
不特定多数の人間にドラッグを売る片棒をかついだんですよ？

勿論、見知った人が刑務所で数年過ごすことになったのは、かなりのインパクトだが、気になるのは、日本のパスポートの信頼性が下がるかも、ということ。
日本人ということで、ホイホイ通れていたイミグレで疑いの目を向けられるかも？
空港の荷物検査で、ほぼ開けられたことのないトランクを端からあけられる？

後記
⚪️⚪️は、既にオツトメを終え、日系ではない美容院で働いている、という噂だ。