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此花電報電話局事件

昭和57年3月18日最高裁判所第一小法廷


概要

労働者の指定した年次有給休暇の期間が開始し又は経過したのちにされた使用者の時季変更権行使の効力が認められた事例。

  • 労働者Xは、始業20分前にY会社に電話し、「今日は年休を取得する」という旨を伝えた。

  • 就業規則では、年次有給休暇を請求する場合は、前々日の勤務終了時までとされたいた。

  • Y会社は、事情によっては年次有給休暇を認めるつもりで、労働者Xに休暇の理由を確認したが、労働者Xは、理由を言わなかった。

  • よって、Y会社は年次有給休暇を認めず、欠勤扱いとし、その分の給与カットを行った。

  • これを不服とした労働者Xは、未払い賃金を求めてY会社を提訴した。

要旨

労働者の年次有給休暇の請求(時季指定)に対する使用者の時季変更権の行使が、労働者の指定した休暇期間が開始し又は経過した後にされた場合であっても、労働者の休暇の請求自体がその指定した休暇期間の始期にきわめて接近してされたため使用者において時季変更権を行使するか否かを事前に判断する時間的余裕がなかったようなときには、それが事前にされなかったことのゆえに直ちに時季変更権の行使が不適法となるものではなく、客観的に右時季変更権を行使しうる事由が存し、かつ、その行使が遅滞なくされたものである場合には、適法な時季変更権の行使があったものとしてその効力を認めるのが相当である。

参考

この判例を詳しく知りたいという方は、以下のページをチェックしてみてください。

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