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元ホテルコンシェルジュの私がPdMとしてNOT A HOTELの運営メンバー向けツールを開発した話

こんにちは、NOT A HOTELでプロダクトマネージャーをしている中川(fumifumi__8)です。
2022年12月よりNOT A HOTELのソフトウェアチームにジョインして1年が経ちました。
今回は元ホテルコンシェルジュの私がゼロイチで開発した運営メンバー向けツール「Helpstaff」についてお話します。

📖 プロフィール
新卒からUDS株式会社ホテルマネジメント事業部にてホテル立ち上げ〜運営に従事。その後受託開発会社にてソフトウェア・アプリ開発を経て、22年12月よりNOT A HOTELに参画。
▷ ホテル勤務時代はミシュラン星つきラグジュアリーホテル・現代アートをコンセプトとしたデザインホテルを経験、客室単価約5千円〜30万円まで幅広く携わる
▷ ホテル x DXに可能性・興味を抱きWeb開発を勉強、その後IT業界へ未経験転職する


この記事はこんな方におすすめ!
・NOT A HOTEL ソフトウェア開発に興味がある人
・NOT A HOTELのホテル運営を支えるシステムについて知りたい人


開発の背景


PMSとHelpstaffの関係

NOT A HOTELは社名の通り、一般的なホテルとは違う独自の体験を提供している会社です。それゆえにNOT A HOTEL独自の機能が多数あり、”PMS(プロパティ・マネジメント・システム)”と呼ばれるホテル運用システムについては自社で独自開発しています。

PMSはパッケージソフトウェア・SaaSを利用するホテルが大多数を占めており、ホテル勤務時代にはPMSを自社開発する会社があるとは想像もしなかったです。(NOT A HOTLEのPMSとは?という方はこちらのnoteをご参照ください)

そのPMSの機能をNOT A HOTELの運営業務に最適化した形に落とし込み開発したツールがHelpstaffです。
PMSのサブツールの位置付けで開発しているウェブアプリケーションであり、NOT A HOTELの運営メンバーの困りごとを解決し、運営メンバーを助けになるツールになりたいという想いから”Helpstaff”と名付けました。

きっかけは青島で実感した運営課題

Helpstaffを開発したきっかけは、入社後すぐに訪れたNOT A HOTEL AOSHIMAで運営現場を見学しみえてきた課題を実感したことでした。

💡 必要情報へアクセスしにくい(物理的な理由)
PMSはPCからのみアクセスのため、NOT A HOTELの運営メンバーはオフィス以外での業務も多く移動をしながらPCでPMSを確認することが現場負担になっていた

💡 運営現場にとって必要な情報がわかりにくい
運営メンバーにとってPMSをぱっと見た印象で「情報量が多くPMSは難しい」と感じてしまっていた

上記はシンプルな課題ですが、これらが理由で運営メンバーがPMS利用時に漠然とした苦手意識を持ってしまい、結果お客さまの情報把握の課題・業務連携の負担につながっていました。

これらの課題に対して一緒に青島に見学をしたソフトウェアエンジニアのhexさん(codehex)が「スマホ版を開発しようよ!」と提案してくださり、開発がスタートしました。(ちなみにhexさんがHelpstaffと命名)

超運営現場目線で仕様検討


PMSのスマホビューとして”スマホデザイン”を作成するのではなく、HelpstaffというNOT A HOTEL での運営業務に最適化するツールをつくることは自分が想像する100倍難しかったです。
正直、日々沢山の壁にぶつかりながらプロダクト開発に取り組みました。
そんなHelpstaff開発の仕様検討を大きく3つのポイントに分けてを解説していきます!

👀 新人ホテリエとして運営メンバーの徹底観察

Helpstaffの機能を検討するうえで「何が」苦手意識を抱くポイントになっているのか理解することことが最初の難関ポイントでした。
青島への見学で運営メンバーからは「なんかわかりずらくて、難しい」との声を受けました。しかしホテル業務経験5年の私は、PMSに使い慣れてしまっていたことで、逆に運営メンバーの言語化しづらい「なんかわかりずらい」に共感できなくなっていることに気づきました。
そこで、まず初心に戻り”新人ホテリエ”として運営メンバーの徹底観察を実施

▼ 新人ホテリエとして実践したこと

  1. 毎朝運営現場の朝のブリーフィング*にオンライン参加

  2. 運営業務で日々参照している情報・作成データを全部教えてもらい確認

  3. 運営チームのグループメンションをslackで逐一追い日々のやり取り全内容をチェック

  4. ヒアリングではなく業務を教えてもらうスタンスでとにかく“聴く聴く聴く“の姿勢をもつ

*ブリーフィング:今日1日の運営業務内容やお客さまについての認識合わせをするMTG

💡 見えてきた「わかりづらい」の2大要因
1.  
CS業務と運営現場業務の切り離されていることで必要な情報の種類や粒度が違うこと
2. 運営現場メンバーは情報を詳細な文字情報よりも直感的に把握できることを好むこと

⏩ そのためHelpstaffでは運営に必要な情報の選定をして、直感的にわかるように文字量を少なくしシンプルなUIを意識して開発を進めることにしました。


📱 いつ・どこで・誰が・どのように使うのかを考え尽くす

二つ目の難関ポイントは「運営オペレーションとセットで機能開発をする」という点でした。
NOT A HOTELサービス起因での独自オペレーションや業務連携を踏まえるとオペレーションを想定するのが難しい場面が多々あります。

検討した仕様をPMS PdMチームのやっしーさん(K846ana)・さとみん(satomifukudaa)、hexさんへ仕様相談する際に「それ本当に運営現場にとって必要なんですか?」と問われることが多く、特にhexさんからは1億回ほど問われましたw

