どうしてかなちーくずに心奪われるのか #KCKWIN #かなちーくず
衝撃の発表,それはかなちーくず
2021年2月11日,10日間の休養を挟んでいた勇気さんも配信を再開し,誰の配信を観ようかなーと悩んでいた時に衝撃のツイートが呟かれました.
「かなちーくず復活ッ!」「かなちーくず復活ッ!」
2021年3月14日にて開催される第4回CRcupにてかなちーくずが再び集まるという報告があったのです.
ちなみにかなちーくずをキメ過ぎたオタクの末路
このリテイルローのおじさんは,プロチームCrazy Racoon(以下CR)のオーナーで,数々の感動とドラマを生み出してきたCRcupを主催している方です.
その他にもApex Legendsのプロゲーマーや,フリーのアナウンサー,果てはにじさんじのライバーまでこの発表に沸き立ちました.実際「かなちーくず」のワードはTwitterのトレンド3位(一時1位まで)まで浮上したほどです.
ではどうして私がかなちーくずに惹かれてやまないのか.
それを言葉にすつ術をおそらく私は持ち合わせていません.
私がかなちーくずに惹かる理由.それをかなちーくずのこれまでの軌跡に触れながら紐解いていきたいと思います.
クロノワという存在
まず皆さんが「にじさんじ」の中で「バトロワ」を遊ぶユニットとして思い浮かぶのはどれですか?
最近だとVtuber最協決定戦でチームになっていたNsNやAQF,ABC,SFG,NJ夜神月でしょうか.一応クロノワールもこの枠に数えることができるでしょうか.そしてかなちーくず.
私が真っ先に思い浮かべたのは,シリンソウ(黒ノ火廻含む)とRKS(深夜三傑)です.
シリンソウは,にじさんじ所属の叶さん・赤羽葉子さん・本間ひまわりさん・葛葉さんからなるユニットです.PUBG VTuber最協決定戦に2回(2018年と2019年)参戦し,第2回では叶さんが10キルを決めて,見事ドン勝を取る場面もありました.
他にもPUBG VTuber最強決定戦では解説として叶さん,選手として葛葉さんが参加し,葛葉さんがドン勝を取った後のインタビューで叶さんに「俺,主人公になれたかな」と訊いた場面は今でも忘れることはできません.
Vtuberのゲーム大会において,ChroNoiRは欠かせない存在として,または常に優勝候補として名を連ねていました.
Apex Legendsの登場,勇気ちひろさんさんのちーペックス
そんな中1つのゲームが発売され,1人の魔法少女がその虜になります.発売されたゲームはApex Legends,Apexを始めたのは勇気ちひろさんです.
勇気ちひろさんは今までパソコンでFPSシューティングゲームを触ったことはなく,RKSに交じって時折PUBGをやる程度でした.
ただ当時はApexを配信する人も限られていて,兼ねてよりにじさんじだと叶さんと交流があったDNG所属のすももさんに師事してもらう形で,ほぼ週に一回2人でコラボする日々が続き,Apexの練度をあげていきました.
一方叶さんと葛葉さんは本間ひまわりさん(黒ノ火廻の3人)でカジュアルを回して,3人で楽しくプレイしていたのも懐かしい話です.
Apexにランクが実装され,多くの配信者がランクに挑むことになります.その中で,勇気さんも果敢にランクに挑戦し,Apexでは2%程しかいないダイヤモンドまでソロで達成しました.またApexでは1つの壁とも言われる一定数ダメージを超えると貰えるバッジ「ハンマー」も獲得し,初心者のイメージを完全に払しょくしました.
その裏では,叶さんが勇気さんよりも早くダイヤモンドを達成し,葛葉さんもパーティーでダイヤモンドに到達していました.
当時にじさんじ内でApex配信する人も少なく,ダイヤモンドランクまで到達していたのはこの3人のみでした.また他の配信者とも交流が少ないため,ランクをフルメンバーで回す機会も多くありませんでした.
それぞれが主にソロで配信している中,多くの人が考えたと思います.
にじさんじ最強と呼ばれても過言ではない,勇気さんと葛葉さん・叶さんの3人が組めばどこまでいけるのか.
くろのわちーの初陣,RAGE × Legion Doujou Cup
当時は珍しかったApexのコミュニティー大会の開催が告知され,メンバーを見た私は度肝を抜かれました.
