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物の本質

洋服は知れば知るほど面白くもあり虚しくもある。表と裏。光と陰。知らなくて良い事もあるのかも知れない。私は縫製工場で働いていたがよく問題に上がる中国人実習生らとともに働いていた。

ほぼ休みなく朝から晩まで働かされる姿を見てきたし中国人らしいと言ったら失礼だけれどミスを隠そうとする姿勢とか含め良いところ、悪い所、洋服が作られる現場で目の当たりにしてきた。

そうもしないと利益が出せないのかなってくらい工賃を削られていたのかな。ある程度の値段のするブランドの洋服を作っていた。発注側より服を形にする現場の方が大変だと思う。それに加えて値引き交渉もされるという現実。

メーカーが儲かる仕組み。発注側も生産側もWinWinであるような動きは昨今あるがもっとそれを改善できると良い。しかし現状日本の多くの生産者はアジア生産のあおりを受け多くが倒産してしまった。
ではその服の原価率はどうなんだろうか。消費者として知る必要はないかも知れないがここに記しておきたい。

ユニクロ 40%

セレクトショップ 25%

ハイブランド 25~35%

※細かい数字ではなくおおよその値です。

(同じものを作っているわけではないので比べる対象ではないという事を念頭に)
この数字を踏まえて簡単にまとめると、
ユニクロはセレクトショップより良いものを作っていてあの値段で売っている。
セレクトショップはユニクロより原価率の低いものをあの値段で売っている。

ということになります。
もちろん作っている量が違いすぎるので同じフィールドで考えるのはおかしいですがそういう事になります。値段と原価率の割合で考えたらユニクロの方が良いものを作っていると断言するには言い過ぎかも知れませんがボッタクられているのではと思ってしまう。
セレクトショップと一概にいってももっと原価率の良いものを作っているブランドは多々あるが一般的に言われる平均値として。逆に言えばこの原価率でないと回らないという見方も出来る。しかしSALEで売られている姿を見ると受け入れられない。

でも原価率が高ければ良いものなのかという点も考えなくてはいけない。皆がしっかり儲からないと仕事として成り立っていかない。その会社が作れる数、求められる数、求められる質はそのメーカーによって違うし、全てが一緒ではないからである。

でも値段と質のバランスでは誰もユニクロに叶いっこない。もちろん値段が安い分原価率も高くなるんじゃないかという意見もあるがその原価で作ってその値段で売っているのだからそれは一つの事実である。でもそれも、それが良いとは一概には言えない。低賃金で働かされている人達がいたらそれは受け入れがたい事実だし気持ちよくない。

高い服を買って長く着ようっていうのもその服の本質は見えているのかよく考えないといけない。高い値段だから良い物なのか?高いお金を出したという事実だけがものを大事に長く着ようという動機になるのか?安い服の中にはしっかりとした原価率で作られているものがあるという事。高い服にも高い理由がしっかりある。

でも買い物をする時にそこまで見えてこないので実際に選ぶ基準には入らない。難しい所。古着はエコな選択肢だけれど作られた当初より値段が上がっているものもある。そのものの価値や本質を見極め選択していかなければならない。

私は高い洋服が良い、悪いとか安い洋服が良い、悪いを言いたいわけでは無くタイトルにもある物の本質をできる限り見極める必要があるということが今回の趣旨であります。洋服はその人が良いのであればそれで良いと思うし決まり事なんてないし自由であるべきだと思っています。

洋服は知れば知るほど楽しく虚しい。


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