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1st (戯)曲アルバムについてメンバーで話してみた【後半】/「Terra Australis Incognitaが消えるまで」

現在発売中の「譜面絵画 1st (戯)曲アルバム『Terra Australis Incognita』」は、8編の戯曲からを収録しています。ここに会場限定(戯)曲が各会場ごとに追加されていき、上演順のバリエーションおよび表現できる範囲は拡張を続けます。

今回はアルバムに収録されている曲についてをメンバー同士で話してみました。『Terra Australis Incognita』を読まれた方も、まだ読まれていない方も、いろんなイメージをされながらこの記事をお読みただけると幸いです。

この記事は【後半】です。
▼前半はこちらから▼

▼戯曲アルバムとは?▼

▼『Terra Australis Incognita』とは?▼


今回の参加者(譜面絵画)

大川あやの
小見朋生
河﨑正太郎
三橋亮太
宮ヶ原萌


本編

三橋 では後半です。『ビオトープ』に行きましょう。お願いします。

ビオトープ


宮ヶ原 最近、本を読むようになったんですけど、この(戯)曲を読んだときに思い出した本がありまして、『きりこについて』という本なんですけど、それは猫がしゃべってるっていうか、猫が書いていたんだよっていう本なんですよね、話者が猫だったって話だったりして。で、『ビオトープ』も基本的に猫たちが会話をしているんですけど、猫たちの視点から見た世界で書かれてる本だなあって思って。私、猫の喋り方が頭で再生される時に全部一緒なんですよ。その喋り方で再生される感じがすっごい面白いなって、個人的に思ってます。
河﨑 実家で猫を飼ってるんで、やっぱ良いなと思いますね。すごいここって、他よりも生々しい命が書かれている印象があって。鳥が剥がされるとかであったりとか。普通におならの話であったり、すごい生々しい命というか、普段生きていく上であんまり目にしない、何かが死んだりとか、何かの汚いこと、または穢れであったりとか、そういうものが書かれている気がして、それをたぶん動物の目を通すことで、どこか語りやすくなったりとか、語られるっていうことなのかなって思ったりしましたね。
小見 動物のことから語られることで、人が見ないようにしていることだったりとか、整備されて普段見えないようなところを見ている視点が入ってきてるなっていう。ニュースとかだったら規制されて流れないだろうなっていう情報だったりとか、こういう綺麗な道だったらあり得ないだろうなっていう、そういう話が出てきて、これもまた新しい視点の話だなと、興味深いです。
三橋 じゃあのっち(=大川)
大川 なんかあの、カニ? カニが怖い。以上です。
三橋 お、気になるねその感じ。この記事を読んだ人は。
大川 これ読んだとき私、カニが怖いと思って、そもそもカニ、あんま好きじゃないからさ、よりカニへの怖さが増したなっていう。
三橋 カニ嫌いなんだね。ありがとうございます。続いて『Log』に行きたいと思います。
河﨑 いぇい。

Log


三橋 お願いします。5曲目です『Log』。
河﨑 じゃあ、私が。
三橋 はい、お願いします。
河﨑 『Log』は、一個前とかもう一個前の(戯)曲で視点が変わったり、歴史の話とかをした中で、普通に会話をするために一回戻ってくる場所で、そこからさらに歴史の話だったり、土地の話をして行ったりするから、感覚としては、一曲目二曲目のハイブリッドと三曲目四曲目のハイブリットみたいな感じかな。サビの後にアルバムをもう一段階深くするための曲みたいなニュアンスかもね。アルバム的にいうと。
宮ヶ原 いいね。
三橋 ありがとうございます。じゃあ続いてお願いします。
宮ヶ原 『Log』、化石になっていた恐竜が今も生きていたら、みたいな部分があって、確かに自分が化石になったら、とか考えたことなかったな、みたいなところが書かれているんですけど、最後の(戯)曲の「緑と青の全貌」で出てくる、山を巨人に見立てるところと繋がりも感じられるなって思っています。それこそ前半の(戯)曲の話の感想に出てきたパラレルワールド感もある。それは、今生きているフェーズがあって、それに時間の流れがあって、でも、それと違うフェーズで流れてる会話が同時に行われている感覚からだと思う。第一回目と第二回目の段階って感じがしてる。こっちの世界は人間が今生きている世界で、こっちの世界は恐竜が絶滅しなかった世界。ただそれだけで、時間はおんなじだなって感じがすごい面白いなって思っています。
小見 読んだときの感想としては、自分はいつ死ぬんだろう、どうやって死ぬんだろう。自分ら人間はどうやって終わるんだろうなーみたいなのを考えました。戯曲の書かれ方的にはこういう遊びするよな〜って思ったというか、すごい、力抜いて観れるだろうし、読めるなって思いました。
三橋 ありがとうございました。
大川 私はですね、『Log』って読み応えありそうだなって思って。化石の話とか、コロンブス。コロンブスの会話のところがめっちゃ好きです。そう可愛いよね。こんな読み方してて大丈夫なのかってちょっと思うんですけど。みなさんが他のこと言ってくれたんで、私はここが好きを言って終わりにしようと思います。
三橋 ありがとうございます。それでは、次は銀貨(裏)ですね。

