第4回スクプロ講座(設定のリセット編)

第4回スクプロ講座(設定のリセット編)

SmartHRのプログレッシブデザイングループでアクセシビリティテスターをしている柳瀬と言います。
今回は7月3日にプログレッシブデザイングループ所属で私の上司でもある辻勝利(つじかつとし)さんのもとで行われた第4回スクリーン・リーダープロフェッショナル養成講座(スクプロ講座)について報告していこうと思います。
辻さんは弊社のアクセシビリティスペシャリストであり、またNVDA日本語チームの代表でもあるスクリーン・リーダーの第一人者になります。
このスクプロ講座は私だけでなく色々な方にも有意義な情報になると思い、会話形式で記事にしてみました。

※スクリーンリーダーはNVDAを使用しています。

目次

  • はじめに

  • 設定のリセットをやってみよう

  • ディスクのクリーンアップをしてみよう

  • PCトーカーのアンインストールの場合

  • NVDAの読み上げスピードなどの簡単な変更方法

  • 最後に

  • まとめ

はじめに

辻:今週は少しおさらいになるところも多いと思うんですけれども、スクリーン・リーダーを使用していると予期した動作をしなくなって、再起動でも直らないという場合が出てくると思います。そう言った場合に自分でメンテナンスが出来たり、あとは自分で再インストールすることが出来たりするといいですね。例えばスクリーン・リーダーユーザーも環境を作る場合は本当は一人でやった方が良いんですよ。

柳瀬:確かにそうですね。

辻:他の人がセットアップした状態でずっと使い続けるよりも自分でメンテナンスやバージョンアップもしてもらいたいのでそのあたりの話を今日はしていこうと思います。

柳瀬:よろしくお願いします。

設定のリセットをやってみよう

辻:まずは新しいパソコンが来たとして、最初にやらなければいけないことはスクリーン・リーダーのセットアップです。NVDAをよく使っていただいていると思うんですけれども、NVDAのセットアップは前に紹介したNVDAことはじめとかでも取り上げられています。yanaさんはお一人でやられたんですよね。

柳瀬:そうですね。辻さんもその場に一緒にいましたよね。

辻:そうですね。それが出来れば基本的にはOKなんです。

柳瀬:なるほど。

辻:例えばですけど、NVDAの設定をいじった後に設定を戻さなければいけないことがあるじゃないですか。特に検証を行ってもらうときは常にスクリーン・リーダーのデフォルトの設定を使ってくださいみたいなことを言ったりしますよね。もちろん、読み上げ速度とかは別ですが。

柳瀬:そうですね。

辻:設定を戻すという所をやってみたいと思います。NVDAキーを押しながらNを押してメニューを出してみてください。

NVDAのメニューという

辻:そして下矢印で設定のリセットがあると思います。設定のリセットを押すと設定が元に戻りますが、いきなり戻るので今細かく設定している場合は押さない方が良いかもしれない。

柳瀬:そうですね。しいて言えばNVDAの立ち上げのキー操作を変更していますが、これは大丈夫ですか?

辻:それは大丈夫。

柳瀬:それなら他は大丈夫だと思います。

辻:あとは読み上げ音声がayumiになったり、音声速度が標準になったりするんですけども。

柳瀬:それはちょっと嫌かもしれない。

辻:設定のリセットの上に前回保存した設定に戻すっていうのもあります。一回やってみましょうか。

柳瀬:はい、分かりました。

設定のリセットを押すとすごくゆっくりな読み上げが始まる

辻:そうすると愛らしい声に変りましたね。そこからNVDAメニューを開いて先ほど言った前回保存した設定に戻すを押してもらっていいですか。

柳瀬:はい、分かりました。押します。

元の音声と読み上げスピードになる

辻:実は前回の設定に戻すのはRのショートカットが付いているんですよ。なのでNVDAメニューを開いてRを押してみてください。

柳瀬:なるほど、すぐに移動できました。

辻:でも、リセットに関してはそういうショートカットはないので手動でやる必要があります。

柳瀬:間違ってリセットしたら大変ですもんね。

辻:そうなんですよ。

柳瀬:わかりました。

ディスクのクリーンアップをしてみよう

辻:NVDAを使っていくなかで、PCが重くなったり特定のページで読み上げが不安定になったりとかあったりするんですよね。

柳瀬:はい。

辻:そういう時にやってもらいたいのがディスクのクリーンアップになります。ディスクのクリーンアップはスタートを開けてもらってCleanmgrってコマンドなんですけれども。

スタートを開けてCleanと打ち込む

柳瀬:ありました。

辻:では起動してみてください。

NVDAが内容を読み上げる

辻:Windows Cを選んでいただいてOKボタンを押してみてください。そうすると、クリーンアップでどのくらい空き容量が出来るのかを教えてくれます。で、この状態でディスクのクリーンアップをしてもいいんですけれども実はこれでも解消しないことがあります。

