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大林ファシリティーズ(オークビルサービス)事件

平成19年10月19日最高裁判所第二小法廷


概要

マンションの住み込み管理員が所定労働時間の前後の一定の時間に断続的な業務に従事していた場合において、上記一定の時間が、管理員室の隣の居室に居て実作業に従事していない時間を含めて労働基準法上の労働時間に当たるとされた事例。

  • 労働者Xらは、夫婦でY会社に雇用され、マンションの住み込み管理員として勤務していた。

  • 労働者Xらは、所定労働時間外の軽作業をY会社から指示されていた。

  • また、マンション住民の要望に応じ、所定労働時間外に作業を行っていた。

  • さらに、土日祝日にも平日と同様に業務を行っていたため、Y会社に割増賃金の支払いを求めた。

要旨

労基法上の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、実作業に従事していない時間(不活動時間)が労基法上の労働時間に該当するか否かは、労働者が不活動時間において使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものというべきである。

そして、不活動時間において、労働者が実作業に従事していないというだけでは、使用者の指揮命令下から離脱しているということはできず、当該時間に労働者が労働から離れることを保障されていて初めて、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていないものと評価することができる。

したがって、不活動時間であっても労働からの解放が保障されていない場合には労基法上の労働時間に当たるというべきである。

そして、当該時間において労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には、労働からの解放が保障されているとはいえず、労働者は使用者の指揮命令下に置かれているというのが相当である。

参考

この判例を詳しく知りたいという方は、以下のページをチェックしてみてください。

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