SmartHRアクセシビリティテスター(業務やテスト環境紹介)

SmartHRアクセシビリティテスター(業務やテスト環境紹介)

SmartHRのプログレッシブデザイングループでアクセシビリティテスターを行っている柳瀬と言います。

すでにお伝えしてきたとおり、私はロービジョン(弱視)で、その特性を生かしてアクセシビリティテスターとして業務を行っていますが、その業務や作業環境については触れてきませんでした。
私は業務の一つとしてSmartHRで実際に使用している手続きや申請を録画しながらテストする業務を行っています。

録画している上で私がどこを確認しているかどうかは声に出して言わないと普通の人とは見え方が違うため動画を見る側の人は見ていてもわからないことだと思います。今回はテスト録画を行う時に私が気を付けていることなどについて書いていこうと思います。

  • テスト環境の説明

  • テスト前の準備

  • テスト実施時の注意点

  • テスト終了時に行うこと

  • まとめ

テスト環境の説明

私が現在SmartHRでテスト行うときにどのような機材などを使用しているのかについて説明します。

使用している機材(2023/8/22現在)

機材系だとこれらを使用してテストを行っています。
パソコンは会社から支給されたものを使用しています。
ヘッドホンはいつもスクリーン・リーダープロフェッショナル養成講座で教えていただいている辻さんから紹介していただいたもので、キーボードは凹凸のはっきりしたものを使用しています。
ipadはテストで行うシナリオを確認したり、カンペを記入したりしています。

使用しているソフト・ツール

動画撮影ではdebut動画キャプチャソフトを使用しています。基本的には有料なのですが、少しの期間なら無料で使用できます。すごく使いやすいというわけではないのですがショートカットキーで簡単に録画開始・停止ができますし、録画完了すると処理時間がかからずすぐに動画データができるので便利です。

記事の作成・編集ではvscodeを使用しています。無料で使用できますし、私はマークダウン記法を使用したりして記事を書いたりするのでとても使いやすいです。

テスト前の準備

私がテストをする際は、行うテストのシナリオ(テストする機能で実現したいこと)程度の必要最低限の情報しか頭に入れないようにしています。基本的に私は同じテストをスクリーン・リーダーを変えたり、ブラウザを変えたりして何回か行います。当たり前ですが1回目とそれ以降に行った時は初めに比べて2回目以降に頭に入っている情報量が違います。初めてやってできないことがある場合はなぜできないのかを発言し、2回目も初めてやる感じでやるように心がけています。

実際に動画では使用するスクリーン・リーダーが私には聞き取れても見る側の人が聞き取れない場合があるので読み上げるスピードを少しだけ遅くしておきます。またキーボード操作が何をしているのかわかりづらいと個人的に思っているので「今Enterを押しましたが反応しなかったですね」という具合に行った行動を詳しく伝えてあげることが見る側にとってもわかりやすいと考えています。

また、まずは何のテストをするかを発言し、どういう過程でテストを行っていくかを説明していきます。そして、もし事前に準備していることがあればそれについても説明していきます。例えば、私はマイナンバーなどの数字を入力する際はマイナンバーカードを見ながら入力することはとても難しいから準備していることを伝えます。

数字などを見ながら入力する場合は事前にドキュメントに入力しておいてテストをしている最中にコピペを行って貼り付けるようにしています。これはテストに限らず、私生活でも普通にやっていることですが、テスト録画を見る人はそんなことは知っているはずもありません。そのため、事前にちゃんと説明しておくことで 録画を見ている人が疑問を抱かないように進めていくようにしています。

ほかにはテストを行うページに使用する媒体を準備したり、すぐに録画ができるようにしするなどの基本的な準備をしておきます。

慣れるまではipadのドキュメントに私の目でも確認できるぐらいの大きな字でカンペを作っておくようなこともしていました。

テスト実施時の注意点

テスト中の注意点を何点かに分けてみました。

1.現在見ているところをはっきりと言葉に出して伝えること(拡大鏡使用のテストの場合)

