SmartHRのアクセシビリティテスター~よく聞かれるロービジョン(弱視の歩き方)の話~
よく聞かれるロービジョンの話(弱視の歩き方)
SmartHRのプログレッシブデザイングループでアクセシビリティテスターをしている柳瀬といいます。
私はロービジョンの特性を生かしてアクセシビリティテスターとして働いていますが、ロービジョンと言っても見え方は人それぞれです。
そのため、同じロービジョンでも情報交換をしてみると新しい発見が結構あります。
このnoteに書いていくことで色々な方と情報の共有ができたらいいなと考えています。
前回は私の障害特性を主に書きましたが、今回は私が一人で外に出るときの
外での見え方、歩き方
外を歩くときに注意している点
実際に体験した困ったことや危なかったこと
について書いていこうと思います。
外での見え方、歩き方
前回の障害特性で普段どのように見えているかなどを紹介していましたが、建物の中と外ではかなり見え方が違います。
どのように見えているのか
私が外に出て、周りを見るとどのように見えるかというと眩しくてほとんど見えない状態になります。
普段は遮光眼鏡という光を遮る眼鏡を着用して外出しますが、あまり効果はなく眩しくて視界は白くなっているため、下を向いて歩くようにしています。信号機について
目が悪くなった初期の頃は信号の色が認識できましたが、現在の状態では日中では確認するのが難しくなっています。色を過信しすぎて何回か車に轢かれかけたため、音で確認するようにしました。
信号機を渡る場合は、進行方向の信号が変わってすぐのみの時に限定しています。理由は、渡っている途中で信号が変わったら困るからです。
そのため、信号についたときに渡れるとわかっていても、一度変わるまで待つようにしています。
一人で外を歩く前提として
私の場合、目が見えていた頃から知っている道でも最低3回は付き添いの人と一緒に歩いてもらうようにしています。
理由は誰かと一緒に歩いて道の目印になるものを探してその目印を参考にしても大丈夫か確認するためです。そのほかにも、今どこを歩いているか教えてもらいます。
そのあとに、家に帰った後にGoogle mapで拡大しながら通った場所に何があるのか残存視力で可能な限り確認します。
あとは何度も一人で歩いて訓練します。実際に職業訓練校に通うと決まった時に、通い始める1か月前から登校予定時間に毎日練習で歩きました。点字ブロックがない場所を歩く場合はどうするのか
私は歩くときに基本的に下を向いています。それは眩しくて上を向けないこともありますが、道路や道に引いてある白線などを目安に歩くようにしているからです。白線などはかなりぶれて見えますが、車が通っている方から離れて歩くようにしているため轢かれる心配がありません。
目印にしているのは白線、道路の縁石の段差や色の違いなどです。一人で目的地に向かう場合
病院などの目的地に向かう場合は、スマホのGoogle mapで目的地に設定し、スマホが目的地で振動したら目的地を探します。場合によっては電話をして案内していただくこともあります。しかし、これはあくまで目的地の場所に行ったことがあったり、ある程度目的地の場所を理解しているときしかできません。
外を歩くときに注意している点
私が外を歩くときに一番注意している点は、今外を歩いても大丈夫なのか判断することです。これが個人的にはかなり難しく感じています。
まだ私はそこまで音だけで判断することに慣れていないため、無理をしないように心がけています。
判断する要素はたくさんありますが、私の場合は主に
天気
人の流れや路面電車
日の出日の入り
などがあります。
天気の不安定な日は用事がない限りは家から出ない
天気は雨が降っていると、雨音が邪魔をして車の音や人の足音が聞こえづらくなります。また風が強いと風雑音があるため、音の聞き分けが難しくなります。
過去にも台風の日に訓練校に通学しようとして、思ったよりも風雑音がうるさすぎて周りの音が聞こえず、担任の方が途中まで迎えに来てくれたこともありました。
雨が降っていると傘を差すわけですが、傘がすれ違う人とぶつかる事が多々あります。しかし、ぶつからないように回避することは私にとってかなり難しいです。
以上の事より私はよっぽどの用がないとき以外は、天気が悪いときに一人で外出すること避けています。人の流れや路面電車が多い時間は避ける
