たまに見たくなる、そして毎度不完全燃焼で見終わる映画『パプリカ』
『パプリカ』というアニメ映画をご存知だろうか?
2006年頃に作られた今敏監督最後の作品で、簡単に言うと、人の夢の中に入り込む装置をめぐる、『夢』セラピストと夢のテロ組織の話である。
レオナルド・ディカプリオ主演のハリウッド映画『インセプション』も、この映画をインスパイアされてると、クリストファー・ノーラン監督も語っている。
そんなこの作品、夢のシーンが色彩豊かで、平沢進さんの音楽との相乗効果で、より現実離れしたアニメならではの世界を見ることができる。
一方で、夢と現実を行ったり来たりし、話が進むに連れて段々とその境目が曖昧になっていくため、しっかりと見ていないと、途中からわからなくなる。
例えば、初期のクライマックスシーンとして、有名すぎるシーン。所長が全く辻褄が合わない文章を話し出し、発狂しながらガラス窓をぶち破るというシーンなのだが、このシーン、会話の途中から何を言い出してるのか理解できなくなり、その様が不気味に感じる。
実際に、この後の所長の夢のシーンで
「カエルたちの笛や太鼓に合わせて回収中の不燃ゴミが吹き出してくる様」
が出てくるのだが、このセリフをきちんと覚えていなかったら夢のシーンの感動も薄れる。
しかし、このシーン、すごく印象的で、パプリカを語る上では重要な上に、セリフを暗記し披露したくなる、同じように辻褄が合わない文章を言いたくなるなど、中毒性がある。
私自身、昔MCスクールの朗読コンテストで上記のセリフを披露し、肝心の朗読の評価以前に、どう扱っていいのかわからない空気に仕上げたことがある。
『パプリカ』をご存知の方がいたら大ウケ必至だったのだが、どうやら審査員には一人もいなかったようだ(勉強不足たちめがw)
私のことはさておき、この不可解で中毒性のあるセリフは、映画の随所に散りばめられており、そのセリフに引っ張られて、ストーリーを初見で理解するのはかなり難しい。
見終わっ感想は
「なんかすごかった」
「よく分からなかったがすごかった」
が殆どになるだろう。
しかし、しばらくすると、あの絢爛豪華な色彩の夢のシーンや、冒頭に紹介したシーンを見たくなる。
中毒の始まりだ。
数ヶ月前からNetflixで見られるようになっており、今回、通算10回目くらいになるだろう視聴をした。
やはり不可解だ。
というより、完全にストーリーを把握していても、抽象的表現すぎて最後は腑に落ちなかった。
…でもすごかった。
また見るだろう。
完全に中毒に侵されている。
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