歌い手の天月さん,芸能人,すももさんといった豪華メンバーの中に勇気さんと葛葉さん・叶さんの名前があったからです.この3人で新たなユニット「くろのわちー」を組み,大会へ挑むこととなります.くろのわちーの由来は,スタッフさんが勝手に決めた名前で,3人自身も思い入れもなくOKを出した経緯があります.
そして私は夢だった勇気さんと葛葉さん・叶さんのコラボを見ることができました.練習では25キルチャンピオンを取る等,破竹の活躍を見ることができ,大会本番もとても楽しみでした.
迎えた大会本番の2020年7月24日.くろのわちーは,レイス(勇気さん)・コースティック(葛葉さん)・パスファインダー(叶さん)で臨みます.この構成は,パスでアンチを読んで(当時はアンチ読みキャラはパスのみ),アンチを先読みした屋内をガスで固めるという点が強みです.
この構成は建築物1つに固まりすぎると,グレネード等で無理攻めされた場合一気に崩れる恐れがあるため,広く守る意識が必要で,咄嗟の移動の判断も求められます.
またアンチ内を取り続けるという事は,常に誰かからそのポジションを狙われるため,個人の生存能力・判断力も試されます.
そして迎えた1戦目.マップはワールドエッジ.くろのわちーは,アンチを読んで溶岩溝の西側の2階建ての三角屋根を固めます.実際この溶岩溝が最終アンチになり,早い段階でのアンチ読み・ポジションキープは完璧でした.
そこに襲い掛かったのがプレデターの渋谷ハルさん率いるチームVtuber.渋谷ハルさんのチームは当時プロシーンでは暴れ始めていたレブナントを採用していました.このレブナントのアルティメットアビリティーは,「デストーテム」.トーテムに触ることで,闇の軍勢化し,キルやダウンしないかわりに,体力が100削られると使用者はトーテムの場所に戻るというものです.
このレブナントどれぐらい当時強烈だったかというと,Apexの日韓大会の環境を大きく塗り替え,アンチ内ムーブが多かったチームの殆どがアンチ端ムーブへの切替を余儀なくされたと考えられています.
当時はランクでも採用され始めたばかりのレブナント.ランクで練習していたくろのわちーは初見に近い状況で,レブナントウルトを使った猛攻に晒されてしまいます.そしてそのままくろのわちーは壊滅に追い込まれてしまいました.
この後3人で反省会を始めますが,あまりに強烈すぎたプレデター,レブナントの猛攻に対して打開策は,レイスのポータルでワンチャンス作れるかどうかだったのが3人の共通認識でした.そんな時に,渋谷ハルさんの負けた悔しさ,はじめての大会(しかも大舞台)で味わう極度の緊張感に押し潰されるかのように,勇気さんがミュートにして涙を流してしまいます.
そこで大会経験が豊富な葛葉さんが勇気さんを励まします.
「ちーさん大丈夫ですよ.ここで委縮して,”あぁこうしたかったな”っていうのをグッと飲み込まないようにしてください.ここで委縮すると悔いが残りますから」
葛葉さんの励ましによって雰囲気を立て直した3人は,その時チームのコーチに付いていたYukioさんのアドバイスを受けながら,反省会を続けます.幸いながらインタビューの関係で,試合と試合の間に長いインターバルがあったため,チームを立て直すには十分な時間はありました.
マップはキングス・キャニオンに変わった2戦目.マップ中央部のケージに降りた3人は,北側に抜けつつ,アンチカットでキルを狙います.しかしながら,そこでアンチに追われる北側のチームと南側からきた別のチームに挟まれ葛葉さんの体力が大幅に削れらてしまい,ピンチになってしまいます.ここで現在高い判断力が評価されている勇気さんがその片鱗を見せ,研究所側に素早くポータルを引き,見事窮地から脱しました.
その後は3人のポジションを広くとり,寄ってきた敵を弾きながら沼沢南側の1階建ての家をキープするのに成功します.そこに1戦目と同様にレブナントウルトが襲い掛かります.ここをどう返すかが先ほどの試合の反省点でした.
ここで3人は先程の反省を生かして,家の外を守りに行きました.部屋の中は設置していたガスに任せ,各々が家の外壁に展開し,広く守ることに成功し,見事レブナントウルトを返しました.その後家がアンチから外れるものの,勇気さんの神ポータルによって移動し,見事3位で試合を終えることができました.
この大会は参加者のランクの差が大きく(初心者からプレデターまで),キルムーブが刺さりやすい構成・展開が予想される中で,そのムーブとは正反対のアンチ内を取り続けたくろのわちーは,実力以上の力を出せていたのではないかと思います.
