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今の私に必要だった映画『WILL』

 『WILL』…エリザベス宮地さん(ザベスさん)が映画を撮ったと知り、ただそれだけの理由で観に行きたいと切望していた作品。



 私がザベスさんを知ったのは、藤井風さんのドキュメンタリー映像。どれもおもしろくて愛情を持って撮っているのが画面から溢れんばかりに伝わってくる。例えばこれ。

 2022年5〜9月は藤井風さんの alone at home Tour 2022が全国各地であり、ザベスさんは帯同するだけでなく、お友達として出演もされていた。7月上旬に藤井風さんコロナ感染により5公演が延期、8月に終わるはずのツアーは9月まで延長され、その延期公演までの間に代打出演した RISING SUN ROCK FESTIVAL にも帯同。10月に行われた LOVE ALL SERVE ALL STADIUM LIVE でも準備から終了後まで密着。インドでの『grace』MV撮影には帯同こそなかったが、それら約半年間に撮影された400時間もの映像を2時間に編集。ライブ映像よりも長いドキュメンタリー作品となった。〜藤井風、怒涛の半年間〜とあるが、それよりも更に怒涛の日々を過ごされていたのがエリザベス宮地さんだと知る。なんと『WILL』の撮影がこの期間に丸かぶりだった。想像を絶する忙しさにも関わらず、いつも笑顔で撮影にも編集にも愛がこもっている。


 東出昌大さんはスキャンダルのため「干された」人。初めはどうしてそんな人を密着するのか不思議だった。でも、ザベスさんが映画にまでするというのだから何か意味があるはず。近くで上映されたらこの目で確かめたいと思っていたら、地元に来てくれるではないか。しかも、上映される映画館がシネマルナティック。ここは古くて小さな映画館だが、いい作品を上映してくれる。以前『海洋天堂』(障害のある息子を育てる余命いくばくもないシングルファーザーのお話)という中国映画を上映してくれてから、密かに応援している映画館だ。


 上映初日、上映スケジュール確認。1日1回16時30分から19時上映。平日仕事休みの日に行こうと思っていたが、この時間帯だと行けるのは今日だけだ。慌てて家事を片付け映画館に向かう。


 渋滞で数分遅れたのが悔やまれるが、やっぱり観てよかった。今の私にはタイムリーな内容だった。ここ最近の私にはちょっと許せない人がいて、その人のことを考えてはイライラしたり悔し涙を流したりしていた。しかし、SNSでみんなから叩かれているのには何か違和感を感じていた。本当に自分勝手な考えだが、自分も非難しているのに集団で攻撃するのは何か違うと思った。


 東出さんも叩かれても仕方ないところがあったかもしれないけれど、遠くから傍観していたなんの関係もない私でも感じるほど相当叩かれたと思う。私はそこまで人を攻撃するほどできた人間でもない。非難する言葉を考えたり書き込んだりするくらいならもっと自分や自分の周りの人を幸せにする何かに時間をつかいたい。そんなことを考えながら、今日このタイミングでこの映画を観ることができたのにも意味があると感じた。


 ザベスさんは東出さんを擁護しようとしているわけではなかった。この人間くさい、不器用で危なっかしい、でもどこか憎めない一人の男性を通して、人間として生きることの意味を探しているような気がした。東出さんはザベスさんでもあり、私でもある。私も人間という生きものであり、この世に生を受けただけで何かしら地球に害をもたらしている。だからこそ、少しでも誰かの役に立ちたい、謙虚でありたい。そんな気持ちになっていった。

 

 やっぱりザベスさんの撮る映像、作る作品には愛がある。人間として生きていて、この映画を観てよかった。


 

 


 

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