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医師と結婚して離婚した話〜ダンディな教授と、命懸けの引っ越し


結局、マナー本を買ったものの、実体験に乏しいため、なかなか頭に入らなかった。


そのような状態でとうとう迎えた夕食会。


もう、開き直るしかない。
大丈夫、大丈夫、どうにかなる。








緊張で喋れない元夫

着慣れない色付きのスーツとパンプスに身を包み、大学近くの住宅街をしばらく歩いた。



「◯◯」(教授の苗字)という表札。
ベンツが停まっていた。



…さすがや。


ご自宅は昭和50〜60年代くらいに建てられた良いお屋敷という雰囲気。


出迎えて下さった教授夫人は、あまりお化粧をされておらず、ナチュラルでシンプルな印象を受けた。



話し方も、どこか独特で山手言葉とまではいかないが「あなた」→「あーた」、「◯◯でしょ?」→「◯◯でござーますでしょ?」と、流れるような言葉遣いが際立っていた。



そして、当の教授は当時おそらく60代くらいで、フットボール選手か何かなさっていましたか?と思うほど体格がガッチリされていた。身長も高い。



ダンディな映画俳優のよう。



お二方とも気さくな雰囲気で、出迎えてくださった。



奥様の手料理も、コース料理のようでサラダ、スープ、メインのお料理…と豪華だった。



とにかく、背筋を伸ばし、脇を締め、咀嚼音に気をつけ、当たり障りのない会話、笑顔と最低限の常識的な言葉遣いを心がけた。


せっかくのお料理だったけど…
食べた気がしなかった💦💦



ふと、隣を見ると私以上に緊張している元夫。


教授の問いかけに

「はぁ…」
「そうですね…」
「はい…」
「ぐふふ…」



としか答えていない。



おい、しっかりしろ💦



何だか恥ずかしいやら、申し訳ないやら…
教授の顔をまともに見られなかった。




引っ越し

結婚式を半年後に控えた頃、元夫の引っ越しに伴い私も実家から引っ越すことになった。



これまで一緒に暮らした両親、弟、祖父、犬ともお別れである。
母方の祖母と叔母もお見送りに来てくれた。



父だけは、朝からいつものように仕事に行き、特別何の言葉も交わさなかった。 

今、思えば敢えてそうしたのかも知れない。




胸がギュッとなる。



なんだかんだ言って、護られた環境だった。



これから、この人と。
この不思議で奇妙キテレツな人とやっていけるのだろうか…

突然のマリッジブルー。





絶対、泣かないぞ!
と、決めていた。
でも泣くかも…🥺





結果、誰も泣かなかった(笑)





スポーツカーで40km/h

実家を出発し、高速を走って約2時間。
普通だったら2時間。



なのに
3〜4時間かかった💦



なぜかと言うと、


平均時速55キロ走行だったから😱😱




考えてみると、まともに元夫の運転する車に乗ったのは、その時が初めて。




高速道路で遅い時は40Km/h
速くても70km/h



捕まるレベル🚨



当然、渋滞を引き起こすし、なにより危険。
いつ追突されてもおかしくない状況。
追い越す車たちにジロリと見られる。




死ぬかと思った。





「ここ高速よ?最低でも80は出したら?」


と言うと


ガソリン食うから。別に急いでないし。」



は?????



もう…理解不能。
先が思いやられるどころの話ではなく。



泣きたくなった。今すぐ実家に帰りたかった。




ありえない時間をかけて、新たな住処に到着。
翌日には籍を入れ、カオスな新生活がスタートした。




つづく…




教訓
     【運転に性格が出る…は、その通り】

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