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札幌日大高校 宿泊研修

札幌に来ています。札幌日本大学高校の宿泊研修の同伴です。研修の内容は探究のマインドセット。今年で3年目。これまでは創業メンバーがやってきましたが、今年度は若手が主導して進めていました。創業時の熱量が次世代に伝わればいいなぁ、と思いながら、先生方とディスカッションをしていました。 最後に講評をということでしたが、この研修ができる前夜の話をしてみました。この研修は4年前にできた先生方の探究ワーキンググループから生まれました。最初のうちは「札幌日大ならどんな探究にするか」というと

    • 総合型選抜と体験(一緒に仕事しませんか?)

      総合型選抜では体験が大事になるんだよ、というときに、確かに志望理由の信憑性を裏付ける証拠(絵空事や嘘ではなく、本心でその研究・探究をやりたいのだということを裏付けるには、それまでの自身の過去の体験から導いたということを証明する必要がある)として機能させようという目的もあるのだけれど(これは戦略上必要だし、だから高校での研究や探究との接続が必要だという話になる)… もっと大事なのはその世界に浸かったときの違和感を起点に問いを抱き、仮説と検証の中でまた違和感を抱き、それを続ける

      • 総探とコンテスト出場

        総探では「コンテスト出場」をゴールに据えることが多いようです。何のためにコンテストに出場するのか、ということを考えてみます。 中間発表を含め、最終発表会やコンテストは「他者から批判的な眼差しを受ける機会になること」が最も重要な要素だと思います。自らがつくったプロダクトであろうと、積み重ねてきた研究であろうと、つくった者の人格を否定することなく、その意図を実現するためにどういう懸念があるのか、論理の飛躍があるのか、フラットに語り合うというために行い、より実現に近づけるという役

        • 批判に感謝する

          今日の授業の話。企画案のプレゼンテーションとディスカッション。そのさい「その案以外の方法を検討しましたか?それらの案の中で比較検討し、なぜその案が優位なのか説明してください」と高校生に問うたのだけれど、「経験したことが最も確かだし信頼性がある。他の案は経験が不足しているから」との返答がありました。正直言って、自らの経験はごく限られたものであって、経験の外にもよき選択肢があると思うのだけれど… 彼には自らの案にもクリティークする必要があるし、そもそもその案やコンセプトを否定し

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          総探の時間の所感

          今日は某高校の総探の時間の訪問。私は迷える子羊と対話をし、軌道修正する役割。 ある生徒との対話。「自分が興味ある探究テーマを決めたのに担任にダメと言われた」、それは調べれば出てくる問いだから、とのこと。そんなことあるのかなと疑問に思いながら話を聞いていると、ボタンの掛け違えの様子。 担任側は「本当にその探究をしたいのか?」という疑問を抱いていたようで、問いをクリティークしたみたい。大人から見ると先が見えてしまうようなものだったということらしい(調べて、ハイお終い探究)。

          総探の時間の所感

          総合型選抜のゆくえ

          しばらくぶりの投稿です。 私が主宰する塾(カンザキジュク)の本年度の総合型選抜の対応がほぼ終わり、結果がおおよそ出揃いました。 今年は教室を二子玉川に移転して2年目。 しっかり実績を出せたことに安堵しております。 ところで、毎年思うのですが、私が素晴らしいと思う生徒の取り組みが、大学側になかなか届かないということもあるのですよね。 志望理由書は通過したけれど、小論文や面接でNGというのが典型例です。 才能ある高校生を取りこぼしているなぁ、と感じます。 先日、某大学のアド

          総合型選抜のゆくえ

          リクルート『キャリアガイダンス』連載「創造的思考力を育てる 書かない小論文」を終えて(雑感)

          昨年より6回にわたって、学校経営者・管理職・進路指導担当者向け雑誌である『キャリアガイダンス』(リクルート)で連載記事を寄稿していました。 タイトルは『創造的思考力を育てる 書かない小論文指導』。 編集長と記事担当の方との初ミーティング。 リクルートマーケティングパートナーズ@目黒。 松岡正剛氏プロデュースのミーティングスペースでした。 私の興味関心は、次世代のキャリア形成と創造的思考力にあります。 そもそもなぜこの世の中に矛盾や差別や争いが起こるのか。 それは資本主

          リクルート『キャリアガイダンス』連載「創造的思考力を育てる 書かない小論文」を終えて(雑感)

          スタディサプリ感謝祭に出席

          今日はスタディサプリ感謝祭。 初の対面参加。 講師の末席に入れていただきました。 感謝祭にて、小論文講座の反響が大きく、テキストがかなり売れていると伺いました(PDFでダウンロードできるのですが、学校では紙にして欲しいというニーズがあるらしく、有料でテキストを販売しています)。 徐々に浸透しているようで、何よりです。

