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私的2020年の映画総括

今年は例年より映画館には行けなかったもののストリーミング配信にかなりお世話になった一年だった。特にNetflixは、映画に限らず、ドラマや、海外のドキュメンタリー作品も面白く、旅の出来ない昨今でも、かなり世界を身近に感じられた気がした。私はNetflixは特に「食がテーマの作品」が秀逸だと思っている。(シェフズテーブル・ファイナルテーブル・ナディアのお助けキッチン等・・個人的にとてもおすすめなので多くの人にみてほしいぐらいファンだ。)


食を通して各国の文化やちょっとした習慣などを垣間見ると遠く離れた国であっても、映画やドラマ以上に深く知れる気がするからだ。単純にコンテンツとしても面白い。

さらに今年は、米国トレンドでもあると思うがストリーミング配信と劇場の同時公開作品なども増えて、時代の変化を節々に感じた年だったと思う。マーティン・スコセッシ監督のアイリッシュマン、ノア・バームバック監督のマリッジ・ストーリー、最近であればデイヴィット・フィンチャー監督のマンクなど。(すべてNetflix作品)

そういえば1年前、初めてnoteに投稿した記事にストリーミング配信に関して思うことを書いていた。

そして忘れてはならないのは、遡ること2020年2月。アカデミー賞で史上初のアジア勢ポン・ジュノ監督「パラサイト」が作品賞を受賞したことである。あの授賞の瞬間、そして授賞式での監督の堂々としたスピーチは本当に素晴らしかった。スパイク・リー監督からポン・ジュノ監督へオスカー像が渡される姿などはまさに歴史が変わった瞬間を捉えていたのではないだろうか。とても、感動した。

https://eiga.com/official/oscar/photo/61.html 写真:映画.comより


さて、前置きが多くなってしまったが、年末になったので今年の映画作品で特に心に残っているものを、簡単に記しておこうとおもう。(完全に私的なセレクトだし昨年末ぐらいのものが入っているしもっと別に良い作品があるのだろうがご了承いただきたいと思う。)

「私的」2020年ベスト8映画(順不同)

1.マリッジ・ストーリー (2019年公開 ノア・バームバック監督 Netflixで公開2020.12.23時点)

2.オン・ザ・ロック (2020年公開 ソフィア・コッポラ監督 Apple TV+で配信中2020.12.23時点)

3. ストーリー・オブ・マイライフ(2020年公開 グレタ・ガーウィグ監督)

4. テネット (2020年公開 クリストファー・ノーラン監督)

5.40歳の解釈 ラダの場合(2020年公開 ラダ・ブランク監督) 

6.  ハーフ・オブ・イット 面白いのはこれから(2020年公開 アリス・ウー監督 Netflixで公開2020.12.23時点)

7. パラサイト 半地下の家族 (2019年公開 ポン・ジュノ監督 2021年1月Netflixで配信予定)

追記

8 アンカット•ダイヤモンド(2019 ジョシュア•サブディ、ベニー•サブディ監督 Netflix配信)

※2020年、未見で気になっている作品:Mid90s、はちどり、マンク、フェアレル、マディアス&マキシム。これらもできれば早く観たい・・。

勝手に総括:今を自分らしく生きること、愛について、がテーマの作品が多かった

今年の映画はLGBTQなどを題材としたもの(ハーフオブイット)や、女性が自分らしく生きることについて(40歳の解釈、ストーリー・オブ・マイライフ、マリッジストーリー・オン・ザ・ロック)、広義の意味で愛とは何かについて(テネット、パラサイト、マリッジストーリー)というようなテーマが多かったきがする。
そしてやはりこのうちの4作はストリーミングで公開されている映画だ。映画自体の在り方についても考えさせられるとともに、テーマについても時代のムードがとても反映させられている。すこし「エモい」作品も多かったとも思う。(それは私の気分だったのかもしれないが)その点でも今年は映画の分岐点的な年だったのかも、と勝手に思っている。これら7作品はどれもとても良い作品だと思うので未見の方はぜひ観てほしいと思う。

追記
記事公開後、「アンカット・ダイヤモンド」を鑑賞。こちらが最高に良かった。もしかしたら、2020年のベスト、かも。アダムサンドラーの怪演は見もの。A24ということもあり音楽、映像の使い方が独特でカッコ良かった。人間の欲望と不快感にまみれているのに何故か爽快で最後には感動を覚える。好みが完全に二分しそうな作品だが、個人的には稀に見る傑作だと思った。こういうのがみたかった!と思わせてもらった。

私的2020年勝手に最優秀監督賞

ノア・バームバック監督
私はこれまでなぜかバームバック監督作品は勝手に好みではないだろうと思い込み避けていたのだが、今年、ついに大好きな監督リストに追加された。なぜもっと早く観なかったのだろう。でも今こそが彼の作品を観るタイミングだったような気もする。

作家性、セリフ回し、配役、ストーリー、音楽、ファッション、など、どれをとても素晴らしいし、何よりも誰にでも少しばかり自分自身に「人生において身に覚えのある出来事」と感じるテーマと、そしてそれらの捉え方がとても好きだ。
特に「フランシス・ハ」、「イカとクジラ」そして一番好きな作品はあまり知られていないのが信じられないぐらい面白い、「マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)」。

どの作品も、完璧ではない、不器用な人間たちの物語で、なぜだか彼らの生きざまに愛おしさを感じてしまう。(私はそういう類の映画が好きなのだと思う)
すべてNYへの愛がたっぷりつまった作品であるという点もいい。私は2013年頃にNYに滞在していたことがあるのだが、刺激と魅力と優しさと絶望と夢と暴力とが全部MAXで詰まった街という感じがしていて、それは言ってみればとてつもなく「人間的な場所」なのかもと、思っている。そういう場所で生まれる物語が面白くないわけがない。そして彼のパートナーでもあり「フランシス・ハ」の主人公でもある「グレタ・ガーウィグ」からも目が離せない。彼女の監督作である「レディ・バード」・「ストーリー・オブ・マイ・ライフ」もかなり好きだ。彼女の映画を観ると女性であることに誇りを感じるし、そして女性であるがゆえの生きづらさや葛藤などというものから解放される気がする。もちろん男性ファンも多いし私の夫も彼女が大好きだと言っていた。ノア・バームバックとグレタ・ガーウィッグ。今をときめくこの2人が次はどんな作品を公開してくれるのだろう、とても楽しみでならない。

2021年の映画への期待

今年は映画レビューというものはあまり書けなかったが2021年は映画のことをもうすこしここに書いてみよかな、と思う。(映画レビューってとても難しい。上手にわかりやすくかける人を観るととても尊敬する。)今もまだまだ観たいリストに連ねている作品がたくさんあるので、2020年残り数日も映画を楽しんで過ごそうと思う。

それから「映画の在り方」というのも、やはりここからさらに大きく変わってくるのだろうとおもう。鬼滅の刃の動員数の多さなどをみてもわかる通り劇場公開映画もまだまだ日本では捨てたものではないのだろう。でもやはりストリーミング系の映画の躍進もこれから止まらないはずでそれもやっぱり目が離せない。(米国では制作がストリーミングのほうがうわまったらしいが)それからポン・ジュノ監督の「パラサイト 半地下の家族」も素晴らしかったが、2021年以降は特に、韓国映画の面白さにもハマりそうだ。すでに少し前の作品だが「The Witch(魔女」を観たがこれもめちゃくちゃ面白かった。続編も制作が決定したらしい。今年は韓国ドラマもスーパーヒットだったし注目していこうと思う。
2021年も素晴らしい物語に出会うことを今から楽しみにしている。

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