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防災ブラチャリリ9 〜東京都防災アプリをお守りにして帰宅困難者シミュレーション〜

気象予報士の加藤史葉@WeatherDataScienceです。
防災に関する設備や記念碑などをめぐり、防災に関する知識・興味を広げていく『防災ブラチャリリ』シリーズをnoteで公開しています。

前回の防災ブラチャリリでは、“行動”の備えとして『外出先で大地震に遭遇し、その後どうやって無事に帰宅するか?』というお題を設定し、東京都防災アプリを駆使しながら自身のアクションプランを考えてみました。

今回は、前回考えた以下のサバイバルプラン👇

新宿で大地震に遭った場合、帰宅困難者の一時滞在施設となる都庁へ向かい、瓦礫の撤去や人命救助が落ち着く目安である72時間を過ごした後、徒歩で防災船着場まで移動し、水上輸送を利用して無事帰宅!

の中の “都庁(一時滞在施設)から千代田区庁舎前防災船着場へ徒歩で向かう” を(チャリで)シミュレーションしてみた「現地!現物!現場!」なレポートです。

それでは、防災ブラチャリリ 〜東京都防災アプリをお守りにして帰宅困難者シミュレーション〜 行ってみましょう!

都庁(一時滞在施設)を下見

新宿で大震災に遭った場合、帰宅困難者の避難先となる都庁(一時滞在施設)へ向かい72時間を過ごすことに決めているので、そのような目線で都庁へ下見に来てみました。

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災害時に飲料を無料で提供してくれそうな“災害対応型自販機”をフロアの一角で見つけました。災害時を想定した設備があるのが心強い!

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そして、都庁の中は圧倒的に広い!
大勢の帰宅困難者が押し寄せてもそこまでギューギュー密な感じにはならないかも?
そして、都庁の敷地内や周辺にコンビニがたくさんあることを確認。避難滞在時に入用の物を調達する際にお世話になることにしようっと。


東京都防災アプリで移動ルートを確認

発災から概ね72時間が経過して移動ができるようになったら、いよいよ一時滞在施設を出て自宅を目指します。
湾岸エリアにある自宅付近へは水上輸送を利用して帰宅するため、まず“千代田区庁舎前防災船着場”へ徒歩で向かいます。
このことを想定して、前回の防災ブラチャリリでは、都庁から千代田区庁舎前防災船着場までのルートを、東京都防災アプリのマイルート機能に登録しました。

今回は、登録したマイルート(下図青線)をチャリで移動してみます。
総合危険度マップ(下図中央・右)によると、ルート上にオレンジ色で示された危険度ランク3のエリアがあることを頭の片隅に置きながら…

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ちなみに、都に問い合わせてみると、東京都防災アプリのマイルート機能(出発地と目的地を設定すると自動でルートを組立ててくれる機能)は、危険度を考慮した安全なルートを選定するロジックではないそうなので、実際にルートを歩きながら危険がないかをチェックする“防災シミュレーション散歩”に出掛けてみることをお勧めします。

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資料引用:東京くらし防災


いざ都庁を出発

チャリをピックして、千代田区庁舎前防災船着場へGO!

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都庁を出発してすぐ、あの有名な『LOVEオブジェ』が見えてきました。
左手に見ながら横を素通りー。

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JR線の高架下を潜ると、頭上に看板がびっしり連なる景色が見えてきました。
本番は、余震で看板が落ちてくるかもしれないと気にしつつ歩くことになりそう。

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東京都防災アプリの防災マップでルートの危険度をチェック

アプリトップ画面の最下部にある『防災マップ』アイコンをタップ→『地域危険度マップ』をタップすると、現在地の危険度が表示されます。

靖国通りをひたすら進むと、ルート上のオレンジ色エリア(危険度ランク3)に入りました。

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画面上部にある矢印が交差しているアイコンをタップ(上図左)すると、『建物倒壊危険度』→『火災危険度』→『総合危険度』と画面遷移します。
この場所は、火災による危険度が高いようですが…

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靖国通り沿いは鉄筋コンクリート造りのビルばかりで、延焼火災が起きやすいエリアには見えませんでした。
景色の奥の方に建物が密集してそうなエリアがあるので、そこの評価だったのかな??
とにかく、靖国通りを歩くには火災に対してそんなに心配いらなそうなことが確認できました。


災害時帰宅支援ステーションもチェック

靖国通りをどんどん進みます。
警備員が多く威圧感ある門構えだなぁと思ったら、防衛省でした。
本番で、都庁からここまで歩いてきてトイレとか行きたくなってたら、貸してくれるといいなぁと思ったり…

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オフラインマップを見てみると、防衛省敷地内に『災害時帰宅支援ステーション』が3つもある!
防衛省で働く人たち向けかもしれないけど、本番ではもしかしたら利用させてくれるかもしれないので、一応覚えておくことにします。

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災害時帰宅支援ステーションとして協力するコンビニなどの店舗入り口に以下のステッカーが貼ってある(上図右)ので、よく通る道沿いで普段から観察して覚えておくと良いです。

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防災船着場に到着

新宿区から千代田区に入り、靖国神社が現れました。
本番は、余震で、敷地を囲む石造りの塀が倒れてくるかもしれないから気をつけることにしよう。

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ちなみに千代田区は、区内全域が『地区内残留地区』。
つまり、千代田区ごとまるっと不燃化が進んでおり、万が一火災が発生しても大規模な延焼火災になる恐れがありません。

そんな千代田区の区役所庁舎に到着しました!

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防災船着場は庁舎の裏の方(下図)。

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千代田区庁舎すぐ横を流れる日本橋川。その上に首都高が走る。

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船着場っぽい設備を発見!

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船着場へ近づいてみます…

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あった!

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千代田区庁舎前防災船着場ゴーーール!

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「災害に備える」のは、本当に面倒で腰が重い、簡単なようで実はハードルが高い行為です。
でも、やらなきゃいけない。
地震だけでなく、水害に対しても、家族みんなで想像力を膨らませながら、遊びも取り入れながら、面白がりながら、少しずつ備えていければと思います。
ブラタモリ風に、災害時に歩くだろう道の景色を観察しながら散歩するの(チャリでも)、面白いですよ!

都庁(一時滞在施設)から千代田区庁舎前防災船着場へ移動シミュレーション、終了!


おまけ:マンホールトイレ探索のすすめ

ある日の散歩中、足元に一定間隔で並ぶマンホールの蓋が目に入り、よく見ると『災害用トイレ』と書かれていました(下図左)。

調べてみると…
災害により断水や停電が起こると、トイレが使えなくなります。無理に水を流して使ってしまうと、トイレの排水管に損傷があった場合、トイレからイロイロ溢れ出してしまう可能性大。
いつものようにトイレが使えなくなった時、災害用トイレ専用のマンホールを活用し、マンホールトイレが設置されます(下図右)。

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住まいの近所で、いつも通る道で、ちょっと足下を観察しながらマンホールトイレの場所を見つけておくのも「災害に備える」アクションのひとつとしてお勧めします。

新宿区のように、災害用トイレの場所を公開している自治体もあるので、ぜひチェックしてみてください。

図2

資料引用:新宿区災害用トイレ一覧

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