💡 「本当に必要か」の深掘りをしたからわかったこ
おおよそ必要であろうと思っていたが、実際には運用が全く違ったこと
プレイス(青島・那須)によって運用に差があるなど的外れになってしまっていること
利用するユーザーの職種(ホテルサービス、キッチン、清掃)によって何をどれだけ重視したいかの重要度が異なること

⏩ 本当に必要な機能を検討するためにもいつ・どこで・誰が・どのように使うかを考え尽くすこと、そのために運営メンバーヒアリング、PMSチームへの相談などは欠かさないようにしました。


🤵🏻‍♀️ 1st リリース後にHelpstaffを使いホテル業務をする

Helpstaffをリリースした3ヶ月後に、実際にいつ・どこで・誰が・どのように使うか実情を知るため、NOT A HOTEL AOSHIMAにてホテル制服を着用し運営メンバーの業務に1日半帯同しました。

業務見学ではなく”業務をする”として、自分ができること全業務に関わらせてもらいました。

例えば、AOSHIMA レストラン LDKのオープニング。

AM 7:30頃 AOSHIMA LDK


テーブルの拭き方からテラスの掃除、キッチンさんへの引き継ぎ、その合間での情報確認、「どのような状況で・何をみて・どう動くか」運営メンバーのリアルな目線を体験することにより解像度がグッと上がります。

💡  ホテル業務をして得られたこと
1日中運営メンバーと同じシフトで働き、ベッドメイク等清掃業務を実施することで「いつ・どこで・誰が・どのように使うか」を自分ごととして捉えて理解できたこと
業務一つ一つの対応事項だけでなく実際に業務と業務のつながりや流れ・業務全体を知ることが本質的な課題を捉えるヒントになったこと
Helpstaffの良い点・まだ足りてない点を自分の肌で感じたこと

⏩ 開発したツールを実際に使い業務をしてそこからさらに仕様検討すること、そこまでやりきることで超運営現場目線といえるプロダクト開発を目指します!

Helpstaffのコア機能


社内の運営向けツールですが運用に合わせて機能追加をしています。
現在[ハウス状況][予約状況][食事][タスク][設定]のタブメニューがあり、運営業務の必要情報を網羅しています。
今後は運営現場メンバーの要望や、PMSの機能アップデートに合わせてHelpstaffの機能拡充をしていく予定です。
以下に2つ主要機能詳細をご紹介します。(※表示されているデータはダミーです)

📅 予約状況カレンダー

  • 運営業務対応ボリュームが一目でわかるように表示

  • 当日の予約確認や負荷状況を視覚的に把握可能

    • 予約種別(オーナー様利用、ゲスト利用等)の色分け

    • 予約詳細では運営業務の重要順に情報を表示

PMS
開発したHelpstaff

🍽 食事オーダー一覧

  • 朝食・夕食の判断をわかりやすく表示

  • 同タイミングでの同ハウスへ提供するメニューは目立つように時間部分を表示

  • 過去のオーダー履歴詳細も確認可能

    • オーナーさまの傾向を把握できる(好みや前回の提供内容など)

PMS
開発したHelpstaff


Can Helpstaff “help” staff?


Q. Helpstaffは本当に運営メンバーの助けになっているのでしょうか?

A. 運営メンバーの利用率 は100%
運営メンバー(社員)は全員利用。リリース当初はホテル運営中心メンバーが利用。
「便利だから利用してみて」と運営メンバーの声がけでさらに広がり、今では全拠点のホテルサービスメンバー・キッチン、清掃、職種関係なく全員が利用してくださっています。


運営メンバーからの声

Helpstaffなしでは運営業務できないくらい、Helpstaffある前提で業務が成り立ってます

helpstaff食事、現場スタッフ非常に感動しております

これまで働いていた職場はとにかくアナログで、「ここもっとこんなふうにできたらいいのに」が実現しづらかったのですが、NOT A HOTEL に入ってこんなに便利機能がぽんぽん追加される世界線に頭が上がりません

ありがたいことに運営現場でも使われていて嬉しい限りです。
とはいえ…!まだまだ日々の運営業務にての課題はあり、それらを解決できるようにPMS・Helpstaffは進化し続けていく予定です。


おわりに


長々と書きましたが
元ホテルコンシェルジュの私がPdMとしてNOT A HOTELの運営現場スタッフ向けツールの0→1開発にて
✅  なんとなくわからなくて、難しい の声を解消 
✅  運営メンバー利用率100% にできた
そのKEY POINTは超運営目線で仕様検討をしたことでした。

💡  超運営目線で仕様検討とは
・新人ホテリエとして運営メンバーの徹底観察を実施
・それ本当に運営現場にとって必要か、オペレーションとセットで機能検討
・リリース後に運営現場で1日半ホテル勤務をしてプロダクト利用側を経験

また、それをできたのはひとえに
運営現場メンバー・CSチーム・PMSチーム・hexさん
のおかげです。

ツールがあるから当たり前に使ってもらうではなく
オペレーションに合わせた機能開発でNOT A HOTEL のサービスをより加速させワクワクする運営ツールの開発ができるよう、これからも領域を横断してチーム一丸となり取り組んでいきます。

個人としてはNOT A HOTEL運営メンバーの一員と言う気持ちを持ちソフトウェアチームで開発へ還元できるよう、これからも精進していきたい。そう思っています。

というわけで、私たちは仲間を絶賛募集中です!

SOFTWARE TEAM & MANAGEMENT TEAM

プロダクトマネージャー、エンジニア、デザイナーの方々、ぜひ NOT A HOTEL に力を貸してほしいです。カジュアル面談もしているので、気軽にお申し込みください。お待ちしています!

以上、元ホテルコンシェルジュの私がPdMとしてNOT A HOTELの運営メンバー向けツールを開発した話でした🙋‍♀️

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