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『ジョン・ウィック』は4作目で終わっていい

 キアヌ・リーブス主演の大人気シリーズ『ジョン・ウィック』は4作目で終わっていいと思う。ネタバレすると4作目でジョンが亡くなるので、物理的には終わっている。続編は作れない。けれど制作側がその気になれば「実は生きていた」ことにできるし、5作目が公開されれば既成事実になる。そうなれば誰も文句は言えない(もっともファンの多くは続編を歓迎すると思うけれど)。実際、続編の企画が始動していると聞く。

 私は本シリーズを全部見たし全部好きだ。1作目は控え目だったけれど、2作目(『チャプター2』)で「防弾背広」とか「武器ソムリエ」とか「ジョンが銃と格闘技で大勢相手に無双する」とかのぶっ飛んだ世界観が炸裂する。3作目(『パラベラム』)では殺し屋の組織が世界規模で広がっていることや、数々の厳しい掟があること、どうやら「主席連合」に逆らっちゃマズいことなどが判明する。そして完結編(?)となる4作目(『コンセクエンス』)の登場だ。

 4作目の見どころは何だろう。盲目の殺し屋ドニー・イェンが警報センサーを上手く使って殺しまくるところか。日本人俳優が活躍するところか。個人的には悪役のビル・スカルスガルドの小物感溢れる負けっぷりが良かった。けれど、「ジョンが銃と格闘技で大勢相手に無双する」のを4回見せられて、さすがに「またか」となったのも事実だ。殺し方に毎回工夫が見られるので単純な繰り返しではないけれど、それでも見飽きた感が否めない。この路線で5作目を作るのはさすがに限界だと思う。

 もっとも『ワイルド・スピード』シリーズのように、あり得ないカーアクションとどんどん増えていくファミリーの熱い絆をお約束的な売りにして、『水戸黄門』的に繰り返す路線もアリかもしれない。けれど『ジョン・ウィック』はそこまでエンタメに振り切った作品でもないと思う。武士道的なワビサビ精神が根底に流れている。

 もともとジョンは、亡き妻の思い出に浸ってひっそり生きていた男だ。車と愛犬だけが生き甲斐で、それらを理不尽に奪われたからルールを破ったに過ぎない。それでも4作目できっちり筋を通し、何の負い目もない身でこの世を去った。であるなら、あとはもう天国かどこかで亡き妻と過ごさせてあげても良いではないか。

 一ファンとして、そう願ってやまない。なので『ジョン・ウィック』は4作目で終わっていいと思う。もちろんスピンオフのドラマや、何らかのユニバース化は歓迎したい。とにかくジョンには休んでほしい。

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