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信州お歳取り魚戦争

物騒なタイトルをつけてしまったけど、まあまあそういう趣きがある。

海なし県の信州(長野県)では、もともと「魚」への愛が深い。東京からこっちに移り住んでスーパーに行ったら、魚売り場の充実ぶりが結構衝撃だった。

壁の端から端まで魚、魚、魚。そんな歌あったね。

なんなら都内のスーパーより魚が充実している。お寿司屋さんの数も多い。実は、長野県に海がないというのは都市伝説で本当はあるのだ。

北アルプスとか南アルプスとかの高い山が目立つので、みんなそっちに目がいってしまって海があることを見落としてる。

嘘だと思うでしょ。でも、ちゃんと夏になると「長野県の海」みたいなタイトルの冊子や「海の家割引券」とかも出回る。来年の夏こそは行ってみたい。

いまの時季は、当然海水浴の話題ではなく「お歳取り魚」だ。おとしとりざかなと呼ぶのも、もちろんこっちに来てから知った。

大晦日の31日に何の魚を食べて年を越すか。信州では、年越しそば以上に欠かせない行事というか食文化になってる。

近所の人と話しても「もう鰤(ブリ)を買った」とか「今年は新巻き鮭のいいのが手に入った」とか言う。

スーパーのチラシも、いちばん目立つポジション(つまりいちばん売れる商品)のところに「鰤(ブリ)VS鮭(サケ)」がどどーんとしたビジュアルで踊ってるのが年の瀬の風物詩。

さらに、長野県の東信地域(上田市とか佐久市とかエリア)では、そこに「鯉(コイ)」も参戦する。

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お歳取り魚は鯉じゃないと勢も根強い。鯉をふつうに食べる感覚がなかなかなかったけれど、食べてみると結構好きかも。「うま煮」の鯉はなんていうか味が深い。

もちろん泥臭いとかもまったくなくて、なんか「魚を食べた感」がすごくあるのだ。

で、この「鯉」もタイミングによっては争奪戦になる。鰤や鮭もバチバチにスーパーの魚売り場で火花を散らす。祭りだなと思う。

お歳取り魚が跳びはねる信州の年の瀬。嫌いじゃない。