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認知症おとーさん日記 13〜20 Jul.2021

わたしが東京に戻った翌日、7時前におとーさんから電話があった。トイレに起きたついでに、電話をくれたらしい。
「無事着いたのか?」
どうやらきのうまでわたしが一緒にいた記憶はあるらしい。もう起きるのかと聞いたら、もう少し横になっているという。おとーさんの場合、早寝遅起きが定番だものね。眠るのにも体力がいるというから、おとーさんは体力がある方なのだろう。

ここのところ朝電話をしても朝ごはんを食べ終わっていないことが多く、朝昼兼用になってしまっているらしい。暑いからかもしれないけれど、デイサービスに行かなくなって生活のリズムがつけにくく、完全にひとりで過ごしていることによって精神的に不安定になっていることにも起因しているように思う。
当のおとーさんも、
「デイサービスは、どうなってるんだ?」
と気になっているようだ。通っていた施設が閉鎖になったから、3箇所体験利用したけれど、どこもおとーさんが気に入らなかったことを伝えると、
「そうだったか。忘れちゃってるな。」
この後グループホームに入所することは、もちろん覚えていない。

朝ごはんが遅くなって困るのがお薬の管理。朝食後に飲むようにしているのだけれど、遅い時間になると仕事をしていて電話をするのを忘れてしまうこともある。
「ごめん!きのうお薬確認の電話するの忘れちゃった。」
そう謝ると、
「お薬はもう飲まなくてもいいんじゃないか。ひとりぼっちでいるのがつらいから、認知症が進んで何もわからなくなっちゃった方がいいんじゃないかと思ったりする。」
と、言うおとーさん。あゝ、淋しいとは思うけどそんなこと言わないで。心臓がギュッと締め付けられる。

一方、グループホーム入所に向けて準備をはじめた。施設に入所日や荷物の確認をしたあと、妹Rちゃんと打ち合わせ。家からは、ライティングデスクとテレビを持っていくことに。テレビ用の大きなカップボードも持っていきたかったのだけど、コロナ禍中のため引越し業者さんが施設内に入れないので断念。スタッフの方と私たちで運べるものだけ持って行き、テレビ台やリラックスしてテレビを見るための椅子などは買って届けてもらうことにした。お互い情報を交換して、あれがいい、これがいいとLINEでのやりとりが続く。なんだかいろんなことが急ピッチですすんでいるなぁ。

札幌も気温がグッと高めになってきているので、常備しているポカリスエットをこまめに飲み、扇風機をかけて過ごすように毎日声がけをするようにした。そうしないと忘れてしまいがちなのだ。
涼しい北側の部屋にはわたしや弟Tが泊まるときに使うように、おとーさんの使い古しのベッドマットを置いていつでも使えるようにしているので、最近はそこで横になって涼んでいることも多いらしい。きっと、札幌の街並みを眺めながらいつものように妹Rちゃんや弟Tに話しかけたりしに行ったついでに、横になってるんだろうと思う。やっぱり淋しんだよね…


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