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滲みる_2024年3月9土/晴れ

鳥山明さんが亡くなった。
『Dr.スランプ』、『ドラゴンボール』の作者として、
鳥山さんを知る人は世界じゅうにたくさんいるはずだ。
わたしだって、
実は作品を読んだことはないけれど、
メガネをかけた友だちがアラレちゃんというあだ名だったし、
鳥山明さんという名前くらいは知っている。
いま、ネットでは、
これまでの「漫画」や「画」が次々と現れている。
今日、そのひとつひとつをみながら、
明るくて、活発で、生命力があふれ出ているなあと
いまさら感じ入ってしまった。
鳥山さんの描く世界に触れて
元気になった、勇気が湧いた、
人生が変わったという人や、
鳥山さんを師とする人がとても多いということを
訃報をきっかけにして知った。
日本ではお悔やみをいう人が多いだろうか。
では外国ではというと、ことばはもちろん、
じぶんで描いた「孫悟空の絵」や「アラレちゃんの絵」で
鳥山さんを偲ぶ人もたくさんいた。
漫画本やなにかのパッケージをみてまねるのでしょうか、
ほかの人が描くものだから
いろいろな「孫悟空」や「アラレちゃん」がいて。
なかには、「本物」よりちょっと痩せてしまった孫悟空がいる。
それから、
天使の羽をつけた孫悟空がいたり、
孫悟空がお墓参りしていたり、
鳥山さんと一緒に笑ってたりもする。
幼い子がマジックで描いた悟空にも、
コンピューターでつくった悟空にも、
鉛筆のデッサン画にも、
#ThankYouToriyama ってつけてあったりする。
いったいどれくらいの人が「孫悟空」「アラレちゃん」を描いたのだろう。
ここには、その人だけの「孫悟空」「アラレちゃん」がいる。

鳥山さんの画力や発想が優れているのは当然として、
作品の「興奮」や「おもしろさ」「奥の深さ」は
出版や放送や映画、ゲームの力で世界じゅうに広まった。
身近な「おたのしみ」の世界で、好きな人のからだと時間に滲みていった。
それが、鳥山さんが亡くなったとなったら、
じぶんのなかに溜まっている「孫悟空」「アラレちゃん」を
描き出したくなるのもわかる気がするなあ。
読んだり遊んだりして、
うれしかったこと、はっとしたこと、
一緒にいた友だちや兄弟、学校や職場、
いままでのことがないまぜになって出てきそうだ。
著作権とか商標とかいわれるけれど、
鳥山さんを引き継いだからこそ「孫悟空」「アラレちゃん」をまねる
といえるかもしれない。

絵を描く人も描かない人も、そういう鳥山さんの「分身」は
世界にとれくらいいるんだろう。

rest in peace. 鳥山明さん。


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