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12/18開催オンラインイベント 「学校って、何のために行くんだろう?」に参加しました #イベレポ

新型コロナウイルス流行による非常事態宣言発令で全国的に休校を余儀なくされた今年の春。
子どもたちが当然のように毎日同じ時間に登校し、同じ顔触れで学び、遊び、過ごしてきた学校が閉まりました。
突然の休校の知らせから数日後、学校から送られてきた大量のプリントや課題を見て絶句しつつも、次の登校日を待ちわびて真面目に机に向かい、黙々とこなしていく健気な子どもの姿がありました。

日が経ち、新しい生活スタイルにも慣れてきた頃、私も

家でも勉強できる環境が揃った今、なぜ学校に行くんだろう?何のために行くんだろう?

と考えたことがあります。

そして、休校明けのある日、子どもからも同じことを質問されました。ぎっしりと教材の入ったカバンを背負い、登下校に疲れ果てた際に出た言葉。私には子供が納得できる答えを持ち合わせていませんでした。

家庭学習の可能性を知った今、それでも学校に行く理由とは何だろうかという思いにもう一度向き合うために、このオンラインイベントに参加しようと決めました。

学校って何のために行くんだろう?~オンライン学習の可能性と不登校問題について考える”ナイトトーク”

【ゲスト】不登校の子専門やりたいことをさがして学ぶネット家庭教師 

ワオフル株式会社代表 辻田寛明さん https://wowful.jp/

【モデレーター】株式会社マモル代表 くまゆうこさん
ITでいじめハラスメントを早期発見、ネットいじめ専門家
https://mamor.jp/ 

オンラインで渋谷と福岡がつながり、学校って何のために行くんだろう?と語り合います。参加者ももちろん全国から集まり、属性も保護者・教育関係・学生とバラバラです。

不登校の現状

2019年 30日以上の長期欠席者数は18.2万人
年々増加の一途をたどり、10年前よりもかなり増えています。(辻田さん)

不登校の理由も変化しつつあり、一つに絞れないことがあります。

高学年の場合、大きな理由の一つにいじめがあります。しかし、近年は小学校低学年の不登校者数増加が目立ち、その理由にはいくつかの要因が複合する場合が多いといいます。

不登校の理由(低学年の例)
・家庭や塾の早期教育→学校の授業が簡単すぎてつまらない      
・発達障害、集団行動が苦手、こだわりが強く学校生活に合わない
・幼稚園・保育園、家庭の怒らない教育方針→小学校の先生が怖い など

学校以外に学ぶ方法

では学校へ行かないと選択した場合、学ぶ場はどこにあるのでしょうか。

・フリースクール(少人数、1教室20~30人などさまざま)
・オンライン学習
・ホームスクーリング

フリースクールなどは全国にあるが、種類や数は地域差があるそうです。特色としては、学年を超えた交流や新しい取り組みを行いやすい、少人数で居場所づくりをメインにしているところ、またオルタナティブスクールと呼ばれる質の高い教育を提供する場所では学校の代替として教育を届けられるといったことがあります。

また文部科学省は、不登校生徒に対し、IT等を活用自宅学習で出席扱いにするという方針を定めました。「すらら」など5教科学習支援ツール受講で学校の出席扱いになる場合もあり、単位があると今後の進学希望に光が当たります。学校や先生と出席扱いの許可について話し合いを持つことは必要だと言えます。

オンライン学習の可能性

新型コロナ流行により、オンラインの急速な拡大の動きが見られ、今までは限られた人のものであったオンラインミーティングやイベント、学習などが広く身近に引き寄せられました。

辻田さんもコロナを機に福岡市内で不登校の子ども専門オンライン家庭教師の会社を設立されました。コロナをきっかけにプラン作りを開始し、3か月後の2020年9月に立ち上げた会社では、学校のカリキュラム、5教科テストのための勉強ではなく、子どもと話しながら本人のやりたいことを引き出し、とことん学ぶオンラインでの探求授業を行っています。 

不登校からもう一度社会とかかわりを持つまで

不登校には6~7の段階があり、学校復学やフリースクール通学に至るのは最後の7段階。家にこもりたい、あるいは、出たくても出られない時期が長く続き、今まで空白期間であった4~5の段階でも、オンラインの登場により家から出ることなく人や社会とかかわりを持ち、興味を広げることが出来るのです。

スクリーンショット (1)

オンラインが急速に発展した結果、フリースクールや学校に加えて、家の中でも学べる機会が増えたと言えます。今後もますますオンライン学習の可能性に注目したいと思います。

トークナイトトピック

後半は辻田さんとくまさんを中心にトピックに沿ったトークの始まりです。参加者もコメントで参加し、意見が飛び交いました。

・学校って我慢しても行くもの?

大人は我慢することが多いから、学校は我慢を学ぶ場所、無理しても行かせた方がいいという意見や、欠席を許可したらそのまま行かなくなってしまうのでは?といった不安も耳にします。辻田さんは不安に対しての向き合い方、そして我慢についての持論を展開されました。

行きたくないは子どもからのシグナル
じっくり話しをしてみると、その子にとって一番必要な声掛けが見つかる
していい我慢とダメな我慢がある

いじめで心に傷を負いながらも、我慢して学校に通うというのはダメな我慢の例で、その場合は苦しめている環境から離れることが先決。

我慢・・・先が見えない、その場しのぎ
踏ん張る・・・目標、向かう先がある 一歩踏ん張って次に行く

例えば、部活でよい成績を出したいから早起きもがんばれる。志望校合格のためであれば先生の厳しい指導にも耐えられる。向かう先があるからこそ踏ん張りがきく。その場しのぎの我慢であればしない方が良いとお話されたのが印象的でした。理不尽な環境に身を置いて苦しむ我慢はしない方が良い。言葉の意味をはき違えることなく、自分で選び取った目標に向かい力を注ぐ。これは子どもに対してだけでなく、大人にとっても胸に刻みたい言葉になりました。

・みんなで勉強する意味って何?

