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公民館ってなんであるんだったけ?”目的”と”ハコ”から考える

さて、今日は公民館について書きたいと思います。

本年度から、地域の公民館主事の役をもらうことになりました。小学校区の公民館なので、町内会の自治公民館よりは対象としている範囲は広いというところでしょうか。昭和62年(1987年)に建設されており、築30年以上となっている公民館です。

昨年度、消防団の幹部も終わるタイミングで、行政勤めの後輩から「フミさん社会教育興味ありましたよね?やりません?自分、今度消防の幹部になるので」みたいな感じで話がきた感じです。「確かに社会教育に興味はあるなぁ」と思って、気軽に引き受けた感じです。小学校の時に利用していたし、消防団でも利用したりしていた、比較的に馴染みある校区の公民館です。現在は、指定管理を受けて運営をしている状況です。

地域のコミュニティに公民館は当然としてあるもの

そんなくらいの認識でした。
この年になって、改めて「そもそも公民館ってなんや?」を問う機会に恵まれたので、素人ながら調べたものを共有して今後も活動をシェアしていきたいと思います。

地域コミュニティの重要性

ちなみに、地域コミュニティについての重要性は、医療職という立場からも地域包括ケアシステムが推進されているように重要性を認識しています。

出典:https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/dl/link1-4.pdf

以前、私は内閣府の国際交流事業で高齢者分野の海外青年が熊本に視察に来た際に、地域課題解決で熊本市帯山2町目の町内会の取り組みを海外青年に紹介したことがありました。


なかなか、アクティブな組織で企業との連携や、上記リンクのように町内会なのにホームページまであったり、さまざまな工夫のしてある取り組みに感心した記憶があります。高齢社会の互助を考えるとコミュニティが必要だなという認識で公民館が役割をになっているという認識で、この”まちづくり”視点を取り入れるまで随分と視点がまだ公民館をタダのコミュニテイの場所ぐらいにしか捉えてなかったと思います。

こういった役を絡むと、病院からの視点、イチ住民からの視点では随分と仕入れてくる情報に違いを感じることも多く、こういう時に、まちづくりの視点は非常に示唆に富むなぁと思います。

そもそも公民館ってなんだ?

まず、公民館が、社会教育法というところで定められています。

(目的) 第二十条 公民館は、市町村その他一定区域内の住民のために、実際生活に即する教育、学術及び文化に関する各種の事業を行い、もつて住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与することを目的とする。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC0000000207

というか、読んだ事なかったですねw 社会教育のそれ以上でもそれ以下でもないというところですか。

第二十二条 
公民館は、第二十条の目的達成のために、おおむね、左の事業を行う。但し、この法律及び他の法令によつて禁じられたものは、この限りでない。

一 定期講座を開設すること。
二 討論会、講習会、講演会、実習会、展示会等を開催すること。
三 図書、記録、模型、資料等を備え、その利用を図ること。
四 体育、レクリエーション等に関する集会を開催すること。
五 各種の団体、機関等の連絡を図ること。
六 その施設を住民の集会その他の公共的利用に供すること。

当然、禁止のものも

第二十三条 公民館は、次の行為を行ってはならない。
一 もつぱら営利を目的として事業を行い、特定の営利事務に公民館の名称を利用させその他営利事業を援助すること。
二 特定の政党の利害に関する事業を行い、又は公私の選挙に関し、特定の候補者を支持すること。
2 市町村の設置する公民館は、特定の宗教を支持し、又は特定の教派、宗派若しくは教団を支援してはならない。

とあります。公民館って集会所のイメージがものすごく強かったんですが、主事になってみるとその社会教育法の元で活動するという認識が深まりました。コロナの影響もありますが、講座がめっちゃ減ってるし、どちらかというと生涯学習の場所になってるので。あと、もつぱら営利を目的として事業を行い、、、の文面面白いですね。稼いで自立した公民館という選択肢がないというのがわかります。


公民館とコミュニティセンターってなにが違うの?

公民館のことをSNSで話題にしたら、「うちは公民館を全部無くしたよ」というLDLメンバーの高橋さんからコメントがきたので、速攻オンラインで話を伺いました。

事例は石川県七尾市です。

公民館はコミュニティセンターに変わっています。

「公民館とコミュニティセンター何が違うんだ?」と思いましたが、

七尾市まちづくり基本条例の理念に基づく協働のまちづくりを推進し、支え合う豊かな地域社会の実現に寄与するとともに、市民の交流および市民活動などの拠点として設置しています。社会教育法に基づく「公民館」を廃止し、「コミュニティセンター」へ移行しました。(市内15地区)各地区の地域運営組織である「地域づくり協議会」が、指定管理者としてコミュニティセンターを管理・運営しています。

https://www.city.nanao.lg.jp/chiiki-d/aramashi/shisetsu/komyu_ichiran.html

つまり、社会教育法からの脱却です。
公民館は社会教育の枠組みである以上、教育委員会の意思決定の影響をうけるわけです。七尾市はそこを首長部局に移すことで社会教育にしばられない公民館からコミュニティセンターになりました。地域の「地域づくり協議会」が運営しています。

