見出し画像

「魔法の庭」 イタロ・カルヴィーノ

和田忠彦 訳  ちくま文庫  筑摩書房

現在(2023)岩波文庫で出ていて、ちくま文庫版「魔法の庭」に4つ?の短編を追加した版となっている。

「動物たちの森」

「魔法の庭」の中の「動物たちの森」が一番のお気に入り。バルチザンものなのに関わらず?民話的な軽さになっていく。上へ、上へ。後にイタリア民話集編集するカルヴィーノの萌芽なのかも。他の短編を象徴するのは海。海の生き物を微細に観察するのは「パロマー」まで綿々と引き継がれていく。
(2008 04/04) 

「猫と警官」


「魔法の庭」はカルヴィーノ初期の短編集。訳者の和田氏によるとカルヴィーノの到達点を先取りしているらしい。
そんな短編集の中から、「猫と警官」を読んだ。 第2次世界大戦中の警察による家宅捜索が一青年警官の目から描かれている。ってカルヴィーノのことだから深刻にはならない(裏に何を読みとるのかはまた別問題)。

警官は猫を追って家宅捜索対象の住居を越えて、同じ集合住宅の様々な場所へ。古い?頭の読者を置いてけぼりにして拡大を続ける。なんだなんだと読んでいくと、警官を狙っているとの少女の声が。まさか撃たれるのでは?と若干この警官に好意を持ち始めた読者は思い不安を覚える。が、そんな不安をよそに少女はただそういう筋の小説を読んでいるのでした。というところは、後年の「柔らかい月」にある鳥の話に唐突に漫画のコマ割が出てくるのに引き継がれているのかなあ、と、思った。 とにかく、拡大とそれに付随する不安というのはカルヴィーノ読む一つのキーワードになるのではないか?

最近、哲学やら社会学やらの本を割と読んでいたので、小説に戻ってくるとまた格別だわ(笑)。もっとじっくりゆっくり読もうっと。 
(2010 01/05)

作者・著者ページ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?