モバイルバナナはどこに消えたのか
僕の記憶が間違ってなければ、モバイルバナナの自販機がどこかの駅にあった気がする。
たぶん東京メトロのどこかの駅。それも目立つ場所ではなく、他の路線との連絡通路っぽいところにポツンと置かれていた。
モバイルバナナといっても、ガジェット的なやつではなく本当に持ち歩いて食べるほうのバナナだ。
そういえば、一時期、バナナのかたちをしたUSBメモリとかあったね。いまもあるんだろうけど、そんなに見かけない。昔と違ってオフィスでもUSBメモリのやりとりが厳しくなったからかもしれない。
まあ、とにかくUSBにするぐらいみんなバナナは大好きなのだ。だけど、バナナはたいてい4本とか5本の房で売られている。
家族で食べるならちょうどいい。でも職場や通勤途中で食べるには多い。それに、バナナを房で持ち歩くのはそれなりに荷物になる。
だからモバイルバナナだったんだろう。1本だけバナナが欲しいときにぴったりだ。
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だけど、そこには問題もあった。バナナは意外に輸送性がない。鞄の中に入れてうっかりつぶしてしまったら悲劇だ。
じゃあ手で持ち歩けばいいと思うけど、なんとなく外でバナナを手で持って歩くのは抵抗感がある。端的にゴリラっぽいのだ。その画が。
じゃあ、実際にゴリラがバナナを1本だけ持ち歩いてるかと言うと、そんなこともない気がするのだけどイメージ。それに、そもそも野生のゴリラの生息地にバナナはない!
そこで登場したのが、バナナ1本をうまく収納できるバナナ型のホルダー。
これに入れて持ち歩けばいつでもどこでもバナナが楽しめるし、食べ終わった皮の捨て場所にも困らない。モバイルバナナライフが過ごせるのだ。
街にはモバイルバナナを持ち歩く姿があふれ――。と、なってもおかしくないはずなのだけど、どうやらそんなことにはなっていない。せっかくのモバイルバナナ自販機も増えてない。どうしてなんだろう。
もしかしたら、それは東京の話で他の都市ではもっとモバイルバナナが普及しているのかもしれない。
総務省の家計調査(2018)から都道府県県庁所在地別バナナ消費金額のランキングを見てみる。
バナナ消費金額第1位は広島市。2位が三重県津市。3位滋賀県大津市、以下、鳥取市、名古屋市と続く。ちなみに最下位が熊本市というのも意外。くまモンはバナナ嫌いなんだろうか。
広島の人はバナナ消費率が高いらしい。ミカンやレモンの黄色い柑橘系のイメージはあるけどバナナのイメージはそんなにない。
理由はよくわからないけれど(家計調査の消費支出のランキングってそういうのが多い)、広島に行けばモバイルバナナに出会えるのかな。