人の流れが多いと、色んな方向から音が聞こえて状況がわかりづらい事と、杖が歩いている人に当たってしまうこともあるため、通勤時間やお昼時などの外出は控えています。
路面電車に関しては、私の生活している場所に一日中走っているため、通勤時間になると電車の本数が増えます。そのため電車の音で周りの音がほとんど聴き取れなくなるからです。日の出日の入りの時間を考えて動く
日の出の時間は眩しくて下を向いても眩しいため歩くのが難しくなります。逆に日の入りまでに家に帰らないと視界が真っ暗になるため身動きが難しいです。そのため、外に出るときは明るいうちに帰ってこれるか考えて動くようにしています。
以上が当てはまる場合は基本的によっぽどの用事がない限り外には一人で出ないようにしています。普通の人なら特に問題なくても、私の場合は自分の身を守る意味でも不用意に外に出ないようにしています。
実際に体験した困ったことや危なかったこと
ここからは外に出て実際に体験した困ったことや、危なかったことを紹介していこうと思います。
実態に体験した困ったこと
点字ブロックの上にエンジンを付けたまま一時駐車されること
点字ブロック上に車を止めてあることは、私の生活圏ではよくあることです。私個人としては点字ブロック上に一時駐車していることは、慣れているので特別に問題ないと考えています。
ただ、エンジンが付いている場合は話が変わってきます。エンジンが付いていると今から動くのかどうかがわからなくなるため、身動きが取れなくなってしまい困ってしまいます。急に体を引っ張られること
信号待ちなどをしていると、たまに『信号変わったよ』と言って急に手を引っ張られることがあります。声掛けをしていただけることはとても助かるのですが、急に引っ張られると普通に腕の筋や肩を痛めてしまいます。信号付近で音が全くないこと
大きな道路では基本的に車が通っているため、信号の状態がわかりやすくなっています。しかし、一つ路地に入ってしまうと車の通りが少なくなってしまい、時間によっては全く通っていない場合もあります。
その場合、信号の状態がわからなくなり進んで良いのかの判断が難しくなります。歩行者がいる場合は良いのですが、誰もいない場合は意を決して進むという感じになります。最近は信号機の色がわかるアプリ(Oko(https://apps.apple.com/jp/app/oko-ai-copilot-for-the-blind/id1583614988)を教えて頂いたため、それを活用しています。工事でいつもの道が使えないこと
工事の最中は基本的に警備員の方が案内してくれるので問題がないのですが、工事が中断している時に誰もいない場合はかなり困ります。
無理はしたくないので遠回りで行けるなら別の道を選んで行き、出来なければ諦めて帰ります。
実際に体験した危なかったこと
外出していて電信柱にぶつかるといったことはよくありますが、歩行中に危なかったと感じたことをまとめてみました。
自転車に正面から突っ込まれた
訓練校の通学中に点字ブロックの上を歩いていたところ、自転車に前から突っ込まれ『前を見て歩け』と言われたことがありました。工事中の場所に侵入してしまった
通学路を歩いていると、工事中の場所があり警備員がいなかったため工事の場所に侵入してしまいもう少しでマンホールの中に落ちそうになりました。信号が変わっていないのに信号を渡ってしまった
信号を待っている時に横の人に信号無視をされると、青になったと勘違いして信号を渡ってしまい車に轢かれかけたことがありました。散歩中に自転車のホイールに白状を差してしまった
散歩をしているときに点字ブロックの上に自転車が止まっていて、白杖をホイールの隙間に差してしまったらしく、もう少しで白杖が折れるところでした。
以上が実際に体験した困ったことや、危なかったことです。
ここまで書いてきたことは、あくまで私の見え方での歩き方になります。
今回はロービジョン(弱視)の歩き方について書いてみました。自分だけでなく相手をケガさせなように、これからも細心の注意をはらって外出していこうと思います。
ロービジョンが何に気を付けて普段どのようにして外を歩きいているかなど、少しでも知っていただけると幸いです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?