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「問いづくり」というけれど、そもそも何のために問うのか

備忘録のため、某高校で実施する総合的な探究の時間のワークのためのシートに書いた一部分を残します。

いろんなところで「問いづくり」のノウハウや要素分解が行われていることを見聞きします。

また、総探と教科の探究は違う、と分ける思想をお持ちの方もいて、その点に大きな違和感を覚えます。

そうやって要素分解を前提に授業デザインをするのはもちろん参考になるのですが、「そもそも何のために探究をやっているのか」と高校生が思い始めるのは当然で。

「そもそも問いとは何なのか」「何のための問いなのか」が問われないことに違和感を覚えています。
私なりに言語化してみたので、ご意見を頂戴できれば幸いです。

この探究の時間では、共同体に属する人々で解決できていないことがら(「社会問題」といいます)を、なんとかしてメンバーの力で解決に導こうとする力を養います。

そのためには、一人では解決することが不可能であることを自覚しましょう。
ものの捉え方(眼差し、認識のレンズ)が異なる人々と、知恵や知識を組み合わせ、「こういう見方もある」「こういう仮説が成り立つのではないか」などとことばを交わしながら、願いや志を共有し、最適な解を導き、アクションを起こすことを目指しましょう。
つまり、対話(ダイアローグ)を通して、メンバー全員が世界づくりに参加することを学びます。
今後もその感覚を大事にしてください。

では、世界づくりのための問いとは何なのでしょうか。

世界は複雑で混沌としているものです。
そんなに単純ではありません。
その中から問題の核となる仕組みやモデルを見出し「ここが問題を解く上で大事なところではないか」と仮説を立てることが「問いを導く」ということです。
この過程で、問題に紐づく課題が見えてきます。
(科学的モデリングの領域では「コンセプトレンズをもとにモデルをつくる」と言ったりします)

この手続きはとても難しいものですが、探究活動では重要な手続きの一つです。
ただ、仮説はあくまでも仮のものですから、検証して適切か否かを判断すればよいだけです。
思考と止めずに、メンバーで知恵を寄せ合って、取り組んでみてください。

仮説はおおまかに2種類分けることができます。
「要因を特定させるための仮説」「解決のための仮説」です。
実際の探究活動の場面では双方の仮説と検証を行き来するものですが、今回のワークではその仕組みを理解してもらうために、単純化して示しています。

「要因を特定させるための仮説」を検証するのであれば、調べ学習(論文講読、文献調査、フィールドワークなど)によって先人の知恵を借りたり、自分の足で情報を収集することが必要です。

「解決のための仮説」を検証するのであれば、実際にそのプロジェクトを実践して、効果測定と評価を行います。

したがって、「要因を特定させるための仮説」の検証が不十分だと、「解決のための仮説」が誤った方向へ進む可能性があります。
また、要因を特定させても行動まで至らなければ「解決のための仮説」の検証ができないということになります。

つまり、それぞれの仮説を仮説のままで思考を進めると、偏った解を導いたり、とりあえずの解が導けなかったりして、解決に至らなくなるということです。

ここでの探究活動は社会問題を解決するために行うものです。
そのためには、検証するために具体的な「行動」が必要となるし、丁寧に思考し、創造し、行動することが大事です。

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