七尾市コミュニティセンターの目的は
1.地域の防災防犯に関する事業
自主防災組織と連携した活動および防犯、交通安全パトロール活動
2.地域の福祉に関する事業
地域福祉ネットワークにおける地域の福祉力向上への取り組み活動
3.社会教育及び生涯学習に関する事業
生涯学習、社会教育の推進に関する活動
4.地域の課題を解決するための事業
過疎化、核家族化などによる地域コミュニティの低下を解消するための活性化への取り組み
5.地域の特性を生かした活性化につながる事業
その他、地域文化の伝承や地域資源を生かした地域の活性化に関する活動

https://www.city.nanao.lg.jp/chiiki-d/kurashi/bunka/chiikizukuri.html

項目3の社会教育。。。とあるように、幅広い項目の目的の中の1つに社会教育を組み込んでいるという位置づけです。話を聞いたら、「公民館って既にいろんな機能をもっているよね」ということも再確認しました。例えば防災についても、熊本地震の時は非常に活用していて、七尾市のように既にそういう役割をしているということだなぁと。

「社会教育に縛られない地域経営を可能とする組織と拠点を作る。」

https://notojima-chiiki.com/organization/

高橋さんはおっしゃってましたが、組織として、独立性が保たれる取り組みとして非常に参考になるなぁと。まあ、高橋さんが議員というのもあるのでその辺は政治的なバックアップも必要ですね。



「”ハコ”としての公民館」建物の推移は?

気がついたらあった、公民館。とはいえ、私が主事になった公民館は昭和62年(1987年)に建設なので、まあその前はなかったという事になります。
(建て替えではない)

文部科学省の公民館数の推移をチェックしてみましょう。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000513104.pdf

ちょっとデータが古いですが、平成8年は17,819館から、平成27年には14,200館となっており、およそ20年たたずに3,648館とも減っている事になります。

これには、先ほど説明したコミュニティセンターへの移行も理由のひとつとしてあるようです。

https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/jirei/doc/jirei_r1_2_6.pdf


ちなみに、菊池市はハコモノが多いとされていて、話題になったので公民館の地域移管などの取り組みが進んでいます。余剰ハコモノワースト6位(県内では1位)となかなかこの事実をもとに動いています。ちなみに、私が主事している校区公民館も地域移管もしくは取り壊しの可能性も検討されいます。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000548074.pdf

これは、うちより大きめの取りまとめをしている公民館の職員さんに、理由のひとつとして聞いていて、今回調べたら総務省のホームページでも
公共施設等総合管理計画の更なる推進に向けた説明会に係る配布資料(平成30年4月23日開催)
資料7で掲載されていましたw


「地域コミュニティは大事だが、”公民館”はいるのか?」問題


これを考えると、地域コミュニティはあった方がいい。しかし、そのような場所を公民館が今後担えるのか?非常に疑問が残る。


LDL仲間と話していて話題になった、公民館が過去にになっていたところは、「今はいろんな民間が担ってきているんじゃないか?」説。

確かに、営利事業の学習塾もいまやいっぱいあり、公民館に頼らなくても学習の場は当時に比べると溢れてるのかもしれない。最近は、放課後等デイサービスのようなものもあるし、機能分化して地域に点在している状況なのかも。

実際、公民館は経営とは遠い存在にあって、立地はよく、信頼はあるが、果たして予算は削減されて、ろくにお金も取れないから講座に予算はかけられないし、施設は古くなって使い勝手が悪くなっきているし、地域のニーズを多くの公民館が担えるかは非常に怪しい社会教育施設になったるんだはないか?(GIGAスクールとかいってても、私が担当する公民館はWIFIもないし。)

改めて気がつくのだが「高齢者のコミュニティを!」といっても高齢者は、働いてるか、デイサービスを利用していて地域にあまりいない。子供は学習塾に行ったり、NPO団体のサービスを利用していて地域にいない。

結局、”選ばれない公民館”となってるのかもと思いました。。。。

もう一つ懸念として話していたのは、「学習塾は家庭の懐事情がモロにでて、お金をかけられる家庭とない家庭で教育の機会格差が広がるのではないか?」という点です。

確かに、民間が担っていていろんなサービスがあるからといって、そういう機会を受けれる人はある程度お金をかけれる人たちという点も否めません。今はいろんな事にお金をかける時代。と考えると、リソースを分け合える互助な技を公民館が。。。できるかな?

とにかく、今までのことを引き継いでばかりだと。なくなってしまいそうなので。情報を仕入れて、運営の改善に努めてみようと思います。

乞うご期待!

【この記事について】
Locally Driven Labs(LDL)のプロジェクトの1つ“地方のオンラインの普及と価値の創造“にて、地方のオンライン活用した事例まとめ、実践。まちづくりへの取り組みをシェアしています。


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