          スタディサプリ感謝祭に出席

          価値を価値付ける大事さ コーヒープロジェクトから

          木更津のTHE COFFEE代表、近井さんと久々に会いました。 超素敵な店構え。 スペシャリティコーヒーの世界にドップリ浸かれます。 コーヒーのプロジェクトを進めている私の生徒と引き合わせ。 「多様性」「サスティナブル」というフォースウェーブの流れで、各々の個性の価値を価値づける大事さ、コーヒーの美味しさを純粋に届けるプロと、生産者の願いや想いを伝える生徒との繋がり方に感動。 素敵な1日に立ち会えたことに感謝。

          価値を価値付ける大事さ コーヒープロジェクトから

          PBLで大事なのはDriving QuestionsではなくQuestioning the Drive

          久しぶりにぼやいてみます。 私の塾が最近活気付いてきまして、高3生少人数制クラスが満員御礼状態になりました。 これ以上増えたら、クラス増設を検討します。 さて、方々の高校の生徒から総合的な探究の時間やPBLの話を聞くことがよくありますが、結構辛辣なことを言うんですよ。 「『海洋ゴミを拾うためのロボットを創造せよ』というテーマだったけど、想像してプレゼンするだけで、形にもならないし、実現もしないことをやってて、何のためにやらされてるのか全然意味不明」 「『SDGsの項目を

          PBLで大事なのはDriving QuestionsではなくQuestioning the Drive

          探究と、紐づく思想との関係性

          こちらの話の続きです。 流れを整理すると、以下の通り。 割と多いのは、調べ学習を始めて分かった気になって止まるケース、そもそも調べ学習が進まないケースですかね。 混沌の世界を(時には歪んだ形で)広げてしまったり、混沌とした世界に呆然としているという状況でしょうか。 ということは、コンセプトレンズをもとにモデルを抽出する(問いを導く)手続きがいるということなので、どういうコンセプトレンズを装着させるのかによって、調べ学習の様相も変わるということです。 レンズを本人たちが

          探究と、紐づく思想との関係性

          「問いづくり」というけれど、そもそも何のために問うのか

          この探究の時間では、共同体に属する人々で解決できていないことがら(「社会問題」といいます)を、なんとかしてメンバーの力で解決に導こうとする力を養います。 そのためには、一人では解決することが不可能であることを自覚しましょう。 ものの捉え方(眼差し、認識のレンズ)が異なる人々と、知恵や知識を組み合わせ、「こういう見方もある」「こういう仮説が成り立つのではないか」などとことばを交わしながら、願いや志を共有し、最適な解を導き、アクションを起こすことを目指しましょう。 つまり、対話

          「問いづくり」というけれど、そもそも何のために問うのか

          志望理由書・小論文の根拠(理由)の要件

          興味深い記事があったので共有。 https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/チコちゃんの-なんで-は最悪の愚問である-5歳児の罵倒芸-に文化人類学者が本気で怒りを抱いたワケ/ar-AA16i3Rg?ocid=ob-fb-jajp-779&fbclid=IwAR2WhiZEUWWPUHBHCfCS1ow4m4XgBC7wKP2FvafrTqeqoVY8LL7h2xEsiB4 チコちゃんの問いの良し悪しはカッコに入れておくとして、肝心な記述を

          志望理由書・小論文の根拠(理由)の要件

          スタディサプリ『高3 ハイ&スタンダードレベル小論文(全20講)』、12/1リリース

          スタディサプリ『高3 ハイ&スタンダードレベル小論文(全20講)』、12/1リリースしました。 想定は地方国公立大学レベルの受験生。 取り扱うテーマは標準的な大学受験生にも比較的馴染みやすものから、抽象度の高いものまで、様々な素材文を取り扱っています。 これでベーシック小論文、トップレベル小論文併せて60講座が全て出揃いました。 ①ベーシック小論文(20講座)…小論文の基礎を学びたい受験生向け(短期間で学びたい人向けのショートカットルートあり) ②ハイ&スタンダード小

          スタディサプリ『高3 ハイ&スタンダードレベル小論文(全20講)』、12/1リリース

          総合型選抜ではキラキラ賞レースで勝ち抜く必要があるか

          総合型選抜ではキラキラ賞レースで勝ち抜く必要があるか

          「純粋に」知的好奇心に突き動かされるということは本当にあるのか?-「探究」をまた考える

          よく「純粋に知的好奇心に突き動かされて大学へ行くのでもいいんじゃない?」という話をされることがあるのですね。 でも、そもそも「『純粋に』知的好奇心に突き動かされる状態」って本当にあり得るのかな、と疑問を抱くんですよ。 そんな単純なのか?もっと邪なことだって頭の片隅にあるものじゃないのか?無意識の世界だけでもないだろう?別の動きがあるんじゃないのか?と。 そもそもコトは複雑なものだから、単純化されたものには何かしらの意図があると捉える必要があると習慣付いている私の悪い癖。

          「純粋に」知的好奇心に突き動かされるということは本当にあるのか?-「探究」をまた考える