銀貨(裏)


三橋 『銀貨(裏)』。それではいかがでしょうか。
宮ヶ原 『銀貨(裏)』はとっても好きなんですけど、これ、現地で出会った子との会話なんですね。ここで、あ、言葉結構通じてなかったのか、みたいな。通訳さんと現地の子がいる感じでやっと気づいたなって思いましたね。通訳を演劇でやるとこうなるんだみたいな。ところが面白いところだと思っています。内容では、「山の儀式」っていう、とてもインパクトのあるワードが出てくるんです。私はそれで「ミッドサマー」っていう映画を思い浮かべました。ホラー映画なんですけど、それをどこかめちゃくちゃ強く思い浮かべちゃいます。
三橋 ありがとうございます。
小見 全体的な印象としては、この村というか自治体みたいなのの闇だったりとか、観光産業で自分の出身した土地が変わっていくとかが、自分には近い感じだなって思ってて、開発によって失われていくみたいなところが。陸前高田市で公演した時のリサーチをしたこととかも思い出したり、あとはたまに帰省したときに自分の知ってた街とは変わってるなってことを思ったときの、ちょっと空虚な感じを思い出したりもしました。
河﨑 生贄みたいなものってやっぱり不穏だなって思って、映画の「IT」とか思い出したかも。長い時間の中での生贄であったりとか何か犠牲となったものの時間軸であったりとかね。それでもこの『銀貨(裏)』ってアルバムの中でも真っ当に会話劇の印象があって、そういう意味では特殊な位置付けだなと思いますね。それこそ陸前高田のことも思い出しますよね。土地が変わっていくであったりとか、よそものであったりとか。なんかこういうの海外ってそういうことあるのかな。すごい日本的なものだなっても思うけど、どうなんでしょうかね、よそものとかって海外ではどういう感じなのかなって思うな。
大川 私は2点あって、旅行者に予算を尋ねるところで、自分がいつも旅行している時の、今回予算いくらだっけって考えてるなってことを思い出して、急に身近に感じたっていうのがあって。あとはおばあちゃんが神主っていうか、おばあちゃんの家が神社の家系だから、儀式とか言われるとドキドキしちゃうんですけど、私はそれをすごい強く感じて、結構平常心で見てられないというか、読んでられないなって思って、とてもずっしりした一(戯)曲かなと思います。
三橋 ありがとうございます。次の曲行きましょうか、『ツーリズムガイド』ですね。

ツーリズムガイド


河﨑 三橋だな〜と思った。建築の話と電車の話だから。あと、レンジャーさんの話を聞くっていうところが「初鳴日」でBさんが旅行してきたっていう話を聞くのとは少し違うけど近いなって思って。情報量の構造として、聞く・話すの関係性はこれまで出てこなかった関係性だなと思って、読んでましたね。それはリアクションの端々に電車の面白みとか建築の話とかで、ところどころ三橋っぽいなと思いながらも、旅に関する話であったりとか、土地の話を聞くときのどうやってリアクションしたらいいのかみたいな揺らぎみたいなのがそうだね。初めて聞く話に対してどこが地雷か分かんなくて、ちょっと気を使いながら「あぁ」って返事するとか、すごいわかるなって思いますね。
三橋 ありがとうございます。
小見 ここに出てくる人って、よそものか仲を取り持つ人しか出てこなくって。土地の話はしてるけど、整理された歴史の話をしている感じがする。ちょっと自分の土地とは距離を置いている感じかなって。あとは軽やかな会話なのかなって思った。それは深い内情の人がいないからその分、言葉に気をつけなくてもいい、みたいなところで、結構軽やかな感じなのかなっていう印象ですね。
宮ヶ原 この話は、電車に乗ってるところから、色々な回想シーンが入ったりとか、全く知らない人と知らない人の会話が入ったりして、同じ時間が一直線な感じがして観やすいなっていう印象がありますね。あとは想像しやすいですね、場所が明確だから。場所はバーンって浮かんでて、あとは景色とか匂いとかの、話の中で出てきたワードが自分なりに引っかかるような感じで読めるなって思います。
大川 私も想像しやすくて良いなって思いました。あと、旅だな〜って感じがしました。旅行行きたくなるなって思った。
河﨑 今ざっくり読み返してて思ったんだけど、銀河鉄道ぽいなーって。
大川 電車感はめちゃくちゃあるなっていうのは本当にそう思う。電車なんだけどさ。
小見 渡瀬トロッコ鉄道を思い出したね、風景的に。
三橋 あれいいよね。
大川 私こないだ乗った電車を1人思い出してた。
河﨑 それぞれ思い出す電車があるよね。
大川 全然ボックスじゃないけどあれだなーっていうのがありました。それぞれありそうですね、確かに。
河﨑 面白いな。
三橋 ありがとうございます!それでは最後の曲ですね。

