ドラム式洗濯機に憧れて
掛け布団、布団カバー、枕、枕カバー、45リットルのゴミ袋に無造作に突っ込む。パンパンになったゴミ袋を抱えながら、コインランドリーに向かった。両手は塞がるのだが、布団が洗えるのならそれくらいどうってことはない。
「自宅の洗濯機で洗えるのかな……」と、枕だけ洗ったときがあった。
ガタン……!!ガタン……!!ガタン……!!
洗面所からけたたましい音が聞こえたのだが、動いていたので気にしていなかった。
ピー、ピー、ピー。洗濯が終わった音が流れてきたので、中身を見ると、枕が破れており、中に入っていた羽毛が洗濯槽に散らばっていた。
白い世界が広がっていた。「ああ、天国みたいやん……」とかボケてみたが、後片付けは笑えない地獄であった。
ポケットティッシュを洗濯して絡まるものなんて可愛いものだ。
そんな出来事があり、愛用のニトリの枕は天に帰り、その日に急いで自宅近くのニトリへ自転車を走らせるのであった。
枕は自宅の洗濯機では洗ってはいけないことを思い知ったのだった。
ただ、コインランドリーに足を運ぶたび「自宅にドラム式洗濯機があったらええのにな〜」と、自宅ですべて完結するのならば、お金をかけて布団だって、枕だって洗える洗濯機のほうがええんやん……!
思い立ったら即行動。持ち前のフットワークの軽さが発動する。自宅の近くの家電量販店、キタ、ミナミにある大型家電量販店に足を運ぶ。元々、カメラやパソコンなどのガジェット類が好きだったこともあり、今までのウィンドウショッピングをしていたフロアが一つ増えるだけ。
ネットで調べたり、実際に店舗に足を運んだり、自分でもできる限りしたつもりだった。
パナソニック、日立、シャープ、AQUA……。どのメーカーのドラム式洗濯機もスタイリッシュだ。しかし、縦型洗濯機に比べてタテもヨコも大きい……!最低でもタテヨコ60cm以上あるのだった。
「多分、いけるはず……」一抹の不安がよぎる。念のためにメジャーで防水パンを測っていた。60〜64cmくらいならギリギリ入るやろう。入りませんでした。で返品なんてしたくないので慎重にならざる得ない。
そんなとき、ビックカメラでは無料でお見積もりをしてくれるサービスがあり、使ってみることにした。最低でも16万〜20万円、パソコンだって、フルサイズカメラだって買えるお値段だ。
6月某日、面倒見の良さそうなお兄さんが、インターホンの前に立っていた。前日に掃除をして万全の体制で臨む。
慣れた手つきで玄関の幅、洗面所の幅を測り、申し訳なさそうな顔をこちらに向ける。
「洗面所ドアと廊下のドアを外してギリギリ入るかですね……」
希望するドラム式洗濯機でも厳しいとのことだった。ドアを外すのは構わないのだが、洗面所側のドアがどうやら外してまた取り付けることが出来ない構造になっているとのこと。
嵩上げや様々な手段を用いて、なんとかして入れられないかと一緒に考えていただいたのだが、確実に入ると断言できないということだった。
ドアを外して洗濯機を入れようにも、幅が足りず運搬中に洗面台に傷がつく恐れがあって、どうにも出来ない構造らしい。
憧れであったドラム式洗濯機は自宅に入らないという事実だけが残った。
初めての一人暮らしで買ったヤマダ電機のプライベートブランドの縦型洗濯機も6年の月日が経つ。今でも現役で使える状態なのだが、もうそろそろガタが来そうである。
先日のこと。掛け布団、布団カバー、枕、枕カバー、ゴミ袋に突っ込んで、両手で抱えながらコインランドリーに向かった。
「AQUAやん……。」いつもお世話になっているコインランドリーのメーカーが目に入った。これからもしばらくはお世話になりそうである。
タテヨコ60cm以下で乾燥機付きの小型のドラム式洗濯機。
最新のテクノロジーを駆使してなんとか出来ませんか?
一人暮らし向けのものが発売されるのを待ち侘びている。
せっかちなので、我慢できず縦型洗濯機を購入するかもしれないけど……。
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