見出し画像

編集からみたライターの条件 ③インタビューライター編

インタビュー関連のライターは、私の中ではざっくりといくつかの棲み分けがあります。

1.エンタメ雑誌やカルチャーページに多い、タレントや文化人への王道インタビュー。またはプロモーションを受け、各媒体が分刻みで取材をすることもある。

2.連載などに多いのですが、ある企画のテーマに対して、本人の言葉を引き出し、深掘りして文字制限内におさめる。インタビュー相手からの指名が多いジャンル。

3.美容や実用など、多少専門性のある現場。的確な質問を挟みながら、インタビューとしてもまとめる。美容ライターなどに当てはまることが多い。

4.企画立案段階で、構成を立てる場合に必要なリサーチ的インタビュー。

こんな風に、思いついただけでもいろんな現場や形、そしてやり方があります。なので一概には言えませんが、横から見ていて感じた感想を書いてみます。

ライティングの中でも、専門職としての仕事が取れるインタビューできるライターは、圧倒的に少ないので、興味のある人は、1つでも参考になればと考えてみました。

項目が多いので、目次を見て興味のある所だけ読んでみて下さいね。

専門職としてニーズのあるライター。

私は2と4の立ち合いが多いので、そちらのデータを元にしますね。

インタビュー構成が入る場合、編集側は、概ね質問事項を事前に渡します。

私はどんなベテランライターさんでも、質問シートはお渡ししておきます。

なぜかというと、こちらの全体コンセプト、意図、マストで聞いてほしい質問を把握しておいてもらう必要があるからです。また、事務所や本人NGの質問の情報など、インタビューしやすいと判断したことは、補足として付け加えておきます。
このシートを飲み込んで、いかに美味しく料理するかが、インタビューライターの腕の見せ所となります。

息継ぎまで書き起こすライターもいる。

ベテランライターに聞いたのですが、インタビューをテープ起こしをする場合、はしょらないのがミソなんだとか、

相手の間の取り方や息継ぎ、笑った場所、笑い方、その時のリアルな答え方まで省略せずに起こすそうです。

例えば「うーん、、、、、。答えにくいですね、、。へへへ。そうだなあもうコーヒー飲むしかないじゃん」

という風に、そんな風に話すその理由を可視化させるそうです。

そうすることで、その時、その人の雰囲気や空気感、会話に詰まっている理由、苦笑なのか、照れ笑いなのか爆笑なのかの笑いの種類、口調がくだけたり、早口になったりを思い出します。そこにパーソナルな部分が出たり、新鮮は切り口があったりするので、文章を起こしやすいそうです。

ただ質問するだけでは下準備とアドリブが足りない。

インタビュー相手の下準備をしてこないライターは、編集の用意したシートだけをなぞり、それを少し膨らませるだけなので、面白みのない内容になったりします。

事前に調べることは、当日あなたこうですよね? と本人に伝えるためではありません。

周知のことを聞く時間の無駄をなくすこと、少しでもパーソナルを知っておくことが、自身が質問に詰まった時や困った時、その裏取りしてあった事前情報が、会話の渡し船となってくれます。

編集者が事前に用意する質問表は、あくまで構成のための地図。主軸さえ把握していれば、その通りに質問する必要はありません。

私は大胆に聞き、かつ空気を読み、行間や足りない部分を読み取れるライターさんが好みです。

インタビュー相手には校正を出すので、言い回しや解釈が異なる部分は、本人なり事務所なりのチェックが入ります。そんなけつ持ち、という言葉は粗いですが、クロージングは編集サイドがやるので、安心して相手の良さを引き出して欲しいです。

媒体の読み手目線を第一とする。

媒体の特質を捉えた文章力、そこの読み手目線で見た時の知りたいことや、キャッチとなる言葉が散りばめられた文章をもらうと、この人は理解力が深い、仕事を真摯に受けてくれていると嬉しく感じます。

傾聴力とコミュ力と熱意のバランス。

横で見ていると、うまいライターほど短時間でコミニュケーションをとり、相手の警戒心を取り除くのが上手なんです。馴れ馴れしいコミニュケーションを嫌がる相手もいますが、自分に興味と好意を持つ心の傾きは、相手に伝わります。

あなたをもっと知りたい、話を聞きたい、自分があなたの素敵な部分を引き出して伝えたいという熱量がないと、鮮度のある切り口や響く内容にはならないと思います。

あとは傾聴力。相手の言葉を捉え、企画コンセプトにあった部分を、的確に端的に掘り下げたり広げたりして行きます。

相手との会話に詰まっても慌てない。

普段から、自分のことを話慣れている相手にインタビューするのはハードルが低めだと思います。専門家とか企業のトップなどは、どこを強調し、何を載せて欲しいか、自身の言葉の売りポイントを知っています。クリエーターなども、確固たる世界観があるので、比較的構成しやすいと思います。