緑と青の全貌


大川 先いいですか。
三橋 お、珍しいね。
大川 すごい薄いこと言うんだけどさ、僕はじゃああれですか、背骨で遊んでるんですか?みたいなこと言うのこの回でしたっけ。
宮ヶ原 脊椎でってことですか?だね。
大川 そうそう、そこがすごい好きで、毎回そこで、こないだの祖師ヶ谷大蔵の撮影の時も笑いを堪えてたんですけど、大好きだなって。今まではみんな日本語で喋ってたじゃないですか、どんなに通じてなくても。なんて言うんだろう。通訳さんがいて、日本語で喋ってるんだなって感じだったと思ってたんだけど、ついに違う言語が出てきて、違う場所だったんだって気付かされるって言う感じ。現地の子が出てきて、現地の言葉を喋るっていうのは真っ当なんだけど。その感じはすごいあるなって思う。あとあれも好きです。おっきくなったら何したい?で始まるあの会話も好きです。
三橋 いいね。ありがとうございます。では、小見くん、お願いします。
小見 現地の子の「僕が普段遊んでるのは脊椎でってことですか?」って言う考えって、三橋が千葉出身だからなのかなって思ったりね。千葉の人って場所をチーバくんのどこかで言うじゃないですか。なんかその感じもあるんかなって。あと、この(戯)曲はクライマックス感がありますよね。いろんなところを回収してる感が。これ単体だとやっぱりわかんない本なのかな、もしこれ単体でやったらどうなるんだろうな。って少し考えるね。難しいなとは思うけど。でも色んなところを思い出せるからいいなって思います。こういうことあったねって思い出せるプラス、ちょっと違う視点から情報が入ってきたりとかするんで、確かになって感じる。だから解説的なところがあるのかなって。今までの話で起きてきた、内部でどんな問題が起きてたのかって言う解説的なところがあったりして、見やすくていいなって思ったり、展開とかも色々あって楽しいなって思ったりもします。
河﨑 色々な場所で各々でやっていた(戯)曲のことが最後のここで集約されるから、ここを読むと改めて群像劇だったなって思う。色んな場所で色んなことが起きてて、それを一箇所にぎゅっとした感じがあって、これまで長い道のりを歩いてきたんだなって思うな。だから、ここにくるまでに色んな数の曲を経てきたんだなって感じがして好きですね。そこを経た後の終わりの温度感もちょうど良くていいですよね。
宮ヶ原 私はこれ走馬灯みたいだなって思いますね。あと、Bさんがすごいいっぱい喋るじゃないですか、所々に伝えたい部分が込められていたりして。何を伝えるかわかっていなくてもいい作品はいっぱいあるけれど、私はわかりたいなってちょっとだけ思っちゃうから、すごいわかりやすいわけでもなく、この(戯)曲は、「わかるな」って。だから、終わり方が好きですね、言葉も結構好きです。最後らへんの。
大川 あのちょっと補足してもいいですか?一瞬だけ、この台本だけでやったらどうなるんだろうって話あったと思うんですけど、制作的には一瞬ちょっと考えるだろうなって思いました。どうなっちゃうんだろうなーって。
三橋 俺も考えたことなかったな。
小見 先にやっちゃうのは確かにありかもしれないね。
大川 確かに先にやったら、伏線回収された感みたいなのが出るかな。
河﨑 『パルプフィクション』みたいに時系列バラバラにするのは面白そうだよね。
大川 伏線回収された感?逆か。回収された伏線を追う見たいな。
小見 「初鳴日」で始まって、いきなり終わるとかね。
大川 それすごいな。
小見 東京芸術劇場のシアターイーストで「初鳴日」と「緑と青の全貌」をやって、ウエストで他全部やってるとかね。
河﨑 ウエストの人も可哀想だし、イーストの人も可哀想だな。
小見 梯子前提。
大川 どっちの人も嬉しいかもしれないよ。
三橋 プレイハウスで限定曲の「形・フレーム」をやってるとかね。
大川 プレイハウスの人が1番大変じゃん。

