見出し画像

話題の「イノベーション・スキルセット」を読んでみた

Takramの田川さんの著書、「イノベーション・スキルセット」を読んだので簡単にその感想と個人的に面白かった点をまとめます。個人的な備忘録です。

BTC型人材へのなり方、活かし方が書いてある

BTC人材とはB:ビジネス、T:テクノロジー、C:クリエイティビティーの略で、誤解を恐れずに言えばクリエイティビティはデザインなので、要するに、ビジネスとテクノロジー(エンジニア)とデザインの知識とスキルがあればイノベーションが生み出せる、じゃあそのために何すればよいの?Takramではこんな事・プロジェクトをしているよという内容でした。特に日本においてそういった人材が不足しているというのは、非常に納得できるところでした。

また、デザインについてもしっかり深堀りされており、クラシカルデザイン、ビジネスデザイン、デザインエンジニアリングという形で整理されています。クラシカルデザインとは日本でデザインというと皆が思い浮かべるようなきれいなもののデザインです。ビジネスデザインはビジネスとクリエイティブの間をつなぐものです。(IDEOでもビジネスデザイナーと呼ばれる人がいます。)最後のデザインエンジニアリングはテクノロジーとクリエイティブの架け橋となるデザインです。最近良く話題になるUIデザインは分類するならばここに入ります。

デザイン思考の理解もさすがでした。デザイン思考はきれいなプロダクトができるわけではなく、イノベーティブな課題解決における思考法だと思っているのですが、それが非常にわかりやすく説明されています。

話は少しそれますが、本の中でプロトタイプの分類がすごくためになったので少し記載しておきます。この本全体に言えることなのですが、こうやって定義されることによってコミュニケーションコストを下げるというのがすごく重要だと最近感じます。

スケッチ ー アイディアを最小限の時間で目に見える化
ダーティプロトタイプ ー 有り合わせの素材で作る
テクニカルプロトタイプ ー テクノロジーの機能を確認する
コールドモックアップ ー プロダクトの外観やスタイルを検証
ワーキングプロトタイプ ー 粗製品と同じ機能とルックスを実現
ビジョンムービー ー 現時点で実現不能なビジョンを示す

BTC人材になるためのトレーニング

BTC人材になるためのトレーニング方法がいくつか書いてあったのですが、何個か面白かったのを抜粋します。

付箋トレーニング デザイン雑誌等を見て3色の付箋を使い分け、いい、わるい、わからないをつけていきます。わからないが多いのは判断ができていない=自分の中に軸がないということなので、良くない、という可視化ができますし、自分がいいと思ったものを改めて見ると自分の好きなものもわかる。他の人からフィードバックももらえる。

モノとモノサシ あるモノに対してモノサシを当ててその範囲で思考を振ることでアイディアの発散、最適化を行う。例えばモノ=ペットボトルとした時にモノサシ=サイズとして実在しない大きさのペットボトルの用途やニーズを考える

デザインフィクション 人間の生活様式や価値観について、新しい仮設をおいて周辺のプロダクトやコンテクストを思考する。飛躍あるアイディアを出すために有効。例えば、夜間の間証明が禁止になったらどんなサービスや世界になるか…等 

その他面白かった内容(自己解釈を含む)

「未来は変化の積分値」:変化のない組織には未来はないし、組織の硬直化は静かに確かに進捗するので、主体性を持って変化を起こさないとただ死へと向かうのみ。これはエントロピー増大の法則(熱力学第二法則)と同じですよね。

SaaS Plus a Box:第6次産業=コネクテッドの時代ですね。ちょうど今日PelotonのIPOのニュースが出ていましたが、SaaS・ソフトだけの時代から一気にソフトとハードがインターネットでより複雑に絡み合う時代が来ますね。

Takramのプロジェクトアサインの方法:Takramではプロジェクトアサインの際に50%自分のコンフォートゾーンになるようにしていて、そうすることで、成長を促し、変化を生んでいるとのこと。これは他の会社やプロジェクトでもすぐに活かせるのではないかと思いました。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?