そしてその後伝説に残る勇気さんの神インタビューがありました.
「ケツ洗って待ってろよ!」
これは勇気さんにジブラルタルのフィニッシャー(通称ケツフィニッシャー)を決めたいことを匂わせていたすももさんの影響が大きいかもしれませんが,大会を見ていた視聴者を沸かせました.
結局くろのわちーは9位で大会を終えることになりますが,ここまでが序章で,ほんの始まりにしか過ぎなかった事をこの後思い知らされます.
Vtuber最協決定戦カスタム①:噛み合わない歯車
このRAGE × Legion Doujou Cupの開催前に,別の大会にもこの3人で参加することが発表されました.それが渋谷ハルさんが主催する「Vtuber最協決定戦」です.第2回まではPUBGでしたが,第3回からはApexで行われることも発表されました.
このVtuber最協決定戦は特殊な大会で,カジュアルの大会でありながら,開催1週間前からスクリムを毎日開き,参加者は自由に参加し,大会のムーブを練習することができます.7月23日~8月1日の間毎日開催されました.
くろのわちーも24日は大会が終わったその足で,そのままカスタムに向かいました.
また,チーム内のメンバーの決める条件も独特で,当時ランクを回す人も少なかったことや沢山の参加者を集めることを加味し,メンバー3人のApex内平均ダメージを1500 Dmg以内に納めることが条件でした.くろのわちーも平均ダメージを1500 Dmg内で編成条件をクリアしていました.
このダメージ制度はランクがなかったPUBG時代の名残です.
RAGE × Legion Doujou Cupでも爪痕を残し,全員がダイヤモンドランクであるくろのわちーは優勝候補として期待され,カスタムでも活躍することを楽しみにしていた人も多かったと思います.
しかし私が見たのは,中々結果を出せずに苦しみ続ける3人の姿でした.その挫折の中で,チームを形にしていく3人のカスタムの様子を3つの視点から紹介したいと思います.
●固まらない構成
初回のカスタムは,Rageと同じコースティック・パスファインダー・レイスで挑みます.そして,次はコースティック・レブナント・レイスを試します.その後はレイス・パスファインダー・レブナントで落ち着き,そのピックで本番まで行くことになります.
しかしながら,誰が何を使うかでも少し悩んでいました.最初は葛葉さんがパスファインダー,叶さんがレブナントをピックしていましたが,試していくうちにその2人がピックを入れ替え,レイス(勇気さん)・パスファインダー(叶さん)・レブナント(葛葉さん)という組み合わせになりました.
この構成の強みは,高台にもパスファインダーのジップラインでレブナントウルトで攻撃を仕掛けることができ,パスファインダーだけ先にジップラインで詰めることができるところにあります.建造物が多い場所だと,高い場所を積極的に取れるのですが,平地では打開が難しい所があります.
実際この強みを生かすことができたのが大会3試合でした.
●オーダーの存在
この3人がチームとしてやっていくうえで,一番の課題になっていたのがこのオーダーだと思います.チームの司令塔であるオーダーの判断が試合の是非を分けると言われていますし,一番責任もある役割です.
Rageでは即席ですが,PUBGでの経験が豊富な叶さんがオーダーをしていました.しかしながら最協決定戦では,Rageで素早い判断を見せた勇気さんをオーダーにするという決断をします.Apexのプロシーンでは,無傷で味方を移動させることができるスキル(ポータル)を持つレイスがオーダーをすることが多いのも確かです.
ただ勇気さんと葛葉さん・叶さんでは,行動方針が異なる所もあり,行動を合わせるのも難しい場面も序盤は目立ちました.先にアンチ内を取って拾えるキルを拾う安定志向の勇気さんに対し,葛葉さん・叶さん攻撃を仕掛けてダメージトレードで押し引きを考えるムーブだったと見ていて感じました.
そして勇気さんが叶さんや葛葉さんと比べるとゲーム経験が少なく,自信が持てない,提案を押し通せない時も多々ありました.
●チームワーク
先ほども述べたように,3人は野良での経験が多く,固定パーティーを組んで回したことはほとんどありませんでした.
そこで課題になったのが,3人の互いのカバーの意識です.
カスタム序盤ではそれが顕著で,3人がそれぞれ違う敵と戦う場面も多く,フォーカスが合わないことが問題としてありました.最終収縮近くまで残っても,3人が違う敵を撃ち始める場面が多く,もったいない場面も少なくありませんでした.
