キングスクロス駅(1998年、ロンドン)
極寒-。2月、深夜のロンドンは物凄い寒さだった。
最終列車が出た後の無人の駅で、僕は床に新聞紙を広げその上で膝を抱えて座っていた。日本の駅とは違い欧州の駅の多くは駅舎に入れば改札がなくそのまま列車が停まるホームだ。冷たい風が容赦なく体に吹き付ける。正面に当たる風を避けようと座っている場所を変えたり、座る体勢を変えてみたりするが全然意味がない。ガチガチと震える体を抑えようと必死だった。
何を勘違いしたのか、僕はエジンバラに向かう夜行列車がこの駅から出るものと思いこん