![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/110952141/rectangle_large_type_2_889cfaae81b099085524924b274f7e7b.jpeg?width=800)
「伝える」と「表現」の違いについて考えた『君たちはどう生きるか』【ネタバレなし】
7月15日(土)に、スタジオジブリ新作の『君たちはどう生きるか』を見てきました。
すでに公開初日から賛否両論のある本作。
僕の率直な感想としては、最近見た映画の中で一番イマイチでした(笑)
僕自身は、映画はたまにしか見ないですし、作品について深い考察をする方でもありません。
コアなジブリファンの方からすると、「ジブリ作品のオマージュやスタジオジブリの人間関係などが読み取れて面白い!」という場面もあったようなのですが、自分にはそのような予備知識もなく⋯⋯
一緒に見に行った彼女さんとも感想を話し合ったのですが、話し合うほどよくわからない部分が増えていく不思議な作品でした。
そんなライト層の自分からするとあまり楽しめない映画だったのですが、わからないなりにいろいろと考えることがありました。
特に、「伝える」と「表現」の違いについて。
本作の感想なども含めて、書いていきたいと思います。
『君たちはどう生きるか』の感想
まず、本作の良かった点・イマイチだった点をネタバレ無しで紹介します。
良かった点
アニメーションのキレイさ
キャラクターの躍動感
アニメーションのキレイさについては圧巻でした!
従来のジブリ作品の温かみがあるタッチに加え、要所では体がビクッとなってしまうような迫力やスピード感が表現されていました。
キャラクターの動きなども緻密に描かれていて、映像の美しさを見る目的で鑑賞をするのもありだなと思えるような出来でした。
イマイチだった点
ストーリーのテーマがわからない
キャラクターに感情移入できない
不可解な設定が多い
かなり大部分のことを書いてしまっていますが⋯⋯
本当によくわからないことが多い作品なんですよね;
支離滅裂な作品というわけではなく、
主人公の目的
キャラクターの各場面の心情
それぞれのキャラクターの役割
といったことはちゃんとわかるんです。
ですが、キャラクターの設定や置かれている状況なども特段珍しいものではなく、「なぜあの行動をしたの?」「あの設定にはなんの意味があったの?」といった疑問が随所にあって、腑に落ちる部分がないままエンドロールになってしまいました(笑)
もちろん、本作にはさまざまなオマージュや説明されていない設定・世界観などがあるでしょう。
ですが、そういった奥深いところって、そもそも「良い作品だった!」と思ってもらえるからこそ際立つ部分だと思うんですよね。
ゲームの話になってしまいますが、近年大ヒットした『エルデンリング』や『ニーア オートマタ』という作品も、細かな設定や独特な世界観がある作品でした。
ですが、そういった部分を知らなくても「この作品はスゴイ!面白い!」「このキャラクターが好き!」と思えたからこそ、ライト層からコアなファンまで楽しむことができる作品になったと思っています。
「『君たちはどう生きるか』は大衆受けを目指していない」と言われてしまえばそれまでですが⋯⋯
「伝える」視点から考える
『君たちはどう生きるか』を「伝える」という視点で考えると、「よくわからなくてつまらない作品」という評価になってしまうと思います。
先述したとおり、最低限のストーリーラインやキャラクターの設定などはわかるものの「この作品の見どころや伝えたかったもの」はよくわからなかったですし、「この映画を見て良かった!」という余韻も残らなかったからです。
もちろん僕の理解力や感受性が足りていない可能性もありますが、同じような感想を上げている人も多くいるので、そこまで的はずれな意見ではないかと⋯⋯
本作の不思議な世界観なども、もっと伝えたいテーマやキャラの魅力がわかりやすければ、印象も変わっていたと思います。
「表現」視点から考える
一方、「本作は宮﨑駿氏が、観客からの評価などは度外視して表現したいものを描いた作品」として考えると、「まぁこういう作品もあるか⋯⋯」という印象になります。
わかる人にだけわかればいい、もしくは誰にもわかってもらえなくてもそれでいいというスタンスですね。
宮﨑駿氏が、晩年にそういった作品を残したくなったということもイメージはできます。
ですが⋯⋯
やっぱり僕をはじめ多くの人は、娯楽として映画館に行くわけでして。
映画館で上映をして、
スタジオジブリの新作で、
宮﨑駿氏の久しぶりの作品で、
情報はまったく開示されないけど、力作の気配はビシビシと感じる⋯
そうなったら良い映画体験を期待してしまうじゃないですか⋯!
もちろん、どのような場で表現をするかは自由ではありますが、「スタジオジブリの映画」という肩書があると、ある程度は「大衆が楽しめる」ことも期待させてしまうのではないかなと思います。
貴重な映画体験ではあった
あまりまとまりはないですが、『君たちはどう生きるか』の感想などは以上となります。
個人的には他の人に鑑賞を勧められる作品ではないですが、「いかに面白い作品にするか」「評判や興行収入を上げるか」と言ったことが当たり前になっている中で、貴重な映画体験だったなとは思っています。
数々の大ヒットや名作を生み出した宮﨑駿氏が、なぜ晩年に本作を作ったのか。
そういったことを考えたりしてみると、本当の意味で本作の楽しさや魅力がわかるのかもしれません。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?