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船橋市議選落選女性をバカにしていられない日本の現状

先日、船橋市の市議会議員選に立候補していた女性が、Twitterでテロ予告をし、警察に捕まったという報道がありました。

ニュースによると、選挙に落選したあたりから「逮捕されたい」などと言ったツイートが見受けられるようになり、テロ予告をしたことで、複数の通報があり、逮捕に至ったということです。

上記の記事では
「選挙に出る人がつかまりたいと思うのがよくわからない」
という意見もありました。

しかし、これは今の日本の選挙運動の在り方では、選挙に落選した人が暴徒化することは、充分あり得る話です。

なぜあり得るのか、防止するためにはどうすれば良いのか、ひも解いていきたいと思います。

■選挙立候補はギャンブル

先日私も、にわかながら選挙のお手伝いをさせていただきました。

友人が選挙に出るということで、今までよりも選挙を身近に感じることができ、改めて思ったのは、
「選挙立候補はある種のギャンブル」
ということ。

まずは、立候補するにあたり、仕事を辞めるところから始まります。
少なくとも選挙期間の約一週間は選挙活動に時間を費やさなければならず、また当選すれば翌日以降、議員として職務を果たさなければなりません。
しかし、退職の時点では、議員になれる確約はなく、仮に落選した場合は、翌日以降無職になります。
現在の日本では、落選したからといって復職できる会社も少なく、また、選挙を含めた政治活動自体を良く思わない人も少なくないのもあり、再就職も簡単ではありません。

選挙での投票率が低い我が国では、真面目に公約を掲げたり前期に実績を残していたとしても、なかなか伝わり辛く、知名度の高い著名人候補者に負けてしまうことも多々あり、議員の肩書きがつくのか無職になるのかは、ある種のギャンブルとなるのです。

また、選挙に立候補する際は、供託金というものを納めることになります。
市議会議員の場合、30万円になり、自身の得票数が『有効投票総数÷議員定数÷10』の数値に満たない場合は、没収されることとなります。
私の計算が確かなら、おそらく今回の事件加害者女性は、供託金を没収されたはずです。

無職になった上に供託金まで没収されるとなると、今後の生活はかなり痛手になります。
 

■民主主義のデメリット

 公職選挙法第10条では、市議会議員の選挙権は、25歳以上で、その市の選挙権を有する者としています。
言い方を変えれば、上記の条件さえ満たしていれば、学歴や職歴、犯罪歴、思想等関係なく立候補することができます。
これは、民主主義として、多様性あふれた人たちで議会が形成され、偏りなく議会を進められるというメリットがあります。
その一方、自身の日常に不満を感じる人が、後先を考えず勢いで立候補もできるということです。

昨今の選挙の傾向を見ると、芸能人などの著名人が当選しやすいだけでなく、
・パッと目の引くわかりやすい名前
・著名人と同姓同名
・アイドルのような見た目
という理由で、政策を謡わなくても当選することも多く、前述の「後先を考えず」行動を起こす人が、
「自分も当選するかもしれない」
という期待を持って立候補することも安易に想定ができます。

選挙に立候補するというのは、外側から見る以上に過酷なものです。
特に市議会議員選のような地域に根差した議員を決める選挙になると、地域の有権者との密なやり取りが必要となり、結果、舌打ちや無視だけでなく、罵声を浴びたり、脅迫まがいのことをされたりすることもあります。
安易な気持ちで出馬した人がそういう心ない言葉を浴びせられ、結果的に落選することで、逆恨みから今回のようなテロ予告のようなことがあってもおかしくありません。

■良い人が立候補しやすい世の中にするために

今まで例としてあげたことは、あり得ない話ではないということではありますが、だからといってそういう人たちを肯定してはいけません。

前述の通り、公職選挙法第10条に当てはまり、供託金を納めることができる人なら、誰でも立候補ができます。
しかし、それを利用して軽い気持ちや売名行為などで選挙を利用しないように、私たち選挙権を持つ人間が選挙や政治に積極的になる必要があります。

私たちが人を見極め正しく政治を行う人やそれを期待できる人に票をいれることで、政策と関係ないところで当選する人もいなくなり、淡い期待感でワンチャンスを狙って立候補する人も少なくなるでしょう。

また、この日本が民主主義国家である以上、今回のような事件がいつ起こってもおかしくないと身構えておく必要もあります。

今回のような事件は今後模倣犯として新たに出てくる可能性があります。
間違ってもそういう人たちが当選しないように見張っていくこと、それが『良い政治家』が立候補しやすい環境になる第一歩ではないでしょうか?

■おまけ


公職選挙法


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