嗚呼、略奪愛 受け止め方が違うドイツ

これは、私の側で起こったことです。

職場に子持ちの夫婦がいました。
奥さんは育児休暇中。
子供1人あたり3年まで休めるので、3人目の子供の休暇中だった彼女は、休職7〜8年目(長い!)だったと思います。

そんな時、女性新入社員Aが入社。
旦那さんとAは急接近。2人は出来てしまいます。

すったもんだの末、夫婦は離婚、奥さんが職場復帰して来ました。
この3人が並んで仕事する様を、他の職員は冷や汗垂らし、息を詰めて見守る日々。
Aは悪びれることもなく、恋人にしなだれかかっております。

ここで私が驚いたことがあります。

日本だったら?
Aはすごく非難されるのでは?
旦那さんは勿論だけど、どちらかというとAが悪者にされるかな、と思うのです。
結婚という契約を結んだ2人の間に、そうと知りながら入り込み、子供もいるのに別れさせ…
正に略奪してしまう。

きっと日本の(特に)女性陣は嫌悪感を抱き、話し合わずとも共通の感覚で、今までと違う態度でAに接するんじゃないかな?と思うのです。

私のドイツの職場では、
「あれ、目のやり場に困るよね。」
「いや、あの男も肝が太いわ。」
「これから奥さん大変だよね。」
などと言うことはあっても、皆んなでアイツを懲らしめてやろう、という動きは一切無かったのです。
Aとも旦那さんとも普通に喋るし。

個人的に、「俺はオマエと仕事するのはすごく嫌だ。」とAに直接言いに行った男性が若干1名居ましたが、それだけ。

これがヨーロッパの個人主義というものか、とハタと膝を打ってしまいました。

ここには、「人が誰かを好きになることを他人にはどうこうする権利はない。」という明確な考えが行き渡っているようです。

日本では、芸能人や政治家の不倫報道が多いですね。報道の過熱ぶりは、有名度や不倫カップルの組み合わせ、それまでのイメージなどによって異なるようです。
ドイツには3〜5度結婚をした政治家が複数居ますが、各々の結婚生活の過渡期には所謂「不倫」関係があったと思われます。
綺麗に別れて身を清めてから「ヨッシャー、次探すぞ〜。」なんて奇特な人の方が珍しい。
でも、それで制裁を受けたり、失脚する、なんてことはない。

どちらが良いとか悪いとかは思いません。
ただ、「文化が違う…」と深いため息が出るのです。








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