テラダ一家の宇宙旅行 その9 ◆ステップ3 太陽への旅 INPUT(インプット)

◆ステップ3 太陽への旅

 いま、宇宙船は向きを変えて、神々しい太陽のほうに向きました。
 黒が満たされた宇宙の中で、とろりとした金属のように輝く太陽。
 燃えさかり、呼吸するかのように光のエネルギーをはなつその姿は、力強くどこか懐かしくて、地球にとって命のみなもとであることを思い出させてくれます。

 太陽の画像が窓いっぱいに映し出されている宇宙船の中で、マザーヴォイスが響きます。

《ココロとカラダの準備ができた今、次のステップでは、成長のためのたくさんの刺激を受け取ります。カラダにとって食べ物がエネルギー源であるように、ココロにとっては、情報や刺激がエネルギー源です。
 何をいつ、どのように取り入れるかで、魂の状態もまったく変わってしまうのです…………》

 ふっと、宇宙船の照明が暗くなりました。
 それと同時に、宇宙船じゅうに太陽のあたたかく強烈なエネルギーがふくれあがっていくようです。


☆ステップ3.INPUT(インプット)

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《人生をうまく生き延び、何か大切なことを成し遂げるには、かならず情報のインプットや誰かの助けなど、外部からの刺激が必要です。
 有益な情報や刺激を得れば得るほど、世界が開け、人生の可能性が広がります。

 まずは、好奇心のままに、無邪気に、いろんな情報に触れてみましょう。
 当たり前だと思っていたことが、もう古くて間違った知識だったり
 もっと早くこれを知っていたら、と思うこともよくあります。
 知識はチカラであり、パワーです。

 人は、あるていど成長して世界観が固まると、それ以降の情報更新がめんどうになったり、変化を受け付けなかったりします。
 それでは思考も行動もパターン化してしまい、
 魂はどんどん硬化して、老化してしまいます。

 ですから、ときどきは自分をリセットして、凝り固まった心の筋肉をほぐすように、オープンにして。
 新鮮な気持ちで、さまざまな情報や刺激を取り入れてみましょう。
 今の社会は、とても消化しきれないほどの情報が飛び交っているのですから。
 まるで、ふりそそぐ太陽のように。

 太陽の光や温かみは、生きていくのに欠かせません。
 長いこと浴びずにいても、強すぎる光を浴びすぎても、具合が悪くなります。

 その太陽の光のように、流れ込んでくる情報や知識を
 やみくもに取り入れすぎても、シャットアウトしすぎても、
 魂はイキイキと輝くことはできません。
 今の自分は、誰のどのような情報を必要としているか、よくよく吟味しましょう。

 ですが……、もう、お分かりですね。
 ひとつのことについてでも、異なる情報がたくさん出てきます。
 なにを採用してなにを捨てるか、よくよく見きわめないといけません。

 おそまつな口コミ情報を信じて、痛い目に合ったり、無駄な時間やお金を使ってしまったり。

 残念な旅をしてしまうことは、一回の旅行なら笑い話にもなりますが、
 人生という一度きりの旅においては、そうはいきません。

 ちゃんとあなたの血肉となり、栄養となる有用な情報を得るには、
 あなたの好みと目的にあっているかどうか、取り入れる情報源の質も大切です。

 誰かが魂をそそいで作った本や映画、絵画や音楽などの情報は
 自分の血肉となってくれる先人からの贈り物。
 でも、お手軽な娯楽や無責任に垂れ流される情報ばかりで満足するのは、
 スナック菓子だけでおなかを満たすのと同じです。
 楽しく美味しく、気分転換にはなりますが、そればかりでは、魂はどんどん老化してしまいます。
 自分が本当には必要でない情報ばかりを取り入れていると、魂はどんどん咀嚼力を失い、怠けがちになり、老化してしまうのです。

 適切な助けを手に入れるためには、素直な澄んだ目と、
 この情報ははたして適切なのかを疑ってかかる、
 老獪な知恵とのバランスが大切です》


 ゆっくりと声がフェードアウトして、ふわっと、あたりに明るさが戻ってきます。
 どう反応したらいいものやら、居心地の悪いテラダ一家の沈黙を破ったのは、ケンタでした。

「わかるよー! 世の中ってガセネタ多いよね。あと、くだらないつぶやきとか」
 みんなも、笑いながらうなずきます。
「でも、毎日の情報をチェックしないでいるのも、それはそれで不安なんだよなあ。チェックするのに時間くうけど、けっきょくなんにもココロに残ってなかったりするのにな」
 パパは、深夜のネットサーフィンを思い出します。
「そうかもね。私なんて、その典型だし。っていうか、自分から、くだらない情報を発信している側だし」
 マコがおもしろそうに笑います。
 すると、ママがため息をつきました。
「ママはねえ、ヒマがあれば、ずっとドラマとかワイドショーばっかり見てるわ。やめられないとまらない、スナック菓子みたいなもの。でも、それ以外の時間つぶしかただなんて、思いつかないわよぉ」
 途方に暮れるママの前で、ピカリィがむくむくとカラダをふくらませはじめました。あれもこれもと差し出される、たくさんのスプーンのような、葉っぱのようなイメージです。
 ピカリィから黄金色のやさしい光が放たれ、ママを包みます。