多分この辺りの話は2021/02/08の葛葉さんと瀬戸美夜子さんのコラボでも少し話題に出てた報告の話にも繋がるのかなと思います.話自体はオーダーの話題でしたが,ソロからチームを組むために苦労することの1つとして,報告の話をあげていました.
この動画の話は報告の有無でしたが,3人は報告の量の話でも当時困っている様子が見受けられました.報告の量が多すぎて,オーダーの邪魔になってはいけないし,報告が少なすぎて判断する材料を減らしてもいけないという板挟みで悩んでいました.
このチームワークの問題は3人でどれだけ考えて行動できるか,話し合えるかに鍵があったと思います.
Vtuber最協決定戦カスタム②:くろのわちーから「かなちーくず」へ
7月24日のカスタム終了後,葛葉さんが用事で抜けて,叶さんと勇気さんが2人で練習を続けながら,チームについて話し合いました.
「僕らの事,クロノワールの2人として見なくていいですよ.名前
変えましょうか」
クロノワールと勇気ちひろのチームではなく,叶・勇気ちひろ・葛葉の3人のチームにしたい
クロノワールと比べて疎外感を感じていた勇気ちひろさんに対して出して叶さんが出した答えがチーム名変更でした.
ここからまた新しいチーム「かなちーくず」として一歩を踏み出していきます.ここから徐々に1つのチームとしてかなちーくずの歯車が噛み合っていきます.
●葛葉さんの言葉,渋谷ハルさんのコーチングに背中を押されたオーダー
勇気さんのオーダーで行くことが決まり,くろのわちーへの変更が決まった後,葛葉さんと勇気さんでランクに行きます.そこで自分に自信が持てない勇気さんに対して,葛葉さんが声をかけます.
「ち゛ーさ゛ん゛!!現状の報告ばかりで何がしたいかが
足りてないです!」
「ここ詰めます!」
「それだ!!こうなれば俺は全力でカバーします」
この葛葉さんの言葉で自信を持てた勇気さんはオーダーとしてチームを引っ張っていく決意を固めます.その後カスタム練習を重ねていく中で,かなちーくずの動きは見違えるように変わっていきます.しかし,アンチが小さくなるにつれて動きにずれが見られるようになります.
そんな中迎えた7月28日.かなちーくずは転機を迎えます.かなちーくずが参加した1戦目のカスタム.この試合で18キル3位という,チームで取ったことのなかった素晴らしい戦績を納めます.
しかしながら,そこで叶さんがコラボのためカスタム練習から抜けることとなり,代わりにコーチングとして渋谷ハルさんに参加してもらいます.
葛葉さん・勇気さんは,渋谷ハルさんにレブナントウルトを使った押し引き・アンチの取り方・報告の仕方について教えてもらいます.また勇気さんも渋谷ハルさんに背中を押され,オーダーとして指示を通すために色々な事にチャレンジしていきます.
ここで,個人的に印象に残っているのは渋谷ハルさんの「最後はレイスが試合作るんで」という言葉です.この時は勇気さんがレイスとして最後に試合を動かす場面は少なかったですが,Vtuber最協決定戦S2になってレイスのポータルで敵をも動かすオーダーができるようになっていたのが感慨深いです.
この日の最後の試合でこの2人ににじさんじの神田笑一さんが助っ人として参加します.序盤は物資不足に苦しみながらも,8部隊まで残ります.アンチはハーベスター南西部の平地に寄りました.ハーベスター西側の,扉を使えば屋根に上れる白い建物に敵がいる状況で,葛葉さんはその南側の岩陰を取ろうと提案します.勇気さんはそれに対して,建物の上を取ろうというオーダーを下します.グレネードで屋根上にいる敵を下に弾き出すことに成功し,ポータルで戻ってきた敵にも冷静に対処しました.
その後敵を一方的に打てる状況が生まれ,アンチの最終収縮を待たずに敵を倒しきり,チャンピオンを取ることができました.これがチームとして初めてのカスタムのチャンピオンです.まだ3人揃ってチャンピオンを取ることができていないので,3人で喜ぶ姿を見たい・見れるという思いが高まりました.
●葛葉さんの変化,Pinkyさんからのコーチング
葛葉さんの個人的な課題として,前に出すぎてしまう,フォーカスが味方と合わないという問題がありました.レブナントは中衛から後衛向きのキャラクターで,高倍率のアサルトライフルやスナイパーに加えてショットガンを持つという武器構成が主流です.