とにかくまず第一に私がどこを見ているのかが動画を見ている方にはわかりづらいと思うので見ているところを声に出して読むということです。主に拡大鏡を使用して行うテストに対してですが、私の場合はパソコンの画面の三分の一くらいは拡大した画面で占められています。その拡大している文字でもすべてが見えているわけではないので、声に出して今どこを見ているのか分かるように気を付けています。

2.色があった場合は何色か発言すること(拡大鏡使用のテストの場合)

次に私の場合はWindowsを使用していますが画面は少しでも見やすいようにコントラストテーマを使用しています。そのため背景が黒色の白文字という私にとっては文字が少しでも見やすいようにカスタマイズしています。しかし、そうすると本来見えるはずの色や色が反転して画面が真っ赤になったりと画面上がにぎやかになっていることが多々あります。動画を見ている方には色の違いが分かっていても私自身が分かっていない、もしくは見えていないことがそれなりにあります。そのため色があったら声に出しておき、その色がほんとにあっているかどうかを動画を見ている人に確認してもらうようにしています。

3.気になったことはつぶやくこと(すべてのテスト)

先ほどから何回か言っていますが、読み上げている最中に疑問に思ったり、わからない場所があったときはその場所で停止して何がわからないのか言葉に出して録画に残すようにしています。私は録画の最後にまとめとしてテストで感じたことや使いづらかったことを発言します。その時に言い忘れてしまっていることもあるのでちょっとしたことでも独り言みたいにつぶやいてメモ書きを書くときに最初から動画を聞き直して書き漏れがないようにしています。

4.聞き取りづらかったり、何を読んでいるかわからなくなったときはメモに残しておくこと(スクリーンリーダーの場合)

スクリーン・リーダーでテストを行うときも同様で、特に些細なことでも気になったことは声に出して映像に残しておき後で確認できるようにしています。スクリーンリーダーの場合は「場所によって同じことを何回も読むのを一度にできないかな」とか「更新したかどうか何も言わないからわからない」など視覚を使ったテストとは違い、聞いていての問題になりますので少しでも気になったことや聞き取りづらかったことなど感じたことは今までと同じくメモに残しておくことにしています。

テスト終了時に行うこと

テストが終わるたびにドキュメントでそのテストのよかったところや使いづらかったところに関してまとめていきます。先ほども記載しましたが私は何回か同じテストをするので2回目以降のテストに関してはそれ以前のテストと比較することもあるので、前もって先に比較できるテストの場合は気づきを書くようにしています。

一度まとめを書き終わってから、録画した動画を自分で確認して書き漏ればないかどうかをチェックします。その際に自分の発言の取捨選択を行っていきます。書き終わって提出した後にテスター共有会にてテストがどうだったかを他の方々に共有していく流れになります。

まとめ

以上がアクセシビリティテスターとして行っている業務の一部であるテスト録画についてテスト環境やテスト録画をしていくうえで私が注意していることについてのまとめになります。

上記で同じようなことを言ってきましたがロービジョン(弱視)の場合、見え方が人によって異なるためテスト録画を見ている人に伝えるとき注意することも人それぞれになると思います。しかし、その時にどのように見えているのかを録画を見ている人に伝えることが大切なのでまずは気になったことは発言すればテスト動画を見た方に私自身が気づいてない問題があった場合でも見ている方に気づいてもらえるかもしれないので気付きを声に出すことを第一にすれば問題ないと思いました。

私がテストすることで私のようなロービジョン(弱視)の方に限らず、同じような悩みを持つ人にSmartHRは使いやすいと思ってもらえるようにどんどん意見を出してこれからも無理をせずにテストを頑張っていこうと思います。

余談ですが自分で自分の発言を聞いていると口癖みたいなものや何言ってるのかわからないときもあります。
自分で聞いていると恥ずかしくなることもあるので、自分で聞いていても恥ずかしくないように口癖に注意しながら発言することを心がけています。

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