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雨上がりの空に

わたしの名前はなつ
小学校一年生

わたしのお家の近くには神社があって
きつねさんがいる

この神社は
わたしのお気に入りの場所

もっと小さかった頃は
お母さんと一緒に来て

小学校に行ってからは
学校の帰り道とか
お休みの日とか
わたしが行きたいって思ったときに
行けるようになった

今日は学校で
少ししょんぼりすることがあった
おともだのはなちゃんと
ケンカをしてしまった
ケンカをしたまま
ごめんなさいも言えなくて

明日の学校のことを考えると
ちょっと行きたくないなって思っちゃう

そうだ
きつねさんのところへ行こう

わたしはランドセルを置いて
お母さんに声をかけた

きつねさんのところへ行ってくるね!

なつ、これから雨が降るみたいだから
早めに帰っておいで

は〜い

わたしは走って
きつねさんがいる神社へ向かった

わたしはいつも
きつねさんのところへ行くと
きつねさん いつもありがとうございますと
挨拶をする

この言葉を言ってから
いろいろなことをお話して
また来ますと言って帰る

お母さんと一緒に神社へ来ていた頃
お母さんがいつも
きつねさんにありがとうございますと言っていて
わたしも同じことを言うようになった

きつねさん いつもありがとうございます

いつものように言ってから
わたしは今日学校であったことを話し出した

お友だちのはなちゃんとケンカをしちゃったこと
仲直りできなかったこと
明日学校へ行きたくないって思っていること

本当ははなちゃんに謝りたいと思っていること

そこまで話してわかった

そうだ
わたし はなちゃと仲直りがしたい
明日はなちゃんともう一度お話して
謝ろう 仲直りしよう

そう思ったら
なんだかすっきりした気持ちになって
にっこりと笑った

あれ?
今きつねさんも笑った?

ぽつぽつと雨が降ってきた
あ!雨だ
早く帰らなくちゃ

すると雨はどんどん強くなってきて
傘がないと歩けないくらいの雨になった
雨が弱まるかんじはしない

わたしは
だんだんと心細くなってきた

空は暗いし
雨はやまないし
早く帰りたい
お母さんに会いたい
わたしは泣きたくなった

あれ?
ふわっと頭の上に何かが降りてきた
見上げてみると
大きなシダの葉っぱだった

こんなに大きな葉っぱ
今まであったっけ
葉っぱさんが
傘になってくれている!

しばらく葉っぱさんを見上げていたけれど
やっぱり雨は降っている

でもさっきほどさびしくはない

ふと足元を見ると
小さなかえるさんがいた

かえるさんはじっとわたしを見ている
わたしとお話したいのかな?

こんにちは
かえるさんに話しかけてみた

わたしの名前はなつ
よろしくね

そうだ
かえるの歌を歌ってみようかな
ちょうど今日学校で習ってきたし

わたしはかえるの歌を歌い始めた
すると
かえるさんがわたしの歌に合わせて
ぴょこんぴょこんと飛んでいる

わたしはとっても楽しい気持ちになって
大きな声で歌った

あ〜楽しかった!
かえるさん どうもありがとう

遠くからお母さんの声が聞こえる
なつ〜
なつ〜
とわたしの名前を呼んでいる

お母さんが迎えに来てくれたんだ!

かえるさん またね!
そう言って ふと後ろを振り返った

そうか
葉っぱさんの傘を作ってくれたのは
きつねさんだったんだ

きつねさん どうもありがとう

なつ!
お母さんの姿が見えた

お母さん!
とわたしは叫んで
お母さんのもとへ走っていった

お母さんとの帰り道
空に虹がかかった

神社のことを
お母さんに話そうかなと思ったけれど
やめた

これは
きつねさんと
かえるさんと
わたしの秘密

そう思ったら
なんだかわくわくして
楽しくなった

今度神社へ行くときは
きつねさんへおみやげを持っていこう
今日のお礼!

雨上がりの空に
きらきらと輝く虹は
とてもとてもきれいだった

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