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やめたほうがいいよと言うだけの人

この前、あるクラフト系作家さんたちのイベントのお手伝いをした。毎年恒例のイベントで、妻は告知系のデザイン周りをやったり設営とかいろいろ。

僕のほうは若干へろへろだったのだけど、会場でコーヒーをお出しするなどさせてもらった。

もちろん、僕ら以外にもスタッフは何人かいて、回を重ねるごとになんていうか、それぞれの役回りが自然にできてる。なので特に打ち合わせらしい打ち合わせをしなくても当日「いつもの感じ」で運営できるので気が楽。

ただ、今回は問題が一つあった。台風19号被害だ。わりと真面目に災害レベルの台風のあとで開催できるのか。

幸いなことに会場周辺も関係者にも人的、物理的被害はなかったので、いろいろ考えた末、やりましょうということになった。

作家さんの作品も本来なら運送してもらうのだけど、その時点では運送会社が機能していなかった。エリア全域で集荷も発送もストップしている。仕方ない。作家さん本人が行商の人みたいになって作品を背負って来ることになった。

ただ、前回までは地元紙の新聞(これが都会では考えられないぐらい影響力がある)にも事前に取材して記事にしてもらっていて、新聞効果での集客も結構あった。

今回も取材してもらうことになってたのだけど、災害報道にシフトするので当然それどころではない。丁寧にごめんなさいの連絡ももらったけれど、どっちが必要かは言うまでもないし、むしろ今回の担当は新人記者さんだったのでいきなり1年目から経験値と思った。

でもまあ、作家さんも1年かけて準備してきたのだ。例年みたいに集客規模も大きくはしないけど、できることをやろうとみんなスイッチを入れ直したのだ。

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そこに、とある人が「やめたほうがいいんじゃない」と言ってきた。台風のあとでお客さんも来るかどうかわからないし、当日の天気も雨予報なので、また大雨になったらどうするの? と。

その人はべつに関係者でもなんでもないし、熱心なお客さんというわけでもない。作家さんも困惑した。

なんだろう。正論と呼べるほどの何か確固とした信念や確証に基づいて「やめるべきだ」と言ってるのでもなく、ただ漠然と「やめたほうが」と言ってくる。

もちろん、僕らも現実的な要素はいろいろ想定し考えた上で「やる」という結論を出したのだ。

今回は新聞にも載らないし、そこまで不特定多数の人が来場することはないだろう。メディアの情報を見た不特定多数の来場が見込まれるなら、それなりの態勢にしないといけないので(そこは過去いろんな意味で学習した)たしかに中止もあり得たかもしれない。不測の事態を避けるためにも。

だけど、今回はそうはならないなと。作家さんや作品のファンの人で、無理せずに来れるお客さんだけが来てくれる回になったとしても、それはそれで意味があるんじゃないか。みんながそう考えたのだ。

最終的には主催者の作家さんたちが決めることなので、僕らはどっちに決めたとしてもフォローするつもりだった。

結果的に、90%雨予報だったのが午後まで奇跡的に晴れた。おかげで、それほど混雑もせずお客さんたちも作家さんたちも、ほどよい空気感の中で展示を見たり、作家さんとのやりとりを楽しみながら作品を買ってもらうこともできたのだ。

端的に言って、やってよかった。作家さんが「楽しかった。また来年ね」と言ってたのが何よりだし、お客さんとして来られた大御所先生が作家さんに「あなたたち、いいスタッフ連れてるわね」と仰ったのもうれしかった。

そう言えば、と妻が言った。

「あの、やめたほうがいいんじゃないって言ってた人、結局来てないよね」

そうなのだ。あれほどいろいろ言ってたのに。本当に「心配」なら様子だって見に来てもおかしくはない。いったい、あの「やめたほうがいいんじゃない」は何だったんだろう。

自分がやるわけでも何か手伝うわけでもないのに、何か口をはさみたくなってしまう人っている。もちろん、建設的な意見とか提案なら、第三者からのものとして「はっ」とするものもあると思う。

でも、そういうのじゃなくただいろいろ言うだけの人は、いったい何がしたいんだろう。もしかしたら「イロイロイイタクナール」のサプリとか飲んでるだけなのかもしれないけど。