そこで葛葉さんは,元プレデター日本1位・現戦国ゲーミングのプロゲーマーであるPinkyさんに個人コーチをお願いしました.
色々な課題に直面して困っている葛葉さんに対してのPinkyさんは,
「常にレイスの後ろにぴったりくっつくこと」
ということを指示しました.実際この指示が的中したのか,葛葉さんの動きも変わっていきます.
勇気さんが前に出たがっているときに,逆に勇気さんを抑えたり,勇気さんが狙っている敵を狙えるようになり,勇気さんとの足並みも徐々に揃うようになりました.
最後に3人が揃った7月31日では,フォーカス意識も揃っていて,高順位を残せるようになりましたが,まだチャンピオンを取ることはできていませんでした.
Vtuber最協決定戦本番,初めて”3人”で掴み取った
チャンピオン
2試合が終了し,総合順位は7位.トップのチームとの差は27pt.この差をひっくり返すためには,ある程度のキル数と高順位が求められます.仕分け工場で第2収縮のアンチを読んだ3人は,そこで既に最終収縮先が火力発電所北・元ミラージュボヤージュ南側の細い通路付近になると予想し移動を開始します.実際最終収縮はその近くになりました.
※S8S1現在とは,ワールドエッジのマップが異なっている所があります.
ツリー側に移動していた3人は,ツリーでの戦闘に介入します.ツリーでの戦闘は,4部隊が絡む大乱闘で,かなちーくずが参戦してからも,追加で1部隊来たほどです.そこで戦闘を制したかなちーくずの物資は潤います.
1部隊取り逃しましたが,深く追わない判断を取り,物資を漁り次第,目的の場所に移動します.
火力発電所北の家が密集する集落に移動した3人はそこでまた戦闘を起こします.アンチ内で1番強いポジションを手放したくないという判断です.
このVtuber最協決定戦で目立ったのは,レブナント構成の多さです.これに対抗するためには,敵がトーテムを使った後からトーテムを使うという策が考えられます.
そしてかなちーくずがとった策が,トーテムを使われた後にトーテムを焚いて敵が突っ込んできたタイミングで,敵のトーテムを破壊するという力技です.実際この試合は敵のトーテムを破壊して体力の有利を作る場面が多かったです.
この策が功を奏し,ポジションを取りに来たチームのトーテムを破壊して,壊滅させます.
取っていたポジションも家が多く,南側と北側で高低差が激しいため,パスファインダーを構成にいれている強みも生かせました.このポジションをキープする戦闘で,トップだったチームを含め複数のチームを壊滅さえるという快挙を達成します.
アンチは,予想している場所より北東側の,火力発電所北のジップラインで溶岩を飛び越える場所辺りに寄ります.アンチカットを完璧に行い,南側と西側からの敵を排除したかなちーくずは北側から来る敵との戦闘に挑みます.
レブナントのトーテムを使い北側の敵と戦闘し,ダウンを取ることに成功します.この北側からきたチームが現在2位のチームで,しかも1ダウン奪っている状況.この有利な状況を生かしたい3人はアンチの収縮を待たずに再度詰めます.しかしそこで,東側から別のチームに撃たれます.このままだとこの別のチームにやられると確信した勇気さんは,オーダーとして,退く判断を下します.
ここでこのチームを倒すことができれば,より上位が狙える場面での退く判断は公式の視点でも褒められる見事な判断でした.
そして他のチームをすべて下の溶岩に弾くことに成功したかなちーくずは,チャンピオンを取ることができました.
3人での初めてのチャンピオンに,視聴者も,公式配信も,そしてかなちーくずの三人も沸き立ちました.
何もかも噛み合わない所から始まった3人.時にぶつかり,泣き,落ち込みながら,しかも本番という大舞台で初めて掴み取った勝利でした.
周囲に気配りができ,チームの潤滑油として常に真ん中にいた葛葉さん
チームのリーダーとして,ダメージソースとして支えた叶さん
オーダーとして強気の判断を下していた勇気さん
3人の思いがけない部分も見せてくれたVtuber最協決定戦は3位という輝かしい成績で終えることとなります.
このかなちーくずのチャンピオンの瞬間を観戦の視点で見ていた1人のレッサーパンダがいました.その名はラトナ・プティさん.こぼした言葉は,「ちーちゃん泣いてそうだなー」.まさかこの半年後に同じチームとして,同じ大会に出ることになるとは誰も予想していませんでした.
