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『ランナウェイズ』

 この映画は、ザ・ランナウェイズのボーカリストであるシェリー・カーリーの自伝「ネオン・エンジェル」を元に映画化しているらしく、おそらくほぼ実話で制作には同バンドのギタリストであるジョーン・ジェットが製作に関わっています。

 クリステン・スチュワートとダコタ・ファニングの出演作品で好きな映画を聞かれたら、「ランナウェイズ」(2010米公開・2011日本公開)は外せないタイプの私です。

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クリステン・スチュワートが演じるジョーン・ジェットがロックだ

 50年代に黒人音楽のリズムアンドブルースと白人音楽のカントリーアンドウエスタンが融合して出来たというロックンロールですが、1970年代の性別的不平等がある男性社会だったロックンロール業界に、平均年齢16歳の思春期の女の子達のロックバンド「ザ・ランナウェイズ」がリビドー剥き出しで牙をむき唸り喘ぎ爪痕を刻んだ4年間の軌跡をこの映画は再現しています。

 クリステン演じるジョーン・ジェットはザ・ランナウェイズの最初のメンバーともいうべき重要な存在です。ザ・ランナウェイズの活動期間はたった4年の短い期間でしたが、決して才能がなかったわけではなく、その証拠にジェーンはザ・ランナウェイズ解散後新たにバンドを結成し、「I Love Rock ‘n’ Roll」「Bad Reputation」などのヒット曲をリリースし女性のロックンローラーとして成功を収めています。

 ロックンロールを諦めず逆境に立ち向かい、不屈の精神と力強い歌声で演奏する姿は最高にかっこよくて、アメリカ及びヨーロッパにおいて性別的に不遇な扱いもあったらしいものの、1977年のジャパンツアーの際には熱狂的な女性ファンが詰め掛けたという事実もあり、ジョーン達がロックンロール好きな女子を鼓舞しガールズロックバンドとして同性からリスペクトされる存在であったことが伺えます。

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解散のきっかけになった、篠山紀信が撮影した「激写ランナウェイズ」

 1975年頃に篠山紀信が雑誌GOROの山口百恵特集で使用した「激写」が流行語になり、激写がシリーズ化しており、「激写ランナウェイズ」はその、激写シリーズの一つでした。
  雑誌GOROは男性向け雑誌で18歳未満には販売が禁止されていたこともあり、「激写ランナウェイズ」がきっかけで硬派なガールズロックバンド路線から外れ、男性目線を意識した色物バンドの見方が出来てしまったことは否めません。

 私個人的に篠山紀信のイメージは、モデルの事務所から使用を止められたヌード写真をモデルが落ち目になった時に秘蔵ヌードとして出したりするいやらしさがある写真家で、宗教や道徳的に制約がある世の中で時代が求めている欲望などを表現する芸術的なヌードというより、男性目線から商業的に売れる企画物を撮ることに長けている写真家だと感じています。

 バンドのプロデューサー、キム・フォーリーがバンドのイメージを徹底的に作り込もうとしたのに対して、反発が生まれたのもバンドの寿命を縮めたと思われます。

 私は「Cherry Bomb」の下着姿のパフォーマンスでは、「媚び」や「やらせ」を感じない大胆不敵さを感じましたが、いかがでしょうか。

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「ランナウェイズ」は解散後に成功を納めたジョーンのサクセスストーリーではなく、男性社会の業界に揉まれて自分を見失い、アルコールとドラッグに溺れバンドを脱退したボーカルのシェリーに焦点を当てることで、ロックスターとして成功することが如何に困難だったかを描いた挫折(解散)の物語

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 ロックンロールの疾走感が気持ちよく、クリステン・スチュワートとダコタ・ファニングの歌声も聴けて、ビジュアル的にもおしゃれでかっこいいのでおすすめの映画です。

 出典:IMBD

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