難しいのはタレントやモデルなど、言葉の表現が職業ではない人、または自分のイメージをコントロールしている人やインタビュー慣れしていない人。

いわゆる、言葉がうまく表現できなかったり、いつでもどこでも同じ答えを用意していたり、協力的ではない相手の場合です。

こういった取材対象だと、仕上がりが媚びた提灯記事になったり、どこかで何度も露出している話だったり、通りいっぺんに聞いたことをリライトしただけの内容になりがちです。

これはどんな理由があろうとも、なかなか次の仕事はこないと思います。なぜなら初見で相手の心を掴み、引き出すことが難しいのは当然なので、そこをクリアできていないと、つまらない内容になります。なので、手を抜いている、プロではないなどと判断されてしまいます。

難しい相手へ切り込む解決法。

1.具体例を出す。

難しい相手との会話に詰まった場合、慌てて話を繋ぐと、空回りしてますます相手なイニシアチブを取られてしまいます。

そうなる理由の1つは、言葉足らずのことが多く、抽象的すぎる場合が多いです。なので、例えばとか、そういえば最近、などと、相手が答えやすいよう具体例に置き換えて誘導しましょう。ここで下準備してきたことが生きてきます。

2.質問センテンスは短く。

うまいライターさんは、とにかく端的。それはなぜ? どうして? いつ頃? どこで? と前のめりに5w1Hを駆使します。

あなたはこうですよね。だからこうだと思うんですが、など質問に背景を入れ込んだテクニックは、テレビなどの視聴者向けメディアのインタビューをのぞき避けた方がいい方法です。質問が長いと、質問内容の意図が捉えにくくなるので、非常に答えにくくなります。

聞きたいことを、相手が答えやすいように伝えると会話が自然な流れとなり、多くを語らせるために傾聴して、短時間でするすると話を広げていきます。

3.私主観のインタビューにしない。

私はこうなんですがとか、私も同じですよ! とかインタビュー中にライターの主観や共感を入れ込みすぎると、会話での主役がずれるので、時に相手を不快にさせます。主観を入れ込む時は、ここぞという時や、話に詰まった時用のカードとして持つ位が無難です。

インタビューライターに求めることは的確さと起承転結。

さて、インタビューが終わり、いよいよ納品段階に関してです。ここは他のライター同様、オファー先である編集やクライアントが求める内容を的確に出すこと、これにつきます。

仕上がり原稿の趣旨ががずれいたり、矛盾していたり、文体のテンションが所々変わったり、日本語として分かりにくいと、手を加えなくてなりません。

インタビュー相手の持ち味を生かしながら、文章を変えることは想像以上に難しく、またこの分野のライター自身が、手を加えられるのを嫌がることが多いので、ライターの中でも、特に完全なもので納品して欲しい業種です。

また、文章は長くなるほど読みにくくなるので、起承転結を考えられた文章の構築が必要です。そうすることで内容がリフレインさせず、読み手を飽きさせずに引き込むことができます。

書く側も、導入、理由、例え話、締め、という型を意識すると組み立てやすいですよね。

息を吸うタイミングで句読点を入れる。

インタビュー記事が普通の文章と違うのは、句読点の効果的な使い方。文法的におかしくても、それでさらさらと読めるのであれば、そちらが大切。

特に1人称で進めるインタビューの場合、息継ぎの位置が自然だと、その人の話が入ってきやすく、人柄も感じれる良文に感じます。

書くことが好きな人にとっては、チャレンジしがいのある専門職。

インタビューライターは、質問力、傾聴力、文章力、構成力が問われる高度な仕事だと思います。

その分指名を受けたり、長い付き合いになったりする場合も多く、媒体をまたいでインタビュー相手からの指名もあったりします。

お願いする側も、よそでうまい文章を読むとライター名を控えておき、必要ならば名前で検索して探すこともあります。

インタビューライターを目指すなら?

ライター業の中でもインタビューできて、それを面白く書ける技術は専門職だと思っています。

それだけスキルが必要とされるライティングなので、当然場数も必要となってきます。

とはいえ自分には機会がないし無理、と諦めるほど敷居の高い案件ばかりでもありません。

はじめはクラウドサービスなどで、インタビュー案件があればそれに集中して挑戦するなど、実践でスキルを磨く方法は早く上達しそうです。

クラウドサービスなら、比較的やりやすい相手へのインタビューが多いと思うので、実力を蓄えるにはぴったりかと思います。

また、YouTuberのチャンネル内容を書き起こす、という仕事もあります。話し言葉を起こす作業に慣れるために、スキルアップとして始めるのもいいかも知れません。

インタビュー記事はWebを含めるとコンスタンスにあるジャンルです。ライターとして活動している人は案件をここに絞り、自身のキャリアの幅を広げるのもありだと思います。

駆け足で伝えてきましたが、書き手ではない方の目線であれこれ、気が付いたことを書いてみました。参考になると幸いです。




いいなと思ったら応援しよう!