第2回CRcup,かなちーくずでの参戦
第2回 Crazy Raccoon Cup Apex Legendsの開催が発表され,そこにかなちーくずとして参加することが発表されました.
この発表には度肝を抜きました.私の気持ちとしては不安と期待が半々という感じでした.
このCRcupはVtuber最協決定戦と比べるとレベルが高く,Vtuber最協決定戦では出ることができなかったプレデター帯(各スプリット上位500人)のメンバーがチームに1人は必ずいるというレベルの高さです.またApexのプロゲーマーも参戦し,特にCRに所属するアジアナンバー1の呼び声も高いRasさんも出るという事で,普段のプレデター・マスター帯のランクよりもレベルが高くなるということが事前に予想されていました.
第1回CRcupでは,Vtuber最協決定戦に参加して2位という成績を残したチームも参加しましたが,歯が立たずに最下位になってしまったほどでした.
第1回CRcupでは,かなちーくずの3人は別々のチームで参加し,それぞれ10位以内に入るという素晴らしい成績を残し,それぞれ見せ場を作りました.
このCRcupでも一週間前から練習カスタムが開かれ,そこでどれだけチームの練度を上げることができるのかが期待されます.かなちーくずがそこでどれだけ戦えるのか.多くの視聴者が固唾を飲んで見守りました.
●カスタム序盤:葛葉さんへのオーダーの変更
中々カスタムでの成績が安定せず,構成も固まらない中,かなちーくずは大きな選択をします.
叶さんがカスタムを欠席し,助っ人ににじさんじのイブラヒムさんが参加した練習4日目から,オーダーが勇気さんから葛葉さんに変わったのです.
葛葉さんは他の2人から得た情報から必要な情報を引き出し,選ぶのが上手く,この日は勇気さんからの情報を上手に吟味していました.
勇気さんも重荷が下りた事から,咄嗟の移動のポータルや戦闘に集中することができ,発言も多くなりました.またオーダーとは違った,サブオーダーという少し俯瞰した視点から冷静な判断をする場面も増えました.
その後は構成も固まり,コースティック(葛葉さん)・ブラッドハウンド(叶さん)・レイス(勇気さん)の構成でカスタムに臨みます.
普段絶対叶さんが使用しないブラッドハウンドをピックし,その腕に定評があるスナイパーを持ち,チームの中衛・後衛を支えます.特にブラッドハウンドがいることで,咄嗟に空いている場所を見つける判断が早くなり,コースティックのガスで見えない場面でもブラッドハウンドのスキルでサポートできるという強みがあります.
●カスタム終盤:コーチの打診,カスタムでチャンピオン
カスタム後半,現戦国ゲーミング所属のプロゲーマー・葛葉さんの師匠のPinkyさんにチームのコーチングをお願いし,最終日は叶さんの代打としても参加してもらっていました.
この最終日にかなちーくずは仕上がりを見せていきます.最終日のカスタムでは,Pinkyさんが代打として参加しているときにチャンピオンをとり,叶さんが合流してからも終盤葛葉さんを失いながら,2位に食い込みました.
細かい部分を本番カバーできれば,上位を狙えるという手ごたえを3人は感じていました.
CRcupのカスタムを通じて感じたのは,チームとしての練度の高さです.例えば,かなちーくずはランドマークが終盤まで決まっていませんでしたが,ランドマークを巡っているときの初動ファイトは勝つ場面も多く,プレデター相手に撃ち負けない姿には驚かされました.
そしてフォーカスの意識も高く,お互い殆どコールすることなく,フォーカスを合わせることができるようになっているのが凄かったです.
●大会本番:魔王撃破と最後の言葉
迎えた大会本番を一言で言うなら,魔王Rasを誰が止めるのか・誰が止められるのか.それぐらいRasさんが大暴れした大会でした.大会5戦のうち2戦しかレイスを使えないRasさんは,最初の2戦レイスで臨み,大幅にポイントを獲得します.一体誰がこの人を止めるのか,そもそも止まるのかという状態でした.
一方のかなちーくずは,初戦は9位1キル,2戦目は18位0キルという滑り出しでした.特に2戦目では,ランドマーク近くに降りているチームに序盤で撃破されてしまい,3戦目で立て直せるのかが急務の課題でした.