学生時代、通ってはいるものの学校が辛かったという、くまゆうこさん。
小学校のうちは休み時間も10分しかない、のどが渇いても何も飲めない、学校に行くことに対して疑問しかないけれど、みんなが行っているから流されていたと話します。

現在の学校教育は、できることもみんなで一緒に進めていくスタイルが主流です。でも自分ひとりで分からないところを勉強した方が効率がいい、オンライン環境が整いどこでも勉強できると気づいてしまった今、みんなで集まる意味は?逆に個人の学びに変化した場合、ディスカッションや壁新聞など、みんなで作るものや、みんながいないとできない勉強はどうなるのか?
辻田さんに聞きました。

アメリカではICTの導入で個別最適化学習を取り入れる動きがあります。

ブレンディッドラーニング(ブレンド型学習)・・・オンライン・オフラインの良いところを混ぜて使う 
週3回の家庭学習 ICTの力で苦手分析、自分の苦手な分野に集中した個別最適化学習
残りの日は学校  グループワーク、みんなでやることに意味がある内容

アメリカ、ヨーロッパなど教育先進国は既に取り組んでいるところもあるブレンディッドラーニング。

もちろんこの方法にはデメリットもあり、ITリテラシーや知識を持ち、使いこなせるかといった点で先生の力量が試されることになります。持ち合わせていない場合、現場は混乱をきたすのが目に見えています。

日本の場合、公立校の取り決めは自治体で決定するため、まだ今の段階で導入は難しいと思われます。しかし

社会の変化に合わせ教育も変化していく
教育が変化しないと50年前と変わらぬ高度成長期型人間しか出来上がらない

5教科全体をまんべんなくとれる人材から、とがったものを一つ持つ人が活躍し尊重される時代に変化しつつある今、その人らしさを発揮できる社会の変化に合わせ、教育も変化していく必要性を感じました。

・クラス単位の活動ってなんで必要?

いじめが起こる原因に人間関係の固定化によるこじれやヒエラルキーの誕生、仲間意識といったことがあります。
大学のように、授業別など流動的で特定のクラスを作らない方がいいのでは?という意見も聞かれます。15~20人くらいの少人数学級、2~3人先生がついているオランダではいじめも起きにくいと言います。

クラスの必要性について考えてみました。

可能であれば、一定期間は集団で過ごし人とかかわる経験をした方が良いという辻田さん。

学校はひとが失敗しに行くところ
生きているうちは失敗の方がはるかに多い
失敗の捉え方 失敗の積み重ね→うまく行く

意見を強く言い過ぎて嫌な顔をされるといった経験を重ねるには、ある程度の集団でないとできない。そこでクラスが必要になるといいます。くまさんも、学校生活には運動会や学園祭などの行事があり、多くの人や意見をまとめようと思ってもなかなかまとまらない難しさを経験できると考えます。

また辻田さんの生徒さんの中には週末に向かうにつれ体調を崩していたのが、週末のオンライン授業を楽しみにして体調が良くなり、興味の範囲が広がり授業以外にも検索するようになったとのことで、やりたいことができ、一歩を踏み出した方もいらっしゃいます。エネルギーが溜まってきてはいるものの、行動に移すことが出来ない子に、学校やフリースクールでなくても外の世界とつながることができ、毎日の中で楽しさ、好きなことを見つけてほしいと話しています。

自分だけの物差しに気づいてほしい

失敗を学ぶことが出来るのは学校の良さであり、その反面、画一な教育、いわゆる普通と言われる物差しで物事を見てしまう。そこに当てはまらない、そこから遠く離れた物差しを持っている人にも、自分が素敵な物差しを持っていることに気づいてほしい

辻田さん、くまさんから今悩んでいる人へメッセージ

困っている時はやりたいことを見つけることもできない。でも抱え込まないで。ふさぎ込みたくなる時も分かってくれる人が必ずいるから誰かに頼っていいんだよ。
いろんな人に聞く、話す。近くにいる人でも専門家でも私たちでもいい。 聞いてみたら実はみんなも悩んでいたり、意外とよくあることかもしれない。早期解決できるかもしれません。

まとめ

学校って何のために行くんだろう?

簡単に答えの出るものではありません。なぜ学校に行くのか、なぜ行けなくなってしまうのか、学校以外に学ぶ選択肢はあるのか。このイベントに参加して、今まで知らずにいた不登校の現状、保護者が学校へ働きかける必要性、学びの種類、オンライン学習の可能性、学校の在り方など、考えるきっかけを得ることが出来た濃密な時間でした。学校は5教科を学ぶだけでなく人間関係を学び、失敗をする場所であるという辻田さん、くまさんの言葉が心に刺さっています。

学校に対する疑問や不登校の悩みを抱え込むのではなく、周りの人や専門家に話し、視野を広げることの大切さ。同じことで悩み、既に解決した人の経験やアドバイスを受け、悩みの早期解決につながることを願っています。




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