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「ジャーナリズム作品集」 ガブリエル・ガルシア=マルケス

鼓直・柳沼孝一郎 訳  ラテンアメリカ文学選集  現代企画社

モハーナ地方


田村さと子の「百年の孤独を歩く」第5章はモハーナ地方。マルケス一家が唯一長く11年も住んだことのあるスクレを始めとした地方。雨季が長く沼地が多い地帯で、「百年の孤独」の中の4年も続く雨とかはここから来ているのだろう。ここでもマルケスに「女」を教えたという娼婦など娼館巡り。 
その先のマルケシータという太母ともいうべき伝説の女性の島へ向かう。その伝説では端まで歩くと9日もかかるという農園を持ち、好きなだけ生きられ、望みとあれば相手の腹に猿を孕ませることもできるという。水の上を歩き、同時に二箇所の場所にいることができる…200年ののち亡くなる前に、段階をわけて超能力を回りの人々に分け与えたという。この話は「ジャーナリズム作品集」に出ている…
というわけで、マルケス作品アマゾンで買い集めた中で読んでなかった「ジャーナリズム作品集」の冒頭のこの話を読んでみた。例によって?直裁的な、信用していいのかよくないのかよくわからない煙にまいた文体…
(2018 02/22)

郵便物探査班

マルケスの「ジャーナリズム作品集」は、田村氏も取り上げてたモハーナ地方の葬列(泣き女、遺体そっちのけの宴、埋葬地に着く直前には今までののんびりモードから一転して棺の中の遺体がガタゴトいうまで走る(の方が死者も喜んでいるという))、「生きて、語り伝える」でも書いていた宛先不明或いは受取拒否された郵便物探査班の話など。郵便物の話は「生きて、語り伝える」ではあまりよく書けなかったとあったように記憶するが…作家マルケスから入ったこちらとしては、カフカとかカダレとかそっち期待してしまうのだけど、まだ?一応、新聞記事ですからねぇ。
(2018 02/26)

マルケスの原爆記事


「ジャーナリズム作品集」昨日は3章くらい読んだ。その中には、広島に住み原爆を体験したスペイン神司祭の記事もあった。この記事は1950年代なのでまだ生々しいものだろう。原爆投下の飛行機が去ったのち、空襲警報が解除され日常が一瞬戻ってから、爆発したというのは知らなかった。 
(2018 03/06)

「ジャーナリズム作品集」コロンビア部終了


アンティオキア郊外の山崩れ災害、バランキリャの外港建設問題に挟まれた、鉄鋼都市のルポから。

 同じ速さと効率で、新興都市ベレンシトの最後の仕上げが進められていて、その街には、人間の営みの偉大さと同時に、何やら黒魔術的なものが感じられる。
(p166)

 毎日五百トンの鉄を生産する都市の、これが自然のリズムなのだ。
(p169~170)


ここにちょっと乾いた皮肉が混じったマルケスの文章の味が出ていると思う。それは先の山崩れ記事やそれから後の小説作品でも変わらないものだと思うのだが。 
(2018 03/25)

続いてローマから


マルケスの「ジャーナリズム作品集」は、第2部ヨーロッパ記者時代のローマとジュネーブ編。ローマの最初はソフィア・ローレンの記事なのだが、それ自体より「自転車泥棒」のようなネオ・リアリズム作品の(素人)俳優の集め方が興味深い。続けて法王ものから少し。法王が静養に向かった別荘の近くの湖に首無し死体が上がった事件があり、「ひょっとしたら法王がその首を見る最初の人物かもしれない」というくだりは巧み。 
(2018 03/26)

法王、四巨頭会談、ローマの麻薬スキャンダル
という今読んでいる「ジャーナリズム作品集」の話題。法王とイタリア政治(一応?別国だから)の微妙な関係、会談に集まるジャーナリスト村?(南米は自身のコロンビア以外いない?)、スキャンダルは錯綜してなんだかわからなくなってきたけど、被害者の家族としては、真相が不明なままの方がよかった? 

裏返し


「ジャーナリズム作品集」(マルケス)読み終えた。犠牲者一家だったモンテーシ家がある程度崩れるのは見当ついたけど、一家の特に母親がジャーナリストに偽証記事を書いてくれ、とまで言ってたというところまでは思いつかなかった。父親だけはほんとに何も知らなかった…のかな。(「予告された殺人の記録」に語り口は似てるのかな) 
(2018 03/28)

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