ママさん。時間は、つぶすものではなくて、満たすものデスヨ

「わかってるわよぉ。私だって、子育て中は、ゆっくりできる五分だって惜しかったわよ。でも、今は…………」
 ママは言葉を飲み込みます。1.Mind Maintenanceで気づいてしまった淋しさが、ちくちく胸を刺すのです。
 するとピカリィが、

『ママ。もしも頭がぐちゃぐちゃになっていて判断ができなかったり、時間がなくてとても情報の質をいちいちチェックできないピンチの時には…………《ココロの救急箱》モードの登場だヨ!』

「また、《ココロの救急箱》ね?」

『そう。弱ったトキには、とりあえずのおかゆ、アツアツのおウドン、みたいにネ♪』

 太陽のコロナの活動がいちだんと激しくなってきました。
 そのエネルギッシュなうずきに呼応するように、原始的なリズムがとカラダに響き、宇宙船にレーザーのような光がくるくると舞い始めました。
 ピカリィがくるくると踊りだす《ココロの救急箱》モードお約束のミュージック・タイムです。

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♪♪♪《ココロの救急箱》 3.INPUT(インプット)
 
『 かかえこむな!! 頼れ!!

 …………自分のチッポケな世界観と知識と経験で、
 なんでもヒトリで何とかしようなんて、どだい無理!
 だけどおろかな情報を信じて馬鹿をみるのもおことわり!
 誰か、何かの助けにすがったり、相談して、調べ、ワラをもつかんだり!!

 情報の海で溺れかけたら、とりあえず今の自分が信じられる人
 何人かを選んで、その意見にのっかってみる
 その反対意見もチェックしながら、情報インプット
 判断力も時間もないときには、最短で効率あげていかないと!

 情報の海を華麗にスイミング
 なにを選ぶかのチョイスはけっこうスリリング
 とりあえず周りに頼って、情報をあつめて、みはからうタイミング
 こころみる冷静なシンキング
 ビビッとくる情報はためらわずチェッキング
 ネットワークを駆使、身近なヒトに相談しても案外うまくいくし
 ひとりの狭い視野での判断より
 手を尽くし、あれこれ調べるのがいい算段

 ひとりでかかえこむな、頼れ!
 輝くための情報収集、集中せず放置するのナンセンス
 華麗に情報の森の中ダンスして
 いちばん楽でかしこい道にたどり着くのがインプットのグッド・センス

 だから情報やモノ、いっぱい集まりすぎたら、検閲して選別
 いらないネタやモノ、情報筋は敬遠してサヨナラ
 不必要なものは、あるだけでエネルギーをうばう
 なにを最低限持つかだけココロをくばる
 不必要なモノみきわめたならば、ばっさりと勇気をもってオサラバ
 そしたらば迷っていてもきりがない
 きっぱりと信じるもの決めて切り捨て進むしかない
 古い知識や情報やモノは取捨選択
 未来を開拓、スペースあけて頭の見晴らしをよくして!
 
 …………自分のちっぽけ世界観と知識と経験で
 なんでもヒトリで何とかしようなんて、どだい無理! おことわリ!
 取捨選択してバージョンアップして質をあげていくのが自然の理
 シンプルに信じられるもの絞り込んで余計なこと締め出していけば
 きっとダイジョウブ、その選択に自信持ち、生き生きとアライブ!

 元気よく踊りきったピカリィは、みんなの拍手が終わるとするするともとの姿にもどり、優雅に空間をすべりながらママの前まで進みました。

『だから、ママさん、あせらないでネ。すぐには情報やモノにとびつかないで、これだって思えるものに出会えるマデ、じっくりリサーチをしてもいいネ』

 ママはこくりとうなずきます。
「スーパーのチラシとおんなじね。あっ安い! と思って飛びつくと、あとからもっといい情報があったりするのよね。いいわ、見てらっしゃい。きっと、とびきりの何かをみつけてみせるから!!」
 ママの肩を、パパがぽんぽんと叩きました。
「うん、ママはリサーチ上手の買い物上手だからね。きっとうまくいくよ」
 ママはにっこりとほほ笑みます。
 そんな二人を見て、マコとケンタは微笑みながら視線を交わしました。

その10◆ 木星への旅 One-I(我・イチ)【魂のアンチエイジング】

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