三橋 と言うわけで、ここまで全8曲について話してきましたが最後に、これから買ってもらう人とか、読んでみようかなって言う人に向けて、この曲オススメだよって一(戯)曲をメンバーそれぞれから推薦していただきたいです。

メンバーのオススメ(戯)曲


三橋
 それでは、1人ずつ行きましょうか。
小見 『銀貨(裏)』かなあ。自分が田舎出身ってのもあるんだけど、色々とっつきやすい問題とか、なくなった方がいいかもしれないものと、なくなった方が便利にはなるけど、無くならない方がいいよなって言うものが両方内在してて、1番自分の生活に近い本だなって思ったね。裸に近い、体温に近い本だなって思ったんで、僕は『銀貨(裏)』が、おすすめですかね。
三橋 ありがとうございます。
河﨑 自分は『初鳴日』ですかね。イントロとして、ぜひ読んでほしいと思うし、会話として結構面白い会話なんじゃないかなと思うんですよね、読んでて。ゆっくり立ち上げていくってのがこの文章量の中で割とわかりやすく見えやすく書かれてるというか。
宮ヶ原 (戯)曲を読むって点では、『ビオトープ』をおすすめしたいかなと思います。なんでかっていうと、私も本を思い浮かべたからですね。猫の。
大川 私のおすすめは、『緑と青の全貌』かな。本で読むときに謎のカタカナの羅列みたいなのって面白いなと思ってて、もちろん発語されてもインパクトはあるんだけど、自分の中だけで自分の想像で発語される感じとかが面白いのかなって思って。ぜひ、観る前に読んでほしいなってちょっと思います。
小見 三橋くんのおすすめは?
三橋 僕のおすすめは、1番最初に書いたって点で、『新世界よりも』ですかね。
河﨑 いいよね〜。
大川 新世界はね、無料で公開していますからね。
宮ヶ原 確かに。

三橋 では、今日は終わりにしましょうか。皆さんここまでありがとうございます。お読みいただいた方もお疲れ様です。ありがとうございました。それではここまでです。お疲れ様です。
全員 お疲れ様でーす。

お読みいただきありがとうございました。
よろしければ他の記事もご覧ください。



【販売中】


譜面絵画 1st(戯)曲アルバム『Terra Australis Incognita』

収録(戯)曲
1. 初鳴日
2. FOLKLORE
3. 新世界よりも
4. ビオトープ
5. Log
6. 銀貨(裏)
7. ツーリズムガイド
8. 緑と青の全貌

▼ご購入はこちらから▼
https://fumenkaiga.wixsite.com/fumenkaiga/album



譜面絵画 vol.11『Terra Australis Incognita』
③ 吉祥寺 ver.


【会場​】
吉祥寺シアター

【日時】 
2021年3月14日(日)
13:00 / 18:00

【出演】
小見朋生(譜面絵画)

宮ヶ原萌(譜面絵画)
川端真奈
新藤みなみ(中野成樹+フランケンズ)
高橋星音(無名塾)
中村康太郎(人生旅行)
中山正太郎(無名塾)
松﨑義邦(東京デスロック)
三河美優
村山和弥(三輪舎)



【映像出演】

南風盛もえ(⻘年団)

黒澤多生(⻘年団)

【スタッフ】

脚本・演出・宣伝美術 三橋亮太(譜面絵画/⻘年団演出部)

舞台監督 篠崎うらら

照明 黒岩玲音
制作 大川あやの(譜面絵画) 河﨑正太郎(譜面絵画)
制作助手 落合比奈
セノグラフィー 白金里菜

協力:三輪舎/人生旅行/青年団/東京デスロック/中野成樹+フランケンズ/無名塾
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京

▼チケットはこちらから(Peatix)▼
https://fumen11.peatix.com/
▼チケットはこちらから(PassMarket)▼
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01hyta11h6vsh.html#detail



●ドネーション
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譜面絵画の「DONERU」
https://doneru.jp/fumenkaiga


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