『シャイニング』幻の病院場面②
削除された病院場面について、ダイアン・ジョンソンは次のように言っている。ジョンソンはキューブリックと共同で『シャイニング』の脚本を書いた小説家だ。
「キューブリックは、病院にいるウェンディとダニーを見せて、二人が無事であることを観客が知るべきだと感じていました。キューブリックはウェンディとダニーに愛着があったんです。そしてホラー映画の最後では、すべてが正常に戻って観客が安心するべきだと考えてました。私はと言えば、もっとタフでした。長い間、私とキューブリックは誰を死なすべきか自問し続けていて、それをハロランに決めました。でも私はダニーを死なせて観客皆んなにショックを与えることを考えてました!それはやり過ぎだったかもしれませんね」
Michel Ciment “Kubrick THE DEFINITIVE EDITION ”294ページより
このインタビューでは、病院場面における支配人やテニスボールの意味について触れられていないのが残念だ。ジョンソンはこの場面の執筆に最終的には関わらなかったのかも知れない。ただ、病院場面を創ったきっかけが、主人公は無事に危機を脱しました、というホラー映画の定石に従うことだったのが分かるのだ。
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