かなちーくずは必要最低限のファームで,移動を開始します.アンチは1戦目と同じように,マップ南側のツリーに寄る事を予想した3人は,1戦目混んだ発射場側からのルートを避け,マップ中央部付近の中継地点から火力発電所東側を抜けるルートを選択します.しかしながら,火力発電所東側の家は複数のチームに既に取られており,中継地点南側の高台からアンチに入れる場所を模索します.
そこに現れたのがRasさんのチーム.Rasさんはライフラインを選択していました.いち早く敵の接近に気付いた勇気さんが他の2人を呼び寄せ,迎え撃つ形をとります.
そして,先頭に立つRasさんにフォーカスを合わせると,一気にRasさんを落としてしまいます.この時葛葉さんがガスウルトを投げていて,Rasさんはチームメンバーと分断される形になっていました.
これは一瞬の出来事で,先頭に立っていた勇気さんも9割近くRasさんに体力を削られており,フォーカスを合わせる意識がなければ,全く逆の結果になっていたでしょう.ここでRasさんのチームを落としたかなちーくずは勢いに乗ります.
Rasさんをかなちーくずが落とした事で,本会場で解説をしていたCRのオーナー・リテイルローのおじさんも大喜び.自分のチームの選手が落とされたのに,自分の推しチームが活躍したことの方が嬉しそうです.
そして3戦目,ツリーの家に最後上手く入り込めたかなちーくずは見事3位8キルという順位に輝きました.
ムーブは移動の度に頭を悩ませていましたが,結果的にそれが周りのチームが動いた後・アンチ収縮と同時にアンチに入るという,競技シーンでもよく見られる理想的なムーブに繋がりました.
他のチームをアンチ内に押し出しながら移動し,自分たちが落ち着けるポジションを探しだすことができたことが高順位に繋がりました.
かなちーくずは最後の5戦目で初動ファイトにきた,まさのりさん・はつめさんというプレデターチームに勝ちましたが,その後の漁夫にやれてしまい,総合順位は12位という結果に終わりました.
しかしながら,この3戦目でRasさんを落とした事が評価され,CRcupのMVP的な賞にあたる,おじじ賞(リテイルローのおじさんが独断で決める)を貰うことになりました.
個人的に好きなのが,5戦目終わってから試合が終わるまでの3人の会話です.3人はCRcup終わった後の,今後について話しています.
叶さんはしばらくは原神,葛葉さんはポケモンをやるけど,勇気さんはApexを続ける旨を話します.勇気さんはプレデターを目指すという事を話し,3人のポイントについて話します.勇気さんがマスターやプレデターに行ったときに,ポイント的に組めるのかという話です.
この話を聞いた時私はもう2度とかなちーくずが見れないかもと思いましたが,卒業式の後のような切なさ・エモさを感じ,強くなったかなちーくずの再結成に少しの期待を抱いていました.
Vtuber最協決定戦S2:別のチームのオーダー・レイスとして
そして先日行われたVtuber最協決定戦S2.そこでかなちーくずの3人は別のチームで,それぞれオーダーとして,レイスをピックして挑みました.
勇気さんは,チーム”なんもしてねぇ”で,イブラヒムさんとリーダーのラトナ・プティとともに.
葛葉さんは,チーム”英吸不滅”で,不破湊さんとリーダーのエクス・アルビオさんとともに.
叶さんはリーダーとして,チーム”ディープキス部”で,おだのぶさんと紗樹万咲とともに.
大会・カスタムに臨みました.そしてそれぞれカスタム・本番で結果を残しました.
特にカスタムでは互いに称賛し,互いに戦闘を行い,しのぎを削っていました.
●英吸不滅(AQF)
AQFはカスタムでは圧倒的で,カスタム全体を通して4チャンピオンという,チャンピオン数2位という素晴らしい成績を残していて,爆発したときのキル数の伸びは,本大会でも屈指のレベルでした.
葛葉さんと不破湊さん,エクス・アルビオさんは元々仲が良く,チーム内の雰囲気・コミュニケーションは他のチームには負けず,カスタムが終わった後も朝までランクを3人で回していたのが印象的です.
DTN所属のマネージャー,Go_Tsuishimaさんは,葛葉さんのオーダーを,「情報の取捨選択が上手い」と評していました.
敵のポータルにも飛び込む大胆さ,味方の立ち位置についても的確な指示を出すわかりやすさは群を抜いていたと思います.
大会本番ではカスタムほど振るいませんでしたが,最後は1位のチームに被せにいく大胆さを見せました.
●ディープキス部(KISS)
本大会で1番熱かったチームをあげるとすれば.このチームです.
