見出し画像

『テッド・バンディ』

  1946年11月24日にバーモント州バーリントンで生まれたテッド・バンディTheodore Robert Bundy(ザック・エフロン)は、1970年代にアメリカで連続レイプ殺人を繰り返していました。1989年にフロリダ州で電気椅子で処刑されるまで少なくとも30人の女性を殺害したと供述しているそうですが正確な人数はわかっておらず、20世紀後半に悪名を馳せた犯罪者の1人です。
 1ヶ月以上にわたって2人以上の殺人を犯す犯罪者をシリアルキラーと呼ぶようになったのはテッド・バンディからになるようです。(1984年Robert Kenneth Ressler提唱による。著書に「FBI心理分析官」(1994年)がある。)

画像1

 この映画『テッド・バンディ』(2019日米公開)の原題Extremely Wicked, Shockingly Evil and Vileは、死刑判決を下したエドワード・コワート判事が法廷でテッドに向けて言った言葉で、「極めて邪悪、衝撃的に凶悪で卑劣」という意味

画像2


 この映画の内容は、テッドがワシントン大学在学中の1969年にシアトルのバーで出会った同大学の職員でシングルマザーのエリザベス・クロプファー(リリー・コリンズ)との関係に焦点を当てていて、エリザベス目線から見たテッドから物語は深まっていきます。
 名門ワシントン大学卒業後ロースクールに入学するなど、テッドはいわゆるインテリなわけです。インテリなイケメン。
 後にエリザベスはテッドとの6年間の交際関係を記した本「The Phantom Prince:My Life with Ted Bundy」(1981年)を執筆しています。

 エリザベスだけではなく、テッドに関わった人でテッドのことを本にして出版している人は複数人いて、以下の通りです。
The Stranger Beside Me: Ted Bundy the Shocking Inside Story(1980年)by Ann Rule シアトルの元警官でSuicide Hotline Crisis Centerに就職したテッドの元同僚だった。
Ted Bundy: Conversations with a Killer(1989年)by author Stephen Michaud and journalist Hugh Aynesworth テッドにインタビューした150時間の録音内容をまとめて本にした。
Defending the Devil: My Story as Ted Bundy’s Last Lawyer(1994年)by Polly Nelson テッドの弁護士。

画像3



 当時1979年にマイアミでの裁判が全米で放送され多くの人が判決を見守った話題性抜群の連続殺人犯だったのはもちろんのこと(アメリカには、当時を覚えている人もまだ存在することでしょう)、テッド自身も外見が良く主に女性にとって興味をそそられる人物だったのだろうと私は思います。
 この映画ではエリザベスの他に、テッドと獄中結婚をしたテッドの無実を信じた女性キャロル・アン・ブーン(カヤ・スコデラーリオ)を通してテッドの魅力に嵌っていく様子が客観的に見えます。
テッドが殺害した大勢の女性と、エリザベスやその他の交際相手との違いってあるのでしょうか。気になります。

 Amazon originalのdocumentary「Ted Bundy Falling for Killer」邦題「テッドバンディ 連続殺人犯を愛した女」では元恋人のエリザベス・ケンドール(仮名)ことエリザベス・クリプファーや弟のリッチ・バンディなどからシリアルキラーとは思えない愛情豊かで親切で好青年な一面が語られたりするのでご興味のある方はそちらもどうぞ。

画像4


学歴と知識を元にした話術と容姿の良さは他人からの評価を高くする

 テッドが行った犯罪はレイプ・殺害・死姦と恐ろしいものばかりだったようですが、この映画はあえて犯罪行為といった危険な一面を売りにして描いておらず、後半の法廷での様子は見所となっています。
「人は見かけによらない」ことと、「人は見た目で判断される」二つの相反する印象を併せ持った実在の犯罪者を演じるザック・エフロンは個人的に見応えがあって良かったです。

画像5

テッド・バンディ(ザック・エフロン)
 21世紀初頭を代表するアメリカン好青年(だと私は思っている)ザック・エフロンのどちらかというと善なるイメージが生かされてると思う。この映画で描かれなかったテッド・バンディの生い立ちや、多くの犠牲者や交際相手の特徴などが気になり始めた時、彼の死してなお底知れない深い沼のような内面に嵌ってしまうかもしれない。興味が尽きない人物ではある。

画像6

エリザベス・クロプファー(リリー・コリンズ)
  身長173センチのザックの懐中にスッポリと収まる華奢さに、小さな愛らしい顔の真っ直ぐな太眉が純真に見えるベビーフェイスが恋に煩う様子に同情しちゃう。自分にとって幸せになれそうなスパダリな人が交際中も隠れて殺ってたシリアルキラーだなんて信じられないよ〜ってなる、私も。エリザベスがなぜ殺されなかったのかは、もちろん私も気になっています。

 監督:ジョー・バリンジャー
 エドワード・コハート判事/ジョン・マルコビッチ

出典:IMBD

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?