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『コナン・ザ・グレート』

「筋肉がNoと叫んだら、私はYes!と答える」
When my muscles say “No”, I say “Yes!”
(“Muscle: Builder & Power”誌、1977年1月号)

 ミスターオリンピアに6度優勝した70年代最高峰のボディビルダー、シュワルツェネッガーの名言です。
 この名言からちょっとしたメンタルの強さを感じました。  
 これを書いてる現在は私もジムに通っているのですが、ウェイト・トレーニングって楽ではないし、身体が健康で心が病んでなくて専門的な知識がないと最高級のボディビルダーに到達することは到底不可能だろうなって思います。簡単なことではありません
 本作は、70年代にボディビルの道を極めたシュワルツェネッガーの、俳優のキャリアとしては初期の方の80年代の作品です。

『コナン・ザ・グレート』(1982日米公開)は、シュワルツェネッガーの台詞が少ない代わりに筋肉が物を言います。

最高峰のボディビルダーの無双の肉体美と筋肉は主人公コナン(蛮族)のソードアクションに別格の迫力と説得力を与えました。まだ演技に慣れていないような木訥さも役に嵌っています。『コナン・ザ・グレート』はボディビルダーから俳優業へ転身を図りつつあったシュワルツェネッガーの出世作と言っても良いんじゃないでしょうか。この作品以降、多数のヒット作に恵まれています。

原題:Conan The Barbarian /邦題:コナン・ザ・グレート
監督/脚本:ジョン・ミリアス
音楽ベイジル・ポールドゥリス
美術/ロン・コッブ
原作:Robert Ervin Howard(アメリカテキサス生1906-1936自殺)
コナン/アーノルド・シュワルツェネッガー
タルサ・ドゥーム/ジェームズ・アール・ジョーンズ
オズリック王/マックス・フォン・シドー
ヴァレリア/サンダール・バーグマン
サボタイ/ジェリー・ロペス
アキロ/マコ岩松
魔女/カサンドラ・ギャヴァ
ヤスミナ姫/ヴァレリー・クイネッセン
 アトランティスが海に沈んだ遥かな昔キンメリア国、鋼の神クロムの神話を信心する刀鍛冶の部族の両親の元に生まれたコナンですが、鋼の秘密を求めるタルサ・ドゥーム率いる蛇の紋章を掲げた謎の一団に部族の村が襲われ両親を含め村人が殺されてしまいます。コナンは他の子供達と奴隷に売られてしまい、年月を経て闘技場で戦う見世物の奴隷になりました。勝利を重ね、主人から剣の修練や読み書きや娼婦など高待遇を得られるようになったのちコナンは檻から解き放たれます。    
 コナンは旅をしながら「謎の剣」を手に入れ、仲間や愛する女性を得て、王の頼みを受けつつ両親と部族の仇である、蛇の紋章を掲げた謎の一団とタルサ・ドゥームを探すのでした。  

 鉄砲が発明される前の鉄器時代といった風の、現実にはない「ソード&ソーサリー」の神秘的な世界ですが、原始的な人間の残虐さや暴力や情欲の部分をも描写した物語となっており、真剣味を帯びています。
 80年代制作の大人向けのファンタジーという風格です。

 『コナン・ザ・グレート』は洗脳された姫の奪還という、いわゆる囚われの姫を救出するお約束な展開もありつつ、主人公と共に戦う元盗賊の女性の他に、英雄を誘惑し助言を授ける危険な女まで現れます。
 皆、境遇も職業も全く違うので、私には優劣はつけられないんですけど、みんな違ってみんな魅力的で良いなと思っています。

盗賊/ヴァレリア(なんとヒロイン!)

 ザモラに向かう途中で出会う盗賊の女性です。職業が盗賊だけに俊敏ですが、剣の腕も相当な手練れでコナンと恋人関係に発展し、共に戦いました。
 一人孤独に自立して生きてきており、自発的で行動力があるだけでなく、重大な局面でも意志の強さと決断力を発揮し愛するコナンを救うことになります。
 一緒に戦って死ぬタイプのヒロインです。

魔女(魔物?)

 奴隷から解き放たれて一番最初に出会う、人の姿をした何かです。
 長い黒髪が印象的な美女で、周りに岩しかない一軒家の中にコナンを招き入れ、報酬(性交渉)を得る替わりにコナンの未来とコナンが探す蛇の紋章への手がかりを見通します。
 コナンがここに来るのを聞いていたらしく、絶頂とともに本性を現しました。
 80年台の映画で、まさかの、自ら男を選び性行為に誘う主体性のある女性です。

囚われの王女/ヤスミナ姫

 父王様に愛されている可愛らしい姫です。操られてタルサの側に侍っていたのも人質として利用価値があるからからだと推測します。
 本人の意思とは関係なく周りから利用されたり、危険な目に遭うのだから可哀想ですよね。
 たとえ世間知らずだって本人は悪くないと思うんですよ。周りが箱入りに育ててしまうのですから。
 攫われて酷い目に遭うのはかわいそうだけど、可憐でか弱いところが良いなと思います。主人公に助けられる話の展開は鉄板で、映画で一度は見たい展開です。

 主人公は囚われの姫と良い関係になるのが王道だと思ってたけど、逆に姫と良い関係にならず姫の魅力を抑えた筋書きのかわりに、旅の途中で助言してくれる女とスケベして、旅の仲間と恋人関係になって、姫を救出する盛りだくさんの展開で凄いです。


捻りが効いてるなと感心しました。
オススメの映画です。

出典:IMDB

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