このチームだけ説明が難しく,詳細な内容は禁忌に触れるため省きますが,元々個人勢のおだのぶさんが作ったコミュニティーとして「キス部」が存在しました.実はこのキス部に叶さんも紆余曲折あって所属していて,リーダー権を持っていた叶さんが集めたチームになっています.
キス部自体,PUBG時代の最協決定戦から欠かさず参加していましたが,ネタ枠的な扱いでした.
しかしながら,今大会は本気で臨み,叶さんのオーダーに対して,「厳しくして欲しい」という要望を出すほど熱を持ってカスタムから頑張っていました.叶さんもその熱意に負けないように,厳しくオーダーを下す姿には驚かされました.
その結果,本番では大活躍をし,なんと最後5戦目でチャンピオンをとり,総合順位でも4位という素晴らしい成績を残しました.
オーダーの叶さんも,総合キル数が2位という破竹の活躍を見せました.
●なんもしてねぇ(NsN)
NsNについては前に記事を書きましたので,よろしければご利用ください.
このチームは,カスタムでとったチャンピオンの数は6という,抜群の安定感をカスタムで残していました.
それは本番でも変わらず,見事同率1位という素晴らしい成績を残しました.
優勝した後の勇気さんの放送(もほすずラジオ)では,今までのチームメイトを大切に思う勇気さんの思いを聞くことができます.
「昔のチームメンバーとともに,表彰台に上がれるように
頑張っていきたい」
そう答える勇気さんの姿には,もう自信がなくオーダーを出せない昔の勇気さんではなく,自信をもってオーダーを出せる・出していく決意のようなものを感じました.
昔のVtuber最協決定戦のカスタムで.渋谷ハルさんに言われた「最後に試合を作るレイス」を体現したかのような,素晴らしいオーダーでした.
●Vtuber最協決定戦S2の裏側
大会後,主催した渋谷ハルさんは振り返りで,叶さんに触れつつ,「かなちーくず」について語りました.
実はこの大会は「かなちーくず」で出ると思っていた渋谷ハルさんは,あえてリーダー権を叶さんにしか渡さなかった事を語っています.
Vtuber最協決定戦のポイント制では組むことが困難になったかなちーくず.
もう見ることは難しいのかなと思っていた矢先の,勇気さんからの再結成のツイートだったのです.
3度集まるかなちーくず,再結成
このVtuber最協決定戦後,葛葉さんと勇気さんはその成長した姿を存分に見せてくれました.
まずは葛葉さんはレイスでダブルハンマーというバッジをとりました.これは4000ダメージを1試合で与えると貰えるバッジで,トッププレイヤーの証ともいえます.
勇気さんは,個人コーチのYukioさんと主に2人でランクを回し,D1(マスター一歩手前)にまでランクをあげました.D1までいけばマスターに行けると言われており,しかもそれをデュオで達成したとあって,注目を集めました.
叶さんも別ゲーをやりつつ,新シーズンで強化されたオクタンを使って戦場を走り回っています.叶さんのオクタンは,ストリーマーの中でオクタン使いといえば,というランキングで1位を取るほどです.
そんな3人が3度集結する第4回CRcup,とても待ちきれません.
今度はどんなドラマを見せてくれるのかとても楽しみです.
※最後に
かなちーくずは一言では語れないけど,何かこれまでの軌跡をまとめたものがあってもいいと思って書き始めましたこの記事.
かなちーくずが結成されてまだ半年近くしかたっていないのに,滅茶苦茶長くなりました.
本当は2434キルリレーについても触れたかったのですが,今回はあくまで大会に限定して書かせていただきました.
かなちーくずのドラマ性・人間性をテーマに書きましたが,かなちーくずの魅力的なところといえば,3人の掛け合い漫才的な雑談ですよね.
2434キルリレーはこっちの方に入るかなと思ってあえて触れませんでした.
・ちーくんに乱入するくーくん・かーくん
・お互いの真似をする葛葉さん・勇気さん
等々とてもここでは語りきれないほどエピソードに尽きません.
また,できるだけマイナスな事は書かないように気を付けていますが,3人のチームとしての成長を扱っている記事の性質上不快になる表現等ありましたら,申し訳ございません.
最後となりましたが,最近かなちーくずを知った方にも,昔から知っている方にも,この記事を読んで少しでもかなちーくずの魅力に触れてあの頃の感動を少しでも共有できることを願って,締めとさせていただきます.
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