家キャン

家キャン、部屋キャン、ベランピング。

呼び方は様々だけど、要は自宅でキャンプもどき。コロナ禍、たまの休日も外出が憚られるのだから仕方ない。

でも、これが楽しい。

猫の額ほどのリビングやベランダに小さなテントを張って、家族で肩を寄せ合うだけ。ジュージューとバーベキューを催せば、煙と匂いが部屋にこもるだけ。後片づけは大変だ。

でも、なぜか楽しい。

なぜだろう。

ふと子どもの頃を思い出す。ゴミ捨て場で段ボールをかき集め、人目につかない橋の下や空き地の隅に、よく秘密基地を建てたもんだ。なけなしの小遣いで駄菓子を買って、基地にこもってコソコソ食べる。友達とワイワイガヤガヤと。

すると、なぜか得した気分になる。

かけがえのない、至福の一時だった。

それと同じなのかもしれない。

童心に、還れ。

つまらなくなるばかりの人の世へ。生態系からの警告なのかもしれない。

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