柳瀬:そうなんですね。

辻:なんでかというと、Windowsのアップデートにかかわるファイルとか細かいファイルはこの状態では消せないんですよ。なので、それを消せるようにするためにAlt+Sを押してみてください。そうすると、一旦ウインドウが消えるんですよ。でもAlt+Tabを押すとディスクのクリーンアップ、ドライブの選択って出てます。さっきCを選んでもらった時と同じ画面なんですけれども、もう一回OKを押してみてください。

柳瀬:はい。

辻:そうすると増加するディスク領域はそんなに変わらないんですけれども、実はこの状態でファイルを消去すると例えば、Windowsって新しいバージョンとか入れるときにダウンロードしてくるものがあるじゃないですか。

柳瀬:はい。

辻:実はあれ、全部取ってあるんですよね。そういうのも全部消去してくれます。

柳瀬:消しても問題はないんですか?

辻:問題ないことが多いです。よくあるケースとしては、Windows10からWindows11にアップデートした後にしばらくの間はWindows10のファイルも残っている状態なんですよ。それを削除してやると10GBくらいきえることもあります。なので、このディスクのクリーンアップは月に1回はやるようにしてみてください。

柳瀬:それはすごい。

辻:あとはパソコンの調子が悪いと感じた時もここをまず見に来てほしいです。

柳瀬:分かりました。

辻:見ていただくポイントとして、ウェブサイトがうまく表示されない系の問題は大体インターネット一時ファイルが問題になっていることが多いです。この一時ファイルは今まで読み込んだページのキャッシュなので、これを消してやると問題が解決されることがあります。それで後のものも、例えばWindowsアップデートのログファイルとかWindowsエラー報告と診断とかもあったりするんですが大抵のものはチェックしても大丈夫です。

柳瀬:はい。

辻:ただ、ごみ箱だけは確認してから消すようにしてください。大事なものや消してはいけないものが入っていたりすることがあるので、確認するまではチェックを外しておいていいかもしれない。

柳瀬:そうですね。分かりました。

辻:それで最終的にOKを押すともう一度確認が出てディスクのクリーンアップが始まるという感じです。実行してもらうとバックグラウンドで行っているので普通にパソコンで操作できるんですけれども、NVDAのプログレスバーの音が聞こえてくることがあります。

柳瀬:ピッて音がしていますね。

辻:そうそう。NVDAの特徴としてプログレスバーが音で表せられるんですが、高くなるほどもうすぐ終わりが近づいていることになります。

柳瀬:なるほど。

辻:これで大抵のことは操作できると思いますが、どうしてもNVDAが直らない時NVDAの場合はアンインストールしてもらって大丈夫なんですよ。アンインストールの方法って分かりますか?

柳瀬:そういえば、どこかにアンインストールできる場所があったのは覚えています。

辻:ちゃんとしたルートで行くならばプログラムの追加と削除みたいなところを選ぶんですが、僕はコマンドをいれてそれを呼び出しています。これは覚えなくてもいいんですが、ファイル名を指定して実行ってところに書くと動くコマンドがあります。Windows+Rを押してみてください。

ファイル名を指定して実行という

辻:そこにappwiz.cplでEnterを押してみてください。

削除できるプログラムの一覧が表示される

柳瀬:出てきましたね。すごいな。

辻:その中からNVDAを探してもらって、たぶんNを押すと行くかもしれない。

柳瀬:いきましたね。

辻:それでEnterを押すと確認画面が出てくると思います。

アンインストールの確認画面が出てくる

辻:これでYを押すとアンインストールの画面に行くと思います。そこで実行するとアンインストールされてしまうのでPCトーカーなどを立ち上げないと読み上げてくれなくなりますね。どうしてもアンインストールしてやり直したい場合にはここに来てください。

柳瀬:これは最終手段ですよね?

辻:そうですね。

柳瀬:分かりました。

PCトーカーのアンインストールの場合

辻:実はPCトーカーもアンインストールして再インストールすることが出来るんですけれども、PCトーカーのダウンロード先を覚えておかないとPCトーカーを持ってくることが出来なくなるので、ちょっとPCトーカーダウンロードって検索してみてください。

柳瀬:分かりました。

検索してPCトーカーNEOプラス体験版という

辻:そこです。そのページだと思います。体験版と言ってるんですけれども、yanaさんのパソコンにはライセンスが入っているのでそれはPCトーカーをアンインストールしても消えないんですよ。なので、体験版を持ってくれば再インストールすることが出来ます。

柳瀬:なるほど。

辻:それとネットリーダーもダウンロードできるかな?ちょっと中に入ってもらえますか。

PCトーカーNEOプラス体験版の中を聞いていく

辻:出来そうですね。このページをブックマークに入れておいてもらっていいですか。もし、PCトーカーどうにもなんないってときはここに来てもらえば大丈夫です。

柳瀬:分かりました。便利だな~

セキュアデスクトップの読み上げスピードを普段使っているNVDAと同じ設定にしよう

辻:最後にですねユーザーアカウントのダイアログを読むときにすごく遅いから直したいって言ってたので直しましょうか。

柳瀬:よろしくお願いします。

辻:NVDAの設定ダイアログはNVDA設定メニューを開かなくても起動することが出来るんですよ。そのやり方を紹介しますね。Ctrl+NVDAキーを押しながらG、ゴルフのGですね。

柳瀬:出ましたね。

辻:すごいでしょう。それでこの設定をTabでずっと読んでいっていただくと現在保存されている設定情報をサインインおよびセキュアデスクトップで使用(管理者権限が必要)という所があります。これをspaceで入ってください。

警告がでる

辻:これは大丈夫なのでYを押して進んでください。

デバイスへの変更を許可しますかとかなり遅く読む

辻:ここをはいと選んでもらって、ちゃんと設定がコピーしているのか確認するために今までの流れをもう一度同じようにしてください。

柳瀬:はい、分かりました。

デバイスへの変更を許可しますかと早く読む

辻:これでだいぶんすっきりしましたよね。

柳瀬:そうですね。

辻:スクリーン・リーダーは実際は2つ動いています。一つはyanaさんが動かして読み上げるスクリーン・リーダー、もうひとつはセキュアデスクトップと言ってパソコンの制御に関わる所を読むスクリーン・リーダー。なので、例えばプログラムをインストールしようとするとユーザーアカウント制御って出てくるじゃないですか、それはyanaさんのアカウントの外に行ってパソコンに変更を加えようとしているから出てくるんですよ。

柳瀬:そんなことが起きてるんですね。

辻:削除しようとするときにも同じように出てきます。本当に削除しますかとyanaさんのアカウントの外でパソコンの制御の部分が警告を出してそれを読んでいる感じになるんですね。なので、今まではその二つのスクリーン・リーダーの違いが音声が変わったり、読み上げるスピードが違うようになっていたので分かりやすかったと思いますが、これからは区別がつきにくくなってしまったかもしれない。

柳瀬:そうですね。

辻:読み上げが速くなった半面、違いが分からなくなったので分かりやすくする方法としては先ほど行ったセキュアデスクトップ側のスクリーン・リーダーの音声の高さを変えたり、音声の話し手を変えたりした状態で登録してしまえばスピードはそのままで違いが分かりやすくなります。

柳瀬:確かに分かりやすくなります。

辻:これに関しては今すぐ覚える必要はないので、今日に関しては読み上げ速度を普段使っているNVDAの読み上げ速度と同じにしましたってところまで覚えて頂ければと思います。

柳瀬:分かりました。

NVDAの読み上げスピードなどの簡単な変更方法

辻:ついでにNVDAの読み上げスピードの変更の仕方をお教えしようと思います。ご存じですか?

柳瀬:PCトーカーのなら知っているんですが。

辻:NVDA+Ctrl+Shiftと左右キーを押すと読み上げスピードや音声の種類とかの項目が選べるんですよ。上下の矢印でその項目に対しての変更が出来るはずです。ぜひ使ってみてください。

柳瀬:分かりました。ありがとうございます。

最後に

辻:今回はメンテナンスの所から細々した設定の説明をしていきましたが、ちゃんとスクリーン・リーダーが使えると同時に同じくらい他のツールのメンテナンスもできることも大切なんですよということを覚えておいていただけたらなと思います。

柳瀬:分かりました。定期的にメンテナンスしようと思います。

まとめ

1.NVDAキー+N(NVDAメニューを出す)
2.NVDAメニューを開いた状態でNVDAキー+R(前回の設定に戻す)
3.NVDAの設定のリセットはショートカットはない
4.スタート画面でCleanmgrを入力するとディスククリーンアップが検索される
5.クリーンアップ画面でWindows Cを選ぶと実行した時の空き容量を教えてくれる
6.Windows+Rを押してappwiz.cpl入力したら、プログラムの一覧が表示されてここからアンインストールの画面に移動する
7.Ctrl+NVDAキー+G(NVDAのダイアログを開く)
8.NVDA+Ctrl+Shift+左右キー(読み上げスピードや音声の種類などの項目の選択)
9.8での選択+上下キー(項目に対する変更)

以上になります。
今回は主にディスクのクリーンアップなどについて勉強していきました。
スクリーン・リーダーを使用していく上で何かしらのトラブルに合う可能性は高いです。その時に自分で対応できるように知識や方法を学んでいくことはとても大切です。ただ、定期的にやるように気を付けておかないと忘れそうな気がします。カレンダーなどに印をつけておいてこの日にディスクのクリーンアップすると決めておこうと思います。

これからもスクリーン・リーダープロフェッショナル養成講座は続いていきます。
次も色々な情報をお届けできると思いますので、ぜひ見に来てください。
辻さんもnoteで有益な情報を発信されているので、URLを貼っておきます!